「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 三面鏡の少女-33

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三面鏡の少女 33


冬休みも明けたある日の事
いつも通り騒がしい教室の隅の席で、静かに本を読んでる三面鏡の少女
中学から付き合いがある友人は学校内に何人かいるが、高校に入ってから積極的に友達を作ってはいない
都市伝説同士は引かれ合う
事実、それまで全く縁の無かった都市伝説事件が、自らが契約者となってからはそれなりの頻度で起こるようになったからだ
彼女自身が巻き込まれた場合は、黒服Hが裏で立ち回り知らぬ間に解決している事も多いのだが
深くもなくかといって疎遠という程でもない、友人という間柄が目も手も届かなく一番危険だと思うようになっていた
だから彼女は、都市伝説に関わりの無い友人を作りたがらないのだ
そんな事を知ってか知らずか、彼女の担当である黒服Hは彼女を都市伝説契約者に積極的に関わらせようとしなかった
元より何かに長けた能力があるわけではないので、無闇に関わらせても危険があるだけなので当然の判断ではあるのだが
「逢瀬、ちょっといいか?」
「ふぇ!? ご、ごごご獄門寺くん!?」
少女はその声に聞き覚えがあった
あらかさまに動揺し、机に膝をぶつけ本を落としそれを拾おうとして椅子から転げ落ちそうになる
「いや、そういう反応をされても困るんだが」
「あ、あはは、そうだよね? うん、き、気を付ける」
「それより、ちょっといいか? 話したい事があるんだが」
「あ、うん。何かな」
「正月の時の件なんだが」
少女はごしゃんと音を立てて、椅子ごと転がった
「大丈夫か?」
「あ、あはは、うん、大丈夫大丈夫」
打ち付けた額を赤くしながら、転げた椅子を起こし立ち上がる少女
「教室で話すのも難な内容だし、ちょっと場所を変えていいか?」
「うん、できればあたしもそうして貰った方が助かるかも」
じんわりと頬を赤らめ、声を抑えて周囲の様子を窺いながらこくこくと頷き
二人は休み時間の喧騒の中、教室を出て行った
二人の気配が遠ざかっていったのを確認して、それまで無関心を装っていた5~6の男子連中がざざっと一箇所に集まってくる
「おい、獄門寺って委員長と仲良くなかったっけ?」
「妹も可愛いんだよなあいつ」
「小学生ぐらいの子とよく一緒にいるのを見掛けるぞ」
「中学生の子じゃなくてか?」
「それが妹だろ?」
「小鳥遊とも最近親しげだな」
「それでいて逢瀬にも手を出すつもりか」
「しかも何か満更でもなさそうなあのリアクションは何だ」
「あんな逢瀬、初めて見たぞ俺」
「……ちょっと待て。小鳥遊って確か男だろあいつ」
「バカだなお前、あんな可愛い子が女の子のはずないだろ」
「それもそうか」
「待て、お前ら色々と待て。ツッコんでいいところかそこは」
「ああ、かなりツッコミたいな」
「むしろツッコまれてもいいな」
「よしお前ら心の病院行ってこい。脳の病院でもいいぞ」
「そうだぞ、男はもっと筋肉質であるべきだ。そういえばこないだ公園で実に良い男と出会ってだな」
「お前も病院行ってこい」

―――

「あの、お正月の時の話って……えーと、アレ自体は色々と誤解があると思うんだけど」
「いや、趣味は人それぞれだしそれは問題じゃないんだが」
「問題だよ!? 誤解されっ放しなの!? あの時も目一杯説明したよね!?」
「あの時は特殊なプレイ中だったわけじゃないって言い訳が中心で、事情は説明されてなかったからな」
「いや、その……えーと……」
「あの時は気のせいか、あの黒服のせいだと思ってたんだが」
ひょこりと獄門寺の陰から顔を出す、小さな女の子――花子さん
「みー、やっぱり蛇さんなのですよ。『トイレから出てくる下水蛇』に似てるのです」
「にゃ? その子って……たまに教室に入ってきてたりしたけど」
「花子さんに気が付いてるって事は、都市伝説絡みだと確定か」
困ったような、呆れたようなそんな口調
「花子さんって……獄門寺くん、もしかして都市伝説とか詳しい?」
「そう聞いてくるという事は、都市伝説について説明はいらないな。俺は……詳しいというか、この花子さんと契約してる」
「けーやくしゃなのです」
にぱーと笑う花子さんに、思わず微笑み返しをする少女
「それはともかくとしてだ。正月に一体何があったんだ? もしかしてあの時の黒服のせいか」
「うーん、話せば長くなりそうなんだけど……」
ちらりと視線を腕時計に落とす少女に、つられて獄門寺も時計を見る
「休み時間終わりそう」
「それじゃ続きは放課後だな。用事とかはあるか?」
「ううん、別にこれといっては無いけど……獄門寺くんはいいの?」
「構わない。周りにある面倒事は、ややこしい事になる前に解決しておきたい性分なんだ」
「ん、わかった。でも経緯はめんどくさいけど、そんな大事じゃないからね?」
暗に心配しないでと言っているとすぐに理解し、とりあえず頷いて返しておく
「それじゃ、教室戻ろっか。花子さん、またねー」
笑顔で手を振る少女と、嬉しそうに手を振り返す花子さん
「……大人しい奴だと思ってたけど、結構テンション高い方なんだな、逢瀬」
「そ、そんなにテンション高いかな!? 騒がしかったらごめんね!?」
「普段が普段だから、まあ少し驚いたな」
「うう、誤解が解ければこんなノリにならなくて済むのにー」


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