「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 三面鏡の少女-32

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三面鏡の少女 32


「にゃー、まだなんか顔が熱い気がする」
片手でぺちぺちと頬を撫でながら、つい今し方口付けをされた手のひらを見詰める
「巫女よ、体温が高いぞ。暑くてかなわん」
「巫女じゃないって言ってるでしょ、もー」
にょろりと懐から顔を出す白蛇の頭を、ちょいと指先で小突く三面鏡の少女
「人の姿にして人に非ず者の口付けでそのように舞い上がっていては、妖の類に付け込まれるぞ?」
「Hさんが人間じゃないとしても、それはそれで恥ずかしいの! というかあなたが身体に巻きついてるのだってものっそい恥ずかしいんだからね!?」
「異な事を。我は人に非ず、人の姿もしておらず。口付けを受けたり素肌を晒す事など問題あるまい」
「人間と都市伝説なんて、姿形と生まれが違うだけで大した違いなんて無いでしょ?」
「……巫女はそのように異能や異形を見ておるのか」
「ドクターさんのとこの看護婦さん達はすっごく優しいし。組織のDさんだって、契約者の人と同居してるらしいし。都市伝説な存在と普通に一緒に暮らしてる人なんて、この町はたくさんいると思うよ?」
「しかし害意を持ったものも少なからず……いや、全体で見れば相当な数が居るものであろう?」
「そりゃいると思うけど、比率が違うだけで人間だって一緒だし。悪かったり怖かったりする存在がいるからって、全部を怖がったり嫌ったりする必要は無いでしょ」
白蛇の顎をぐりぐりと指先で突付きながら、少女は頬を膨らませる
「ともあれ、人間とか都市伝説とかそういうのじゃなくて。あの人はHさんであって、それ以外の何でもないの。あなただってそう」
「我もか」
「外見は蛇だし変な力持ってるけど、こうやって意思の疎通ができて共存してるでしょ? 身体に巻きつかれたら恥ずかしいし、嫌な事を言われたら怒るけど、助けてあげれるなら助けてあげたいと思ってるからこうやって契約者を探すのを手伝ってるの」
「ふむ……」
爬虫類特有の無表情であるため、白蛇の感情は全く読めない
「優しいようで厳しいな、巫女は」
「にゃ? またよくわかんない事を……あと巫女言うな」
対等であろうとする事は、相手にもそれを強いる事
人でありたいという者に、人でないと認めさせる事
「もし、あの男が人間である事を望んでいたとしたら。巫女はそれを許すか?」
「あたしが許すとか決める事じゃないと思うんだけどなー」
「聞き方を変えよう。あの男が、自らが人間だと主張した場合、巫女はそれを認めるか?」
「だから、別にどっちも差があるとは思ってないんだけど……同じ世界で暮らしてるって意味なら、認めるとか以前にずっとそう思ってるよ?」
その解答に、白蛇はどうやったのか、くくと喉を鳴らせて笑う
「巫女よ、汝は本当に面白い存在だな」
「むー、バカにしてる?」
「そんな事は無い。さて、そろそろ落ち着いてきたようだし、外は寒い」
「にゃ!? 冷たっ! もうちょっと段階を踏んで温まってから……ひゃうぁっ!?」
「平時の巫女の肌は実に気持ちが良い。将来これをものにできる男が少々妬ましいほどだな」
「何を妙な事を言ってるの、このエロ蛇っ!?」
「抱き心地の良さを評していただけだが。何か問題でもあったか」
「問題だらけ! 他の人がいる時にそんな事言ったら氷水に浸けるかんね!?」
「良き点を伝える事を拒むとは……巫女は謙虚だな」
「んなわけあるかー!?」
傍から見れば一人で喚いている間抜けな様子で、一人と一匹は騒がしく帰途につくのであったとさ


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