…雪が、ちらついている
今日はバレンタイン
街中は、カップルで溢れている
今日はバレンタイン
街中は、カップルで溢れている
「………はぁ」
小さく、私はため息をつく
こう言う日も、私は進学塾に通っている
自分で、選んだ事だ、後悔などしていない
でも、時折…無性に、寂しさを感じてしまう
こう言う日も、私は進学塾に通っている
自分で、選んだ事だ、後悔などしていない
でも、時折…無性に、寂しさを感じてしまう
…鞄の、中には
昨日の夜作り始めて、結局明け方までかかって完成したチョコレートを入れた箱が、入っている
……何を期待しているのだろう、私は
今年のバレンタインは、日曜日、休日だ
そんな日に、たまたま、彼と出会うことなんて…あるはず、ないのに
そんな、都合のいい、小説のような事は…
昨日の夜作り始めて、結局明け方までかかって完成したチョコレートを入れた箱が、入っている
……何を期待しているのだろう、私は
今年のバレンタインは、日曜日、休日だ
そんな日に、たまたま、彼と出会うことなんて…あるはず、ないのに
そんな、都合のいい、小説のような事は…
「………あ」
…と、その時
前方に見えた、それに、私は気付いた
彼、だ
傍に、おかっぱ頭の、白いブラウスに真っ赤なつりスカートの女の子の姿も見えるような気がした
前方に見えた、それに、私は気付いた
彼、だ
傍に、おかっぱ頭の、白いブラウスに真っ赤なつりスカートの女の子の姿も見えるような気がした
「…あぁ、委員長。今から、塾か?」
「あ、う、うん」
「あ、う、うん」
彼、龍一君も、こちらに気付いて話し掛けてきてくれた
おかっぱ頭の女の子は、こちらを見上げて小さく首を傾げてきている
おかっぱ頭の女の子は、こちらを見上げて小さく首を傾げてきている
「えと…ご、獄門寺君、は?」
「用事の帰りだ」
「用事の帰りだ」
やや気だるげに、そう答えてきた龍一君
…少し、疲れているようにも見えた
…少し、疲れているようにも見えた
「そっか…あ、そ、そうだ」
さり気なく
さり気なく、だ
そう、自分に言い聞かせる
さり気なく、だ
そう、自分に言い聞かせる
「これ、バレンタインだから」
「…?もらっても、いいのか?」
「…?もらっても、いいのか?」
何故、チョコレートを持ち歩いていたのか
幸い、その点に関して突っ込んでこないでくれた龍一君
チョコレートを…受け取って、くれた
幸い、その点に関して突っ込んでこないでくれた龍一君
チョコレートを…受け取って、くれた
「うん、せっかくだし」
「そうか、ありがとう」
「そうか、ありがとう」
お礼を言われて、ほっとして
…その、瞬間
無性に、恥ずかしさが込み上げて来た
…その、瞬間
無性に、恥ずかしさが込み上げて来た
「そ、そそそ、それじゃ!」
「あぁ、また明日」
「あぁ、また明日」
逃げるように、私はこの場を後にした
龍一君の隣に居たおかっぱ頭の女の子が、バイバイ、とでも言うように、手を振っていたのに気づく余裕すら、なく
龍一君の隣に居たおかっぱ頭の女の子が、バイバイ、とでも言うように、手を振っていたのに気づく余裕すら、なく
「…委員長からも、渡されるとはな」
親父の使いの帰り道、さっきは逢瀬とも顔を合わせて、チョコレートを渡された
そういえば、今日はバレンタインだった
帰ったら、蛇城さんと卯月さんも、お袋や妹と一緒にチョコレートを作っていて、組のみんなとかに振舞うのだろう
そういえば、今日はバレンタインだった
帰ったら、蛇城さんと卯月さんも、お袋や妹と一緒にチョコレートを作っていて、組のみんなとかに振舞うのだろう
「み、チョコレート?」
「あぁ、帰ったら一緒に食べようか、花子さん」
「うん!」
「あぁ、帰ったら一緒に食べようか、花子さん」
「うん!」
キラキラと瞳を輝かせ、笑顔で頷いてきた花子さん
やっぱり、甘い物が好きなんだよな、花子さんは
花子さんと契約して以来、バレンタインで受け取ったチョコレートは花子さんと一緒に食べるようにしていた
誰かと一緒に食べた方が、美味いし
やっぱり、甘い物が好きなんだよな、花子さんは
花子さんと契約して以来、バレンタインで受け取ったチョコレートは花子さんと一緒に食べるようにしていた
誰かと一緒に食べた方が、美味いし
「さて、親父には日景さんからの伝言伝えて、と……」
その後に、茶でも入れて、花子さんと一緒にチョコレートを食べようか
帰ってからする事を順序だてながら、俺は花子さんと手を繋いで、帰路についたのだった
帰ってからする事を順序だてながら、俺は花子さんと手を繋いで、帰路についたのだった
終わる