「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - とある組織の構成員の憂鬱・人間だった頃-04

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だれでも歓迎! 編集
「はい、ではそう言う事で…………子供達の今後の処遇は、こちらにお任せください。土地と建物は、まとめてこちらで買い取ります」

 学校町の隣町
 とある、大きな屋敷にて
 額に大きな赤い宝石をつけた生き物を膝に乗せた男性が、電話でどこかと取引をしているようだった

「……はい。改めて、そこに孤児院を建てようかと……前のような場所には、させません。子供たちの為の場所にしてみせます」

 つい先日、何者かの襲撃を受け、当時施設にいた大人達が全滅した
 子供達には怪我はなかったのだが、一人は相当、怖い思いをしてしまったようで…精神的なケアは必須だろう

 あの、施設は
 彼、カーバンクル契約者にとっては、思い出の場所でもある
 地獄のような日々を過ごした場所
 しかし、かけがえのない友人を作った場所

 あそこを抜け出して以来、よく、その20近くも歳の離れた友人達と、語り合ったものだ
 …あんな、地獄のような場所じゃない
 子供達が安心できる施設を、作ろうと

 事業家として成功して、彼はそれを実現してきていた
 そして、最後に…あの、自分達が育った施設を、何とか手中に収めて、その仕組みを改革しようとしていた
 政治家が絡んでいて、なかなか手が出せなかったが…あの事件の後だ
 ようやく、こちらの手中に収める事ができた

 取引を終えて、ふぅ、とため息をつく
 くー、と、カーバンクルが心配そうに見あげてきた

「…大丈夫だよ」

 カーバンクルを、優しくなでてやる
 まだ、休んでいる暇はない
 まずは、子供達を別の、自分が経営している孤児院に移動させて……そちらで収容しきれないようだったら、あの話題の孤児院に、協力を願いでてみよう
 「ひき子」なる女性が経営しているあの孤児院は、素晴らしい場所だと聞いているから

「……僕らが居た頃に……救いの手が、伸びてくれていれば、な…」

 ぽつり、思わず呟く
 いや、たら、れば、にすがるつもりなど、ないし
 それに、あのような場所だったからこそ…自分は、友人たちと知り合えて、共に生きられたのだし
 カーバンクルと、出会うこともできたのだろう
 その皮肉に、苦笑する

「でも…もう、僕らみたいな目にあう子供達は…出しちゃ、いけないんだ」

 子供を守るのは、大人の仕事
 友人達の中で一番年上で、一番慈悲深かった…いや、今でも、飛び切り慈悲深い、彼の言葉を思い出す

 自分は、もう子供じゃない
 子供を守るべき大人の立場になったのだ
 ならば、自分は自分が成し遂げるべきことを成し遂げるのだ


 皆の夢だった
 皆で実現したかった
 でも、皆はもう、いないから
 ……だから、自分がやり遂げるのだ


fin

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