「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 首塚-66

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匿名ユーザー

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 それは、少し昔の話
 彼らが、まだ高校生だった頃……



「----っ日景ぇええええええ!!!」

 髪を金髪に染めた少年、日景 翼に向かって……クラスメイトの、虹野 葵が突進していった
 虹野の雄叫びに、翼は警戒するように身構える
 それは、帰り道での事
 翼の隣には、一緒に帰っていた玄宗 直希が立っていて
 虹野の突進を避ければ、直希に当たる
 それだけは、避けたい
 虹野は、真っ直ぐに翼に突進し……
 ば!!と
 懐から、それを取り出した!!!


 可愛い、ピンクのシールで封をされた、封筒を


「この俺の!思いのたけを受け取ってくがぼっ!!??」

 …全力で雄叫びを上げながら、ラブレターを渡そうとしてきた虹野の、その胴体に
 翼の全身全霊を込めた右ストレートが突き刺さった訳だが、これは全体的に翼は悪くないだろう、多分



「ふむ、君はモテるな」
「なあ、直希。それは嫌味か?それとも天然か?」
「………?」

 小さく、首をかしげる直希
 そんな友人の姿に、翼はため息をついた
 つい最近、不良に囲まれていたところを助けた縁で親しくなった友人
 いつも分厚い本を持ち歩き、その本を読みながら歩く様子は酷く危なっかしく、何だか放っておけない
 今日は習い事がある為先に帰ってしまっているが、誠と一緒に直希と帰るのは、最近の翼の日常的な行動になってきつつあった
 頭は悪くない癖に、変な所で常識が欠けているから、余計に心配なのだ
 つい先ほどの言葉とて、きっと、直希は嫌味のつもりなどこれっぽっちもないのだ

「…ま、いいや。それよりも、直希。本当にいいのか?」
「構わんさ。姉さんにも確認はとっているよ」

 翼の言葉に、そう答える直希
 そうは言われても、翼としてはどうしても、遠慮してしまう

 中学を卒業する少し前に、親の元から家出した翼
 以来、寝床は誠の家や母親の実家に頼ってきてはいたが………その両家にばかり頼るのも、翼としては申し訳なかった
 だからと言って、アルバイトを始めたばかりの身では、カプセルホテルにするにしても、宿泊施設に頼るのもきつい
 どうしたものか、と悩んでいた翼に、声をかけたのが直希だったのだ

『ならば、家に泊まればいい。家は両親が海外出張でほとんど家にいなくて、姉さんと二人だけなんだ。翼一人加わっても、何の問題もない』

 友人になったばかりの相手の提案
 始めは遠慮した翼だったが、誠の家や母親の実家に迷惑かけてばかりなのも事実で
 結局、直希の提案を飲む事になったのだ

 …黒服に頼る、という選択肢も、ない訳ではない
 だが、彼には高校入学時の費用などでも迷惑をかけてしまっていて…これ以上、迷惑をかけたくなかったのだ
 自分は、昔からあの黒服に甘えてばかりで、迷惑ばかりかけたから
 これからは、少しずつでも、黒服の力になれるようになりたい
 翼は、そう強く考えていたから

「せめて、夕食とか作るな。お前の姉さん、食べられない物とかあるか?」
「マヨネーズと青汁が駄目な以外は、問題はなかったはずだ」
「そうか。じゃあ、どうするかな…」

 やがて、二人は学校町の東区でも、高級住宅街が広がる一角に到着した
 両親の仕事の関係でか、直希が暮らしている家は随分と広いのだ
 彼の両親の名前を聞いたら、大抵の者は、こう言う家を持っていることを納得するだろう
 翼の母親の実家も広いが、和風作りの家と違い、こちらは洋風だ
 その大きさに翼がやや圧倒されている間に、直希はさっさと玄関に向かっている

「姉さん、ただいま」
「あ、ナオ君、お帰りー」

 がちゃり
 扉が開き、現れた女性の姿に………思わず、翼は目を奪われた

 美しい女性である
 身長は…この当時の翼より、少し大きいくらいだった
 長く伸びた髪、すらりとした体躯
 だが、それよりも何よりも、翼が目を引かれたのは……その、胸元
 推定Dカップ以上の見事な胸が、ぼいん、と揺れている
 そして、尚且つ、その胸元は大胆に、惜しげもなく、その谷間をアピールするかのように露出していたのだ
 初対面の相手、それも、友人の姉相手に失礼だと思いながらも、視線をそらせない

 と、そんな翼に、女性が気づいた
 あら、と笑顔を浮かべてくる

「あなたが、日景 翼君?」
「は、はい」

 こくり
 視線をそらせぬままに、頷く
 女性はにっこりと微笑むと、翼に手を伸ばし

「はじめまして。私は玄宗 エリカ。直希の姉よ。よろしくね」

 と、自己紹介して…むぎゅっ、と抱きしめてきた
 むにゅにゅん
 胸が、押し付けられる

 ぼしゅ……と
 思わず頬を赤らめ、翼の思考は停止した


「姉さん。初対面の異性相手へのハグは、日本では一般的ではない、と父さんたちが言っていたような気がしないでもないんだが」
「あら?そうだった?」
「あぁ」

 自分の姉に抱きしめられ、真っ赤になって固まっている友人の姿に
 直希は小さく苦笑して、読んでいたその分厚い本…「光輝の書」を、閉じたのだった


 一言で言えば、一目惚れとしか言いようがなかった
 この日より、日景 翼は、彼女、玄宗 エリカに恋焦がれることになる

 その初恋の結末が、どうなるのか、知る由もないままに



to be … ?




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