「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

単発 - スクエア

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kemono

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スクエア


 ここは、某ホテルのパーティー会場。
 着飾ったドレスの女性に、タキシードの男性。テーブルに並ぶのは豪勢な料理と、高そうな酒ばかり。
 一見すると普通のパーティーだが、このパーティーの主催者には、いろいろと噂が絶えない。
 曰く、薬物売買組織の元締めである。曰く、銃器を違法に仕入れている。曰く、警察上層部との癒着がある。
 それらの証拠を掴むため、俺は単身、このパーティーに乗り込んだ。

 会場内でもひときわ目立つ、ソファーにふんぞり返りながら女性をはべらしている中年の男。
 こいつこそが、このパーティーの主催者。成金剛三である。
 そいつの元に、いかつい顔をした男が近づき、対面するようにソファーに座る。
 剛三は女性を席から離れるように促し、その男と会話をはじめた。
 俺はそのソファーに近づくと、ポケットから小型カメラを取り出し、撮影を始めた。

「…すまんのぉ剛三さん。ちいとばかし、チャカぁ仕入れてもらいたいねん。」
「かまへん、かまへん。わしと源次郎さんの仲やないかい。10丁でも100丁でも持ってったるわ。」
「すまんのぉ。侘びっちゅーわけやないけど、えぇヤクが入ったさかい、納めてくれや。」
「またサツからの横流しかいな。あんたもえげつないやっちゃなぁ。」
「サツの上の奴らとは友達やさかい、これくらいなんてことあらへん。これはおすそ分けや。」

 目の前で交わされる非合法取引の密談。それをしっかりとムービーに納め、俺は思わず笑みをこぼす。
 まさか、こんな簡単に証拠を掴めるとは思わなかった。これが”都市伝説”の力か…。

*



 この男が契約した都市伝説は、『スクエア』。
 まずは真っ暗な部屋に四人で入り、部屋の四隅に一人ずつ立つ。
 そして一人が壁に沿って移動し、部屋の角に着いたら、そこにいる人の肩を叩き、叩かれた人は同じように次の角に進む。これを全員が繰り返す。
 四人では一周しかできないはずが、なぜかその動作は延々と続き、いつの間にか”存在しないはずの五人目”が部屋にいた…というものである。

*



 俺の能力は、自分がその”存在しないはずの五人目”になり、周囲に自分の存在を知覚できないようにするものだ。
 おかげでこのような潜入任務はお手の物。証拠を手に入れ、その場を去ろうと一歩下がったとき

 ドン、と何かにぶつかった。

 俺の能力の制約、その1『人に触れられた場合、能力が切れる』。

 体から冷や汗が噴出す。首を捻って後ろを見ると、酒を運んでいたボーイが呆然と突っ立っていた。
 彼からすると、唐突に目の前に人が現れたように感じただろう。そしてそれは、ソファーの男たちも同じ。
 先ほどまでこちらを全く気にしてなかった剛三が、俺を見て唖然としている。
 そしてその視線は、俺が持つカメラへと注がれている。

「お前ら!その男を捕まえろ!」

 剛三の声に反応し、黒服の男たちが俺に迫る。
 俺はカメラをポケットにしまいつつ、全速力で会場を突っ切る。
 人ごみを掻き分け、テーブルを掻い潜り、玄関ロビーへと逃げ出す。
 ロビーの客たちが何事かと俺の方を見ているが気にしない。入り口を見るが、そちらも既に黒服が立ちふさがっている。
 後ろからは5,6人の黒服が追いかけてくる。一か八か、俺はトイレへ駆け込み、一番奥の個室へ身を隠した。

 黒服の男たちがトイレになだれ込む。窓が開いているのを見たのだろう、無線で外を固めるよう指示を出している。
 そして、個室を一つずつ確認していく。一つ目…二つ目…三つ目…四つ目…。
 五つ目は俺の居る個室だ。そして、俺の目の前のドアがゆっくりと開いた。

*



 黒服が、無線で誰かと話し始める。

「チーフ、男が逃げ込んだトイレを探しましたが…見失いました。」

 俺の能力の制約、その2『一定範囲内に、四人以上の人間が居ること』。

 トイレの中に入ってきた黒服は、丁度四人。なんとかぎりぎりで、能力を発動することが出来た。
 黒服は無線に一言二言話してトイレを後にし、他の黒服もそれに続いた。

 俺は黒服の最後尾についてトイレを出る。ロビーの客がいぶかしげに黒服たちを見ているが、俺を見る者は一人も居ない。
 そしてそのまま誰からも認識されることなく、俺は悠々とホテルを後にした。






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