スクエア
ここは、某ホテルのパーティー会場。
着飾ったドレスの女性に、タキシードの男性。テーブルに並ぶのは豪勢な料理と、高そうな酒ばかり。
一見すると普通のパーティーだが、このパーティーの主催者には、いろいろと噂が絶えない。
曰く、薬物売買組織の元締めである。曰く、銃器を違法に仕入れている。曰く、警察上層部との癒着がある。
それらの証拠を掴むため、俺は単身、このパーティーに乗り込んだ。
着飾ったドレスの女性に、タキシードの男性。テーブルに並ぶのは豪勢な料理と、高そうな酒ばかり。
一見すると普通のパーティーだが、このパーティーの主催者には、いろいろと噂が絶えない。
曰く、薬物売買組織の元締めである。曰く、銃器を違法に仕入れている。曰く、警察上層部との癒着がある。
それらの証拠を掴むため、俺は単身、このパーティーに乗り込んだ。
会場内でもひときわ目立つ、ソファーにふんぞり返りながら女性をはべらしている中年の男。
こいつこそが、このパーティーの主催者。成金剛三である。
そいつの元に、いかつい顔をした男が近づき、対面するようにソファーに座る。
剛三は女性を席から離れるように促し、その男と会話をはじめた。
俺はそのソファーに近づくと、ポケットから小型カメラを取り出し、撮影を始めた。
こいつこそが、このパーティーの主催者。成金剛三である。
そいつの元に、いかつい顔をした男が近づき、対面するようにソファーに座る。
剛三は女性を席から離れるように促し、その男と会話をはじめた。
俺はそのソファーに近づくと、ポケットから小型カメラを取り出し、撮影を始めた。
「…すまんのぉ剛三さん。ちいとばかし、チャカぁ仕入れてもらいたいねん。」
「かまへん、かまへん。わしと源次郎さんの仲やないかい。10丁でも100丁でも持ってったるわ。」
「すまんのぉ。侘びっちゅーわけやないけど、えぇヤクが入ったさかい、納めてくれや。」
「またサツからの横流しかいな。あんたもえげつないやっちゃなぁ。」
「サツの上の奴らとは友達やさかい、これくらいなんてことあらへん。これはおすそ分けや。」
「かまへん、かまへん。わしと源次郎さんの仲やないかい。10丁でも100丁でも持ってったるわ。」
「すまんのぉ。侘びっちゅーわけやないけど、えぇヤクが入ったさかい、納めてくれや。」
「またサツからの横流しかいな。あんたもえげつないやっちゃなぁ。」
「サツの上の奴らとは友達やさかい、これくらいなんてことあらへん。これはおすそ分けや。」
目の前で交わされる非合法取引の密談。それをしっかりとムービーに納め、俺は思わず笑みをこぼす。
まさか、こんな簡単に証拠を掴めるとは思わなかった。これが”都市伝説”の力か…。
まさか、こんな簡単に証拠を掴めるとは思わなかった。これが”都市伝説”の力か…。
*
この男が契約した都市伝説は、『スクエア』。
まずは真っ暗な部屋に四人で入り、部屋の四隅に一人ずつ立つ。
そして一人が壁に沿って移動し、部屋の角に着いたら、そこにいる人の肩を叩き、叩かれた人は同じように次の角に進む。これを全員が繰り返す。
四人では一周しかできないはずが、なぜかその動作は延々と続き、いつの間にか”存在しないはずの五人目”が部屋にいた…というものである。
まずは真っ暗な部屋に四人で入り、部屋の四隅に一人ずつ立つ。
そして一人が壁に沿って移動し、部屋の角に着いたら、そこにいる人の肩を叩き、叩かれた人は同じように次の角に進む。これを全員が繰り返す。
四人では一周しかできないはずが、なぜかその動作は延々と続き、いつの間にか”存在しないはずの五人目”が部屋にいた…というものである。
*
俺の能力は、自分がその”存在しないはずの五人目”になり、周囲に自分の存在を知覚できないようにするものだ。
おかげでこのような潜入任務はお手の物。証拠を手に入れ、その場を去ろうと一歩下がったとき
おかげでこのような潜入任務はお手の物。証拠を手に入れ、その場を去ろうと一歩下がったとき
ドン、と何かにぶつかった。
俺の能力の制約、その1『人に触れられた場合、能力が切れる』。
体から冷や汗が噴出す。首を捻って後ろを見ると、酒を運んでいたボーイが呆然と突っ立っていた。
彼からすると、唐突に目の前に人が現れたように感じただろう。そしてそれは、ソファーの男たちも同じ。
先ほどまでこちらを全く気にしてなかった剛三が、俺を見て唖然としている。
そしてその視線は、俺が持つカメラへと注がれている。
彼からすると、唐突に目の前に人が現れたように感じただろう。そしてそれは、ソファーの男たちも同じ。
先ほどまでこちらを全く気にしてなかった剛三が、俺を見て唖然としている。
そしてその視線は、俺が持つカメラへと注がれている。
「お前ら!その男を捕まえろ!」
剛三の声に反応し、黒服の男たちが俺に迫る。
俺はカメラをポケットにしまいつつ、全速力で会場を突っ切る。
人ごみを掻き分け、テーブルを掻い潜り、玄関ロビーへと逃げ出す。
ロビーの客たちが何事かと俺の方を見ているが気にしない。入り口を見るが、そちらも既に黒服が立ちふさがっている。
後ろからは5,6人の黒服が追いかけてくる。一か八か、俺はトイレへ駆け込み、一番奥の個室へ身を隠した。
俺はカメラをポケットにしまいつつ、全速力で会場を突っ切る。
人ごみを掻き分け、テーブルを掻い潜り、玄関ロビーへと逃げ出す。
ロビーの客たちが何事かと俺の方を見ているが気にしない。入り口を見るが、そちらも既に黒服が立ちふさがっている。
後ろからは5,6人の黒服が追いかけてくる。一か八か、俺はトイレへ駆け込み、一番奥の個室へ身を隠した。
黒服の男たちがトイレになだれ込む。窓が開いているのを見たのだろう、無線で外を固めるよう指示を出している。
そして、個室を一つずつ確認していく。一つ目…二つ目…三つ目…四つ目…。
五つ目は俺の居る個室だ。そして、俺の目の前のドアがゆっくりと開いた。
そして、個室を一つずつ確認していく。一つ目…二つ目…三つ目…四つ目…。
五つ目は俺の居る個室だ。そして、俺の目の前のドアがゆっくりと開いた。
*
黒服が、無線で誰かと話し始める。
「チーフ、男が逃げ込んだトイレを探しましたが…見失いました。」
俺の能力の制約、その2『一定範囲内に、四人以上の人間が居ること』。
トイレの中に入ってきた黒服は、丁度四人。なんとかぎりぎりで、能力を発動することが出来た。
黒服は無線に一言二言話してトイレを後にし、他の黒服もそれに続いた。
黒服は無線に一言二言話してトイレを後にし、他の黒服もそれに続いた。
俺は黒服の最後尾についてトイレを出る。ロビーの客がいぶかしげに黒服たちを見ているが、俺を見る者は一人も居ない。
そしてそのまま誰からも認識されることなく、俺は悠々とホテルを後にした。
そしてそのまま誰からも認識されることなく、俺は悠々とホテルを後にした。