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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 仲介者と追撃者と堕天使と-19

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だれでも歓迎! 編集
 学校町
 それは、ありとあらゆる意味で、特殊すぎる街である
 あまりにも多すぎる都市伝説
 しかし、街の住人達の大半は、精神の防衛本能からか、その存在に気づかない
 気づいた、そのほんの一部が都市伝説契約者となる訳だが、それはさておき
 そのような事情ゆえか、よほどおかしなことがない限り、ガスマスクで歩く人物も狼らしき犬も、通報されたりしない
 そう、全裸のマッスル兄貴集団レベルにでもならないと、通報されないのである
 ある意味で、不審者を見逃しやすくて危なさそうなのだが、それでも何とかなっているから困る

 ……そう、それゆえに

「はぁう、犬耳メイドさんかぁいい………っ、お持ち帰りぃ~~~~~~!!!!!」

 ………そんな、どこか至福の叫びが、夜中街中に響いたとしても
 誰もが聞かなかったふりをして、気にしてなどいかなかったのだった



「っちょ、まっ!?何これ誰あんた!?」
「お持ち帰りぃいいいいい!!!」
「いやぁあああああああああああああ誘拐魔!?」

 一人の犬耳メイドが、お持ち帰りされようとしていた
 名前が不明なので、便宜上「犬耳メイド」としか言い表しようのない彼女、本来は男である
 様々な不幸とか不幸とか不運とかが重なって、今現在、こんな姿であり……ついでに言うと、うっかりと敵対組織に利用されていると言うかそう言う状態の都市伝説に捕まって、身の回りの世話などをさせられている
 ありとあらゆる意味で、色んな不幸を背負った犬耳メイドである
 そんな犬耳メイドの不幸オンパレードに、また一つ、新たなページが刻まれようと言う瞬間であった

「刻まれたくないっ!そんなもの刻まれたくないっ!!」

 ナレーションに突っ込みいれるというメタなことをかます犬耳メイド
 とにかく、この突然の襲撃者に、反応しきれなかったのだ
 知り合いと顔を合わせることを避ける為、夜に買出しに出たのが不味かったのだろうか
 突如現れたこの女性に、あっさりと抱えあげられてしまった
 周囲に人気なし
 どう見ても、お持ち帰りルート直行です
 本当にありがとうございました

 この女性が何者かは知らないが、このままでは不味い
 …以前、「首塚」本部に連れて行かれた時の記憶が頭をよぎり、ちょっぴり死にたくなったのは、さておきだ
 犬耳メイドを片腕で軽々と抱え上げ、疾走する女性
 体格的に、一見すれば犬耳メイドを軽々抱えあげて疾走できるほどの力があるようには見えない
 それでも、それを軽々とやってのけている…こう見えて、体が鍛えられているのか、それとも、都市伝説契約者なのか
 犬耳メイドが判断に迷っていた、その時

 女性に向かって、振り下ろされた攻撃
 しかし、彼女はそれに、あっさりと反応した
 通常の人間ならば、反応するまでもなく叩き伏せられるかのような攻撃
 それを、犬耳メイドを抱えているのとは逆の右手でか、それとも、完全に空いている膝か足でか
 あっさりと、防いでみせた

「…ほぅ?少しはやるようだな」

 女性が防いだその武器は……俗に「方天画戟」などと呼ばれる物
 巨大なそれを軽々と振り回してみせるその人物は、呂布の契約者だ
 もっとも、今現在、体の主導権を握っているのは、その呂布なのだが

「はぁう……邪魔するのかな?………かな?」

 犬耳メイドを抱えたまま、至福の表情のまま、女性は呂布に首を傾げて見せた
 突然の攻撃にも動揺した様子がないのを見ると、やはり、都市伝説契約者だ

「あぁあああ。出来れば顔を合わせたくなんかないけれど、今、この瞬間だけ会いたかった!助けてーーっ!?」
「…ふん、どうやらその女、俺の武を示せるだけの実力はありそうだな」

 え、こっちはどうでも良し!?
 軽く衝撃を受けたり、まぁ、そうだよなぁとちょっと納得したりと忙しい犬耳メイド
 彼女の考えなど、棚に置かれて………今、まさに
 呂布と、犬耳メイド抱えた女性……追撃者の戦いが、始まろうとしていた

「邪魔しちゃ駄目ぇ」

 たんっ、と
 追撃者が、地を蹴った
 刹那、人間の限界ギリギリの瞬発力で、呂布に迫る

「っ!!」

 がごんっ!と響く鈍い音
 追撃者の、目にも止まらぬ攻撃を、呂布は方天画戟で防いだ
 小さく、舌打ちする

「速いな。三発目を防ぐのは難しかったぞ?」

 ……三発?
 少なくとも、犬耳メイドには、一発しか攻撃を放ったように見えなかった
 三発?
 あの一瞬で、三発……だと……?

 犬耳メイドの驚きになど、二人とも構っている暇はないのだろう
 互いの攻撃が錯綜する

 響き渡る、打撃の音
 互いに、相手に攻撃を繰り出しながら……しかし、決定的な一撃を与える事は、できていない
 どちらの攻撃も、相手に届く事なく防がれているのだ
 …呂布が武器を使っているのに対し、追撃者の方は素手である事を考えると、追撃者の身体能力がケタ違いすぎる
 方天画戟の攻撃を素手で防ぎ、痛みなどまるで感じていない様子なのだ
 えぇい、学校町は化け物の集まりか!?
 戦いの中、半ば振り回されながら犬耳メイドは頭を抱えたくなった
 …実際の所、犬耳メイドは、追撃者の情報を、一切、得ていなかった
 たまたま、「壁に耳あり」の能力範囲内で、彼女のことを聞く事がなかったのだ
 そのせいで、彼女という、ある意味で恐ろしい存在を、今の今まで知ることがなかった
 ……できれば知りたくなかった、と言うか、関わりたくもなかったと思うのは気のせいか

「むぅ…どうして邪魔をするのかな………かな?」
「それを連れて行かれては、俺の身の回りの世話をする者がいなくなる」
「ちょっとお借りして、絵のモデルになってもらうだけよ?」
「やめてーーーっ!?この姿を後世に残さないでマジお願いっ!?」

 思わず悲鳴をあげる犬耳メイド
 本当、この姿を後世に残すのはやめてっ!?
 ……実際の所、既に某スパニッシュフライ契約者とか似非関西弁女性とかに姿絵を描かれている事実に、犬耳メイドは気づいていない

「もう、困った人」

 どちらが、より困った人なのか、そんな事実は棚に上げて
 すぅ………と、追撃者の表情が、真面目なものに変わっていく
 彼女も、気づいたのだ
 呂布が、どれだけの強者であるのかを

「どうしても邪魔するというのなら……おねーさん、ちょっと本気出しちゃうわよ?」

 追撃者の纏う雰囲気が……変わっていく
 その左腕に、犬耳メイドは抱えたまま
 しかし、どこか決定的に、構えが変わった

「む………」

 追撃者の雰囲気が変わったことに、呂布は当然、気づいた
 方天画戟を構える手に、力が篭る
 追撃者の……肩から露出している、その右腕から、尋常ではない力を、感じて

 だんっ!と、強く地を蹴り、再び呂布に接近する追撃者
 その、力のほとばしる右手が、呂布に迫る
 呂布は、方天画戟でその攻撃を受け止めようとして

 -----ゾクリ
 全身に、激しい悪寒を感じた

 追撃者の右手が、方天画戟に触れる………その、瞬間に
 呂布は、咄嗟に方天画戟から手を放した


 直後
 甲高い音が響き渡り……………方天画戟が、跡形もなく、破壊された


「…………な」

 その光景に、ぞっとする犬耳メイド
 今……彼女は「何をした」?
 右手が、方天画戟に触れた 
 ただ、それだけだった
 ただその瞬間……方天画戟は「破壊」された
 先ほどまでの攻防で、方天画戟が脆くなっていた?
 ……違う
 方天画戟が脆くなっていたわけでは、ない
 だと言うのに……彼女の右手が触れた、その瞬間に破壊されてしまった

 呂布には、わかる
 彼女が、方天画戟に触れる瞬間……彼女は、拳を握り締めてすら、いなかった
 ただ、その右手の指先が、方天画戟に触れた瞬間に、方天画戟は「破壊」された
 恐らくは…都市伝説の、能力
 そして、呂布にはわかる
 恐らく、方天画戟から手を放していなかったら……その破壊の力は、自分にも届いていた
 方天画戟のように、この体は……跡形もなく、破壊されただろう

「いい勘ね。勘のいい人は嫌いじゃないわよ?」

 くすり、微笑む追撃者
 その追撃者を、呂布はじろり、睨みつける

「…加減したな」
「何の事かしら?」
「今、お前は……その気になれは、俺に触れる事ができたはずだ」

 方天画戟を通しての破壊を試みる必要など、なく
 直接呂布に触れて、彼を破壊する事が…先ほど、彼女はできたはずなのだ
 しかし、追撃者はそれをしなかった

 あら、と追撃者は笑って、告げる

「だって、あなたには、護るべき相手が……助けるべき相手が、いるでしょ?なら、あなたは死んじゃ駄目だもの。ちゃんと、その体の持ち主の大切な人を助けてあげなくちゃ」

 追撃者の言葉に、呂布と犬耳メイドが、驚きを表情に浮かべると
 くすくす、ますます追撃者は笑う

「こう言う事ってね、拳を交えると、大体わかっちゃうのよ?コミュニケーションって大事よね?」
「拳で語り合う、とでも言いたいのかよ」

 呆れた声を出す犬耳メイド
 どこの格闘マンガの主人公とライバルだ、それは

「……ねぇ、だから、教えて?」

 犬耳メイドを抱えたまま、追撃者は呂布に尋ねる

「あなたに、戦う事を強制しているのは………………だぁれ?」
「…答えるとでも思っているのか?」
「無理かしらね?」

 でも知りたいの、と
 追撃者は、少し悪戯っぽく笑った

「大切な人を人質にとるなんて、そんな奴、おねーさんが許さないわ。お仕置きしてあげなくっちゃ」
「突然、そんな事を言われて、信じるとでも?」
「…そうねぇ」

 んー、と、犬耳メイドを抱えたまま、考えて見せる追撃者
 やがて、呂布の警戒心を解くように笑いながら、言って来る

「そうね、せめて、信用してもらえるように、名前を名乗りましょうか」

 左腕に、犬耳メイドを抱えた状態のまま、追撃者は右手で、その大きなスリットの入ったタイトスカートの裾を軽く摘んで、微笑んだ

「私は、追撃者……追撃者、玄宗 エリカよ。よろしくね?」
「----玄宗?」

 ……まさか、と
 覚えのある、その名前に……犬耳メイドは、ただただ、嫌な予感しかしない


 月が、静かに三人を見下ろす中
 追撃者は微笑みながら、呂布の次の言葉を待っていた





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