パチン、パチン。
電飾に照らされた夜の街に、音楽とは別の音が混ざる。
パチン、パチン。
パレード、その台車の片隅に座り、爪切りをしている中学生ごろの歳の少女が一人。
パチン、パチン。
少女は爪切りを終えて指の様子を確かめ……おもむろにポーチからヤスりを取り出すと
爪の形を整え始めた。
爪の形を整え始めた。
喧騒、音楽、そしてどこかで何かの都市伝説を蹂躙するマスコットたち。
そういった周囲の状況を全く無視して、彼女は爪にヤスリをかける。
すりすり、すりすり。
指の全てにヤスリをかけ終えたころ、パレードが止まっていることに気が付いた。
ここは<夢の国>。
都市伝説そのものの体内ともいえる場所。
都市伝説そのものの体内ともいえる場所。
そこで少女は……ただ周囲で起こる阿鼻叫喚を無感動に眺めていた。
その視界の中、ある都市伝説はその身体に刃を突き立てられ、逃げ去り。
ある少年は無謀にも戦いを挑み、敗れ、助け出され。
ある契約者の集団は、あっさりと住人として取り込まれた。
ある少年は無謀にも戦いを挑み、敗れ、助け出され。
ある契約者の集団は、あっさりと住人として取り込まれた。
私は……取り込まれているのだろうか?
電飾の光を受け、マニキュアを塗ったわけでもないのにつやつやと輝く自分の爪を見つめ
ながら少女は考えてみる。
電飾の光を受け、マニキュアを塗ったわけでもないのにつやつやと輝く自分の爪を見つめ
ながら少女は考えてみる。
確かに、自分はあの女……<夢の国>の契約者の呼び出すパレードに付随するような形で
現れたり消えたりしているし、飢えも、死も、多分存在していない。
現れたり消えたりしているし、飢えも、死も、多分存在していない。
それは、私の契約する都市伝説の力なのだろうか?
それとも、私もいつか<夢の国>に取り込まれて……自我を失ったのだろうか?
それとも、私もいつか<夢の国>に取り込まれて……自我を失ったのだろうか?
その割には、あの女に命令をされるわけではなく。
誰かと戦うこともなく。(これは、私の都市伝説が戦えないものだからでもあるんだけど)
ただ、見ているだけで。
誰かと戦うこともなく。(これは、私の都市伝説が戦えないものだからでもあるんだけど)
ただ、見ているだけで。
……ふと、<夢の国>の中で聞いたある黒服の声を思い出す。
『思い出して御覧なさい、貴方が本当に望んでいるのは、何なのか……』
白く浮き上がった切断面は滑らかになり、表面の凹凸も、爪が薄くなりすぎない程度に
均していく。
均していく。
……また一つ、都市伝説が取り込まれたようだ。
ここには、飢えも、死もない。
でも、それは生きているということなんだろうか?
半ば自棄で意思を持たないこの都市伝説と契約して、全てに興味がない振りをして、
戦いを、死を眺め……それでも、死を恐れている私は何なんだろうか?
でも、それは生きているということなんだろうか?
半ば自棄で意思を持たないこの都市伝説と契約して、全てに興味がない振りをして、
戦いを、死を眺め……それでも、死を恐れている私は何なんだろうか?
つややかな爪にマニキュアを塗りながら……少女は自問自答する。
私が、本当に望んでいるのは何?