「チィ、しぶとい。一体どんだけ居るのよ。面倒くさいわね」
「ックックック。文句を言うでない。好きなだけ殺していいんじゃ。悪くは無いじゃろ?」
「あんたと一緒にしないでくれ。にしても、完全に殺さなきゃ動きを止めないなんてな」
「ックックック。文句を言うでない。好きなだけ殺していいんじゃ。悪くは無いじゃろ?」
「あんたと一緒にしないでくれ。にしても、完全に殺さなきゃ動きを止めないなんてな」
そう言い合いながら襲いかかる人々を切り刻みまくっている〝レッドキャップ〟〝赤マント〟〝口裂け女〟。
腕や足が無かったり、服が真っ赤に染まっていながらも、人々は攻撃を止まる様子は無い。
腕が無ければ噛付きや蹴りで攻撃し、足が無ければ這い蹲って攻撃してくる。止めをさしてやっと動かなくなるのだ。
さらに、《行き交う人々》にいたっては、暫くすれば傷が治っていくという始末だ。
腕や足が無かったり、服が真っ赤に染まっていながらも、人々は攻撃を止まる様子は無い。
腕が無ければ噛付きや蹴りで攻撃し、足が無ければ這い蹲って攻撃してくる。止めをさしてやっと動かなくなるのだ。
さらに、《行き交う人々》にいたっては、暫くすれば傷が治っていくという始末だ。
「ふぅ、流石にしんどいな。けどなあ、ここで止まる訳にはいかねえんだよ」
辛そうにしながらも、《行き交う人々》の契約者は戦いを見続けている。
亡霊たちを戦わせるだけなら良いが傷を治すには相当のエネルギーが必要になる。
だが、《行き交う人々》の発動も傷の回復も止める気は無い。
亡霊たちを戦わせるだけなら良いが傷を治すには相当のエネルギーが必要になる。
だが、《行き交う人々》の発動も傷の回復も止める気は無い。
〝レッドキャップ〟達を攻撃していた軍団が、突然、彼らの動きを止めるように手足に纏わりついてくる。
「何だ!? いきなり!?」
「知らないわよ!? この、離しなさいよ!」
「知らないわよ!? この、離しなさいよ!」
3・4人程度なら、簡単に振り解く事が出来るが、十数人単位で抑えつけに来るのだ。
これによって、3体は動きを制限されてしまう。
これによって、3体は動きを制限されてしまう。
「鬱陶しいのお。ん? 何じゃ、この音は?」
そんな中、何かが近付く音が聞こえてくる。それは、エンジン音を轟かせ、猛スピードで3体が居る所に突っ込んでくる。
満足に動けない彼らは、それ……大型トラックを初めとした車の突撃をモロに喰らってしまった。
満足に動けない彼らは、それ……大型トラックを初めとした車の突撃をモロに喰らってしまった。
「ッつ、皆!?」
「大丈夫。素体が無事なら修復可能」
「大丈夫。素体が無事なら修復可能」
その様子を目撃し、慌てる〝テケテケ〟を淡々となだめる美咲。だが、その顔には薄らと焦りが浮かんでいる。
それによって、出来た隙を狙っていたのか。
パッーンと言う、銃声が聞こえ美咲の腹部に銃弾が命中した。
それによって、出来た隙を狙っていたのか。
パッーンと言う、銃声が聞こえ美咲の腹部に銃弾が命中した。
「ッく――!」
ドサッと、崩れ落ちそうになった体を片手で支え。銃弾の飛んできた方角を見れば、数人の人間が虚ろな表情のまま此方に銃口を向けている。
その全員の指が、引き金を引いた瞬間。
その全員の指が、引き金を引いた瞬間。
「――――――――危ないんだよねッ!」
大鋏を投げ捨てた〝テケテケ〟が、ズザザァァと、音を上げて移動し美咲を庇う様に壁になった。
美咲の身長の半分程度しかない〝テケテケ〟では、壁になった所で本来それ程の期待は出来ないが、倒れている今ならば問題は無い。
パッーン、パッーン、パッーン、パッーン、パッーン…………………
全員の銃弾が尽きた所で、やっと銃声は鳴り止んだ。と、同時に〝テケテケ〟が倒れる。
美咲の身長の半分程度しかない〝テケテケ〟では、壁になった所で本来それ程の期待は出来ないが、倒れている今ならば問題は無い。
パッーン、パッーン、パッーン、パッーン、パッーン…………………
全員の銃弾が尽きた所で、やっと銃声は鳴り止んだ。と、同時に〝テケテケ〟が倒れる。
「結局、まともに当たったのは最初の一発だけか……。まぁ、当たった事に変わりはねぇな」
銃撃の嵐に気を取られていた間に、近づいていたらしく。美咲が顔をあげたのとほぼ同時に、彼女の首元に、《行き交う人々》の契約者は刃を突き立てる。
呼び出した4体は、全員動けそうにない。その上、あとの2体を呼び出しても、刃が首を裂く方が早いだろう。
呼び出した4体は、全員動けそうにない。その上、あとの2体を呼び出しても、刃が首を裂く方が早いだろう。
「俺達の勝ちだ。最期に何か言う事は有るか?」
「そうですね。実の所、感謝してるんですよ。復讐に来てくれた事を、殺しに来てくれた事を」
「何だ。止めてくれる人を望んでいた、とでも言いたいのか?」
「いえいえ。だって……相手が殺意を持って来たのなら。
「そうですね。実の所、感謝してるんですよ。復讐に来てくれた事を、殺しに来てくれた事を」
「何だ。止めてくれる人を望んでいた、とでも言いたいのか?」
「いえいえ。だって……相手が殺意を持って来たのなら。
――こっちが、殺しても問題ないでしょ」
クスリと、笑った気がした。
美咲の背後に居る《行き交う人々》の契約者には、彼女の表情は分らない筈だと言うのに。
確かに、確実に。笑ったのを感じた。
それに、なにか嫌な気配を感じ反射的に刃を引いた。
美咲の背後に居る《行き交う人々》の契約者には、彼女の表情は分らない筈だと言うのに。
確かに、確実に。笑ったのを感じた。
それに、なにか嫌な気配を感じ反射的に刃を引いた。
ガキン、と美咲の動脈を切り裂くはずの刃は、何か硬いものに当たったような音を立てる。
血が噴き出す事はおろか、刃に血が付いた様子も無い。
その事態に、必殺となる攻撃が効かなかった事に、《行き交う人々》の契約者は叫びをあげる。
血が噴き出す事はおろか、刃に血が付いた様子も無い。
その事態に、必殺となる攻撃が効かなかった事に、《行き交う人々》の契約者は叫びをあげる。
「なっ、何でだ?! 《七人みさき》に契約者の肉体強化の能力は無い筈だろ!?」
「ええ。《七人みさき》にはそんな力は有りませんよ。ズッ、く。
今のは、ッツく。〝硬気功〟です。そして、……これが〝軟気功〟」
「ええ。《七人みさき》にはそんな力は有りませんよ。ズッ、く。
今のは、ッツく。〝硬気功〟です。そして、……これが〝軟気功〟」
傷口を指で広げて、貫通せず体に残っていた弾丸を取り出すながら喋る美咲。
取り出すたところで、淡く光る左手を傷口に当てると、見る見るうちに傷口が治されていく。
取り出すたところで、淡く光る左手を傷口に当てると、見る見るうちに傷口が治されていく。
「多重契約者? いや、そんな訳はねえ。《七人みさき》の契約コストは相当の筈だ。
多重契約なんて、普通は出来る訳が無い」
「私をいいえ、《七人みさき》を調べたなら知ってる筈ですよね?
【七人みさきに殺された者は七人みさきになる】って話ぐらいはね。
〝レッドキャップ〟達の様に使役するだけじゃ無くて、私自身がその能力を使用する事も出来るんです。
まぁ、無条件って訳でも有りませんけど。そして――」
多重契約なんて、普通は出来る訳が無い」
「私をいいえ、《七人みさき》を調べたなら知ってる筈ですよね?
【七人みさきに殺された者は七人みさきになる】って話ぐらいはね。
〝レッドキャップ〟達の様に使役するだけじゃ無くて、私自身がその能力を使用する事も出来るんです。
まぁ、無条件って訳でも有りませんけど。そして――」
そう語る美咲の影が、本来の物を残して左右に3つに分かれていき、計7つの影が出来上がる。
新しく現れた影が盛り上がり、それぞれ人の姿と成っていく。具体的にいえば、美咲と同年代の少女の姿へと変わった。
新しく現れた影が盛り上がり、それぞれ人の姿と成っていく。具体的にいえば、美咲と同年代の少女の姿へと変わった。
「「「「「「「私達が、《七人みさき》本来の姿です」」」」」」」
それは、《七人みさき》と美咲が契約する際に、元になった亡霊である少女たちの姿だった。
彼女達が現れると同時に、辺りの《百匹目の猿現象》に操られていた群衆がバタバタと倒れていく。
彼女達が現れると同時に、辺りの《百匹目の猿現象》に操られていた群衆がバタバタと倒れていく。
「そしてさ」「《七人みさき》によ」「出会った者はだね」「高熱にですね」「襲われる」「な~んて」「話もありますよ」
髪型が、服装が、性格がそれぞれ違う7人の少女達が交互に喋る。
その内容から、《行き交う人々》の契約者は美咲が他の都市伝説の力を使った理由と、群衆が倒れた原因を理解した。
その内容から、《行き交う人々》の契約者は美咲が他の都市伝説の力を使った理由と、群衆が倒れた原因を理解した。
「殺した都市伝説を取り込んで支配出来る上に、存在するだけで相手を病気にさせるってのか?」
「その通り。とは言え、発病の能力は一般人にしか効果は無いんだけどね」「まぁ、こういう時には便利だけどよ」
「最近は、私達が出てくる機会も無かったからな」「久しぶりに外に出れて嬉しいです」「同感」「ホントにラッキーだよ」
「まぁ。都市伝説が相手だとあまり役に立たないうえ、五月蝿くなるだけですしね」
「その通り。とは言え、発病の能力は一般人にしか効果は無いんだけどね」「まぁ、こういう時には便利だけどよ」
「最近は、私達が出てくる機会も無かったからな」「久しぶりに外に出れて嬉しいです」「同感」「ホントにラッキーだよ」
「まぁ。都市伝説が相手だとあまり役に立たないうえ、五月蝿くなるだけですしね」
ブーブー、と文句を言いだす亡霊少女達を美咲はさらりとスル―し、周囲を亡霊で固め始めている《行き交う人々》の契約者に目を向ける。
「彼女達が全員揃わないと、発病の力は使えない上に、人並みの力しかないので取り込んだ都市伝説に戦わせる方が手っ取り早いんですよ。
ともかく、先に貴方の奥さんを潰しときましょうか。〝さとるくん〟居場所を教えて下さい」
「オーケー。……あのビルの最上階に居るみたいだね」
「……っ! させるかぁぁぁぁッ!!!!」
ともかく、先に貴方の奥さんを潰しときましょうか。〝さとるくん〟居場所を教えて下さい」
「オーケー。……あのビルの最上階に居るみたいだね」
「……っ! させるかぁぁぁぁッ!!!!」
〝さとるくん〟が指を指すビルを見た《行き交う人々》の契約者は、眼の色を変えて亡霊達と共に飛び掛かって来た。
その反応は、自分から〝さとるくん〟の示したビルが正しいと言っているようなものだった。
その反応は、自分から〝さとるくん〟の示したビルが正しいと言っているようなものだった。
「〝鬼女〟」
美咲や《七人みさき》を仕留めようとした彼らは、その一言で現れた和服の美女に触れること無く、まとめて吹き飛ばされた。
「大盤振る舞いじゃないか。妾まで呼ぶなんてさ」
「仕方がないでしょう。私を含めた本体や〝さとるくん〟じゃあ攻撃力に欠けるんだから。
ついでに、あのビルも潰して貰おうと。どんな都市伝説かは分かりませんけど、街の人達を操っているのが居るみたいですから」
「仕方がないでしょう。私を含めた本体や〝さとるくん〟じゃあ攻撃力に欠けるんだから。
ついでに、あのビルも潰して貰おうと。どんな都市伝説かは分かりませんけど、街の人達を操っているのが居るみたいですから」
額に小さな角がある彼女は、〝鬼女〟と言う名の通り鬼の一種である。
ただし、普通の鬼のように他者を圧倒する筋力は持っていない。その変わりに有するのが、多種多様な術式だ。
まぁ、身体強化の術式を修めて居るので殴り合いも出来なくはない。
それ故に彼女は、《七人みさき》に取り込まれている都市伝説で、トップの実力の持ち主と言える存在なのだ。
ただし、普通の鬼のように他者を圧倒する筋力は持っていない。その変わりに有するのが、多種多様な術式だ。
まぁ、身体強化の術式を修めて居るので殴り合いも出来なくはない。
それ故に彼女は、《七人みさき》に取り込まれている都市伝説で、トップの実力の持ち主と言える存在なのだ。
「成程ね。発動者が死ねば支配が解ける可能性も有るって事かい? そう言う事なら分かったよ」
先程の一撃で気絶した《行き交う人々》の契約者を一瞥し、ビルを見やる〝鬼女〟。その右手には、目に見える程の力が集まっていく。
集まった力は、腕先から肘までを渦巻きながら纏われている。
集まった力は、腕先から肘までを渦巻きながら纏われている。
力の集束が止むと同時に身体ごと右腕を引き、ビルに狙いを定め撃ち出そうとしている。
それを阻もうとしている者は、誰も居ない。
操られた人々は、《七人みさき》の力で倒れ、男性は気絶したままだ。
それを阻もうとしている者は、誰も居ない。
操られた人々は、《七人みさき》の力で倒れ、男性は気絶したままだ。
「っりゃあぁぁぁぁぁぁァァァ!!!!!!!」
その〝鬼女〟の一声と共に、ビルに向かって爆音を響かせながら螺旋を描き放たれた――。
油断していた、と言うべきだろう。
呼び出された都市伝説を全て倒され、《七人みさき》に止めがさされる。
そう思っていた《百匹目の猿現象》の契約者である女性は、提げていた双眼鏡でその様子を見ていた。
夫の刃が防がれたり、少女が増え支配下の群衆が倒れたり、現れた少年によって自分の居る場所を知られた事も解った。
だが、これだけ離れて居れば大丈夫だと思っていた。
呼び出された都市伝説を全て倒され、《七人みさき》に止めがさされる。
そう思っていた《百匹目の猿現象》の契約者である女性は、提げていた双眼鏡でその様子を見ていた。
夫の刃が防がれたり、少女が増え支配下の群衆が倒れたり、現れた少年によって自分の居る場所を知られた事も解った。
だが、これだけ離れて居れば大丈夫だと思っていた。
「ヒッ」
故に、現れた和服の美女に都市伝説ごと夫が倒され、双眼鏡越しに目が合って、恐怖に包まれる。
だからなのか、もしくはまだ余裕を感じていたのかその場を動きはしなかった。
だが、和服美女の腕に集まって行く力に、不味いと思いビルから去ろうと行動を起こした。が、遅すぎた。契約によっての身体強化が全くない彼女には、逃げる事は叶わなかった。
だからなのか、もしくはまだ余裕を感じていたのかその場を動きはしなかった。
だが、和服美女の腕に集まって行く力に、不味いと思いビルから去ろうと行動を起こした。が、遅すぎた。契約によっての身体強化が全くない彼女には、逃げる事は叶わなかった。
閃光に包まれて消えゆく中で、《百匹目の猿現象》の契約者が最期に思ったのは、娘の仇を取れなかった無念と夫の無事だった。
気絶から目覚めた《行き交う人々》の契約者が最初に目にしたのは、妻が居るビルが崩れて行く光景だった。
呆然とそれを見て居た彼だったが、段々と眼の前で起こっている事を理解していった。
呆然とそれを見て居た彼だったが、段々と眼の前で起こっている事を理解していった。
「な、あ、な、~~~~~~~!!!」
言葉にならない悲鳴を上げ、呆然とする《行き交う人々》の契約者を尻目に美咲達は話し始める。
「うん。相変わらず凄いですね。〝鬼女〟の一撃は、もう二度と敵には回したくないですよ」
「そんなに褒めないでくれよ。で、如何だい? 成果は有ったかい?」
「大丈夫みたいだよ。敵意や殺意みたいなのが周りの人達から感じなくなったから」
「そんなに褒めないでくれよ。で、如何だい? 成果は有ったかい?」
「大丈夫みたいだよ。敵意や殺意みたいなのが周りの人達から感じなくなったから」
〝さとるくん〟の言葉通り、苦しみながらも向けられ続けて居た自分達への害意が無くなった事に成功と判断した。
「んじゃ私達の出番もお仕舞い?」「おいおい。まだ、出たりねぇぞ」「それは、同感だな」
「えと、私は別に……」「素直に」「遊びた~い。転がってる奴らで遊びた~い!」
「えと、私は別に……」「素直に」「遊びた~い。転がってる奴らで遊びた~い!」
群衆を抑えるために呼び出された《七人みさき》の本体たちが口々に文句を言ってくるが、美咲は呆れたように溜息を吐いて言った。
「何を言ってるんですか。抵抗するのを分ってて、戻す訳がないでしょう。倒れてる人達への止めお願いしますよ」
「「「イェーイ!!!」」」「「よし!」」「やった」
「「「イェーイ!!!」」」「「よし!」」「やった」
そこら中に落ちている武器を手に、苦しんでいる人々に襲い掛かる少女達。
発病の力によって満足に反抗もできずに、群衆は確実に殺されていく。
何が起こっているのか? 自分達が先程まで何をしていたのか? そんな疑問を抱えたままに殺されていく。
発病の力によって満足に反抗もできずに、群衆は確実に殺されていく。
何が起こっているのか? 自分達が先程まで何をしていたのか? そんな疑問を抱えたままに殺されていく。
「「「アハ、アハハハハハハ!!!!!」」」「「クス、クスクスクス!!!」」「フ、フフフフ!!!」
殺しまわる少女達の笑い声に、男性は気を取り直した。
「止めろ! 支配が解けたのならこの人達は関係無いだろう?!」
周りの出来ごとに焦って、《行き交う人々》を再び展開し、亡霊少女達を止めさせようとする。
「言ったでしょう。殺意には殺意で返すと、操られていようと何だろうと。いえ、私達に遭遇した時点で変わりはありません」
「そう言う事。《七人みさき》に、僕達に出会った時点でこの人達が死ぬのは確定してるんだよ」
「そう言う事。《七人みさき》に、僕達に出会った時点でこの人達が死ぬのは確定してるんだよ」
それを遮るように美咲と〝さとるくん〟が語り、
「そもそも、捨て駒だったんだろう? 今更何言ってるんだい」
阻むように〝鬼女〟が彼らの前に立つ。
「それは……ッ!」
「反論なんかしなくて良いよ。それじゃ、僕は戻らせてもらって良いかな? する事も無いみたいだし」
「そうですね。良いですよ、戻ってて下さい」
「反論なんかしなくて良いよ。それじゃ、僕は戻らせてもらって良いかな? する事も無いみたいだし」
「そうですね。良いですよ、戻ってて下さい」
〝さとるくん〟が消えても、《行き交う人々》の契約者に余裕は生まれない。
そもそも、敵戦力として数えて居なかったのだ。居なくなっても変わりは無い。
警戒しているのは〝鬼女〟と呼ばれた眼の前の女性だ。
先程、都市伝説ごとまとめて吹き飛ばされたのだから当然だろう。
そもそも、敵戦力として数えて居なかったのだ。居なくなっても変わりは無い。
警戒しているのは〝鬼女〟と呼ばれた眼の前の女性だ。
先程、都市伝説ごとまとめて吹き飛ばされたのだから当然だろう。
「ついでに、他の皆も回収しておきますか。何時までも、倒れたままで居られても困りますし」
倒れていた〝テケテケ〟と車の群れに潰されていた3体の都市伝説も〝さとるくん〟と同様に美咲の中に戻っていく。
その最中も人々を殺し尽していた少女達は、満足したのか飽きたのか美咲の傍に寄って来た。
もう既に、その場に居たほぼ全ての人間が息絶え。残りの全員も、呼吸を荒くしたり血を吐いたりとかなり衰弱している。
その最中も人々を殺し尽していた少女達は、満足したのか飽きたのか美咲の傍に寄って来た。
もう既に、その場に居たほぼ全ての人間が息絶え。残りの全員も、呼吸を荒くしたり血を吐いたりとかなり衰弱している。
ヤバイ、その一言が、今の《行き交う人々》の契約者の頭を占めている。
自分達の力だけでは〝鬼女〟を倒す事が出来ず、自分達に仲間が居る訳でもない。
だからこそ、この状況を打破するため、〝鬼女〟よりも先に美咲や少女達に矛先を向けて襲いかかろうとし、
自分達の力だけでは〝鬼女〟を倒す事が出来ず、自分達に仲間が居る訳でもない。
だからこそ、この状況を打破するため、〝鬼女〟よりも先に美咲や少女達に矛先を向けて襲いかかろうとし、
「判断としては、間違っちゃいないね。けどまぁ、させる訳が無いけどね。土式――」
辛うじて息の合った群衆とまとめて、地面から突き出た石の槍にその身を貫かれた。
「ガ……ッハ!!」
「操技っとね」
「カハッ。ぐ、そっ。ヒューヒュー」
「操技っとね」
「カハッ。ぐ、そっ。ヒューヒュー」
〝鬼女〟が創りだした槍に穿たれ、倒れていた全ての人間は止めを刺され、命を落としていった。
そんな中で《行き交う人々》の契約者である男性だけは微かだが息が有った。
しかし、すでに都市伝説を維持する力は無いようだ。
その様子に、何かを思いついたような表情を見せる美咲。
集まっていた亡霊少女達に何かを告げて、彼女達もそれに賛同する。
そんな中で《行き交う人々》の契約者である男性だけは微かだが息が有った。
しかし、すでに都市伝説を維持する力は無いようだ。
その様子に、何かを思いついたような表情を見せる美咲。
集まっていた亡霊少女達に何かを告げて、彼女達もそれに賛同する。
「その傷だと、もう長くは無いみたいですね。最期の手向けとして良い物を見せてあげますね」
「良、イ物? な、んノ、事だ」
「秘密だよ~。美咲っち、こっちは良いよ」
「それじゃあ、初めますか。これだけ居ると、私だけじゃ大変ですからね。」
「良、イ物? な、んノ、事だ」
「秘密だよ~。美咲っち、こっちは良いよ」
「それじゃあ、初めますか。これだけ居ると、私だけじゃ大変ですからね。」
7人が手を掲げると、死んだ人たちの体から人魂と呼べる様な光の球が出て来る。それは、吸い込まれるように《七人みさき》の手に向かっていく。
無数の光球が湧き出る様子は、とても綺麗で幻想的な光景であり。確かに美咲の言った通り、良い物と呼べるかもしれない。
だが、それも光球の正体が何なのか知らないから感じられる事だろう。
無数の光球が湧き出る様子は、とても綺麗で幻想的な光景であり。確かに美咲の言った通り、良い物と呼べるかもしれない。
だが、それも光球の正体が何なのか知らないから感じられる事だろう。
「綺麗よね。これが所謂、命の輝きってヤツなのかしらね」
「言い得て妙だな、命の輝きとは。確かに、その通りだ」
「言い得て妙だな、命の輝きとは。確かに、その通りだ」
この光球は、知識や経験・能力と言った物が凝縮されたモノの塊であり、その人の生きた証と言っても良い。
《七人みさき》に殺されている事を条件に、人間や都市伝説に関係なく人型の存在にのみ現れる。
これを吸収する事によって、別の都市伝説を《七人みさき》に取り込むことが出来るのだ。
《七人みさき》に殺されている事を条件に、人間や都市伝説に関係なく人型の存在にのみ現れる。
これを吸収する事によって、別の都市伝説を《七人みさき》に取り込むことが出来るのだ。
「い~っぱい集まったね。これだけ有れば、今日の分は大丈夫かな?」
「大丈夫どころかお釣りが来る位ですね。あなた達や〝鬼女〟も出したのに、消費分以上が集まりました。」
「大丈夫どころかお釣りが来る位ですね。あなた達や〝鬼女〟も出したのに、消費分以上が集まりました。」
また、都市伝説を使うために必要なエネルギーの代わりにも出来る。
ただし、消費した分は決して戻らず、都市伝説や契約者の方がエネルギーが多い。
この機能によって、美咲は都市伝説に取り込まれる事無く、ギリギリのラインで人間としての自分を保っているのだ。
ただし、消費した分は決して戻らず、都市伝説や契約者の方がエネルギーが多い。
この機能によって、美咲は都市伝説に取り込まれる事無く、ギリギリのラインで人間としての自分を保っているのだ。
薄れゆく意識の中で、その様子を見ながら《行き交う人々》の契約者は、自分達の復讐が失敗した事を理解した。
いや、余計に力を蓄えさせてしまった分、逆効果だったとしか言いようが無いのかもしれない。
そもそも、前提から間違っていたのだ。《七人みさき》を相手に、物量戦で戦おうとした事が。
それを理解したのかは分らないが、悔しさと無念さを感じながら彼は、息を引き取った。
いや、余計に力を蓄えさせてしまった分、逆効果だったとしか言いようが無いのかもしれない。
そもそも、前提から間違っていたのだ。《七人みさき》を相手に、物量戦で戦おうとした事が。
それを理解したのかは分らないが、悔しさと無念さを感じながら彼は、息を引き取った。
「うっし、全部集まったみてぇだな」
「そ、そうですね。あ、あれ? 〝鬼女〟さんは何処に」
「ええと。やる事やったから戻るって言って、戻りましたよ」
「私達も戻る」
「あぁ。そろそろ、移動しないと不味いかもしれん。戻るとしよう」
「むぅ~。しょ~がないか」
「そ、そうですね。あ、あれ? 〝鬼女〟さんは何処に」
「ええと。やる事やったから戻るって言って、戻りましたよ」
「私達も戻る」
「あぁ。そろそろ、移動しないと不味いかもしれん。戻るとしよう」
「むぅ~。しょ~がないか」
そう言うと、出て来た時とは反対に、亡霊少女達の体は影に沈んでいき。6つの影は美咲の影へと合わさった。
残ったのは、無数の死体とたった1人の少女の姿。その少女……美咲は急ぐ様子も無く、のんびりと街を去っていく。
残ったのは、無数の死体とたった1人の少女の姿。その少女……美咲は急ぐ様子も無く、のんびりと街を去っていく。
「うわ?! 何じゃこりゃ……」
「辺り一面、死体だらけですねぇ……」
「辺り一面、死体だらけですねぇ……」
美咲が離れてから十数分後程で、入れ違いになるように黒服と女性の2人がやって来た。
彼らは、一番近くに居た事とその能力の関係から、組織がこの街から観測した都市伝説の調査を命じられたのだ。
それでやって来た現場は、死体だらけ。組織の人間として、それなりに人の死は見て来た2人も唖然としている。
彼らは、一番近くに居た事とその能力の関係から、組織がこの街から観測した都市伝説の調査を命じられたのだ。
それでやって来た現場は、死体だらけ。組織の人間として、それなりに人の死は見て来た2人も唖然としている。
「取り合えず、この街封鎖しとくべきか」
黒服が携帯で本部に連絡し、現場の状況を報告し街の封鎖を依頼する。
組織の方も、報告の内容から隠蔽が難しく時間がかかると判断し封鎖を決定したようだ。
組織の方も、報告の内容から隠蔽が難しく時間がかかると判断し封鎖を決定したようだ。
「取り合えず。調べてみましょうか、危険は無いって私の《女の勘》が言ってますしぃ」
黒服の電話の間に、気を取り直していたらしい女性がそう告げる。
彼女は、女性限定の都市伝説である《女の勘》の契約者だ。その的中率は90%とかなり高い。
彼女は、女性限定の都市伝説である《女の勘》の契約者だ。その的中率は90%とかなり高い。
「だな。そんで、誰を調べれば良いんだ。教えてくれ」
「ええと、ですね。…………あ、あの人ですねぇ」
「アイツだな。んじゃま、調べるとしますかな」
「ええと、ですね。…………あ、あの人ですねぇ」
「アイツだな。んじゃま、調べるとしますかな」
女性が示した死体へ向かう黒服。
その死体は、他の幾つかと同じく地面からの槍によって体を貫かれている。
それは、《行き交う人々》と契約していた男性だった。
その死体は、他の幾つかと同じく地面からの槍によって体を貫かれている。
それは、《行き交う人々》と契約していた男性だった。
「さぁて、教えてくれ《残留思念》。此処で、何が起きたのかを」
《行き交う人々》の契約者の死体に手を当てて、黒服は都市伝説の力を発動させた。