----それは、朝比奈 秀雄が、「黄金伝説」のドラゴンの力を表に出した、その直後の事
『…あぁ、こちらからも見えている』
その朝比奈 秀雄の姿を、離れた場所にある廃ビルの窓から確認しながら、何者かと連絡をとっている大男が一人
…G-No.1、ジェラルド・グライリッヒだ
彼の足元には、意識を失い、倒れている男性の姿がある
そして、その傍には、破壊されたCDラジカセとヘッドフォンも落ちていた
…G-No.1、ジェラルド・グライリッヒだ
彼の足元には、意識を失い、倒れている男性の姿がある
そして、その傍には、破壊されたCDラジカセとヘッドフォンも落ちていた
コーク・ロア…「コーラにはコカインが含まれている」、その支配型と契約「させられた」人間だ
セイレーンの歌を聴かされ、半永久的に能力を発動させられ続けていたそれを見つけ出し、解放したのだ
……歌から解放した途端暴れたので、とりあえず気絶させたが
セイレーンの歌を聴かされ、半永久的に能力を発動させられ続けていたそれを見つけ出し、解放したのだ
……歌から解放した途端暴れたので、とりあえず気絶させたが
部屋には、ヘンリエッタの姿もある
こちらも、誰かと連絡を取っているようで…ちょいちょい、とジェラルドを手招きした
ジェラルドは招かれるまま、彼女に近づく
こちらも、誰かと連絡を取っているようで…ちょいちょい、とジェラルドを手招きした
ジェラルドは招かれるまま、彼女に近づく
「…「黄金伝説」のドラゴン。それで確定じゃそうじゃ」
「……了解いたしました」
「……了解いたしました」
頷き、ジェラルドは携帯越しに、伝える
『…聞えたか?「黄金伝説」、「聖人伝」のドラゴンだ』
『……「黄金伝説」の?確か、そのドラゴン共は「教会」が封印・管理していたんじゃなかったのか?』
『……「黄金伝説」の?確か、そのドラゴン共は「教会」が封印・管理していたんじゃなかったのか?』
ジェラルドが話している言葉も、携帯越しの話し相手が話している言葉も、一般人が聞いても理解できない言語だ
……「組織」が、周囲に漏らしたくない内容を連絡しあう時に使う、暗号言語
ただ、今二人が使っているそれは、最新のものではない
少し、前のもの……あえて言うなら、昨年のマッドガッサー達の騒動が表面化する、その少し前に使われていたものだ
……「組織」が、周囲に漏らしたくない内容を連絡しあう時に使う、暗号言語
ただ、今二人が使っているそれは、最新のものではない
少し、前のもの……あえて言うなら、昨年のマッドガッサー達の騒動が表面化する、その少し前に使われていたものだ
『詳細は不明だ。この騒動が終わったら「教会」に確認をとる』
『………そうか』
『………そうか』
携帯越しに聞える声は、若い青年のものだ
…小さく、ジェラルドがため息をつく
…小さく、ジェラルドがため息をつく
『…朝比奈については、以上だ』
『わかった。てめぇらは、そっちの対処に行くのか?』
『わかった。てめぇらは、そっちの対処に行くのか?』
尋ねられ、ジェラルドはヘンリエッタに視線をやった
ヘンリエッタは小さく、首を左右に振る
ヘンリエッタは小さく、首を左右に振る
「………行かぬ。できる事ならば、向かいたいが……へたにそちらに向かって、D-No.962の…大門の邪魔も、したくない」
『そうか。なら、スーパーハカーから、他のコーク・ロア支配型契約者の場所でも聞いておけ。こっちはこっちで忙しい』
『そうか。なら、スーパーハカーから、他のコーク・ロア支配型契約者の場所でも聞いておけ。こっちはこっちで忙しい』
電話の声の主はぶっきらぼうにそう言って、通話を切ろうとした
待て、とジェラルドがそれを止めると、不機嫌そうな声が返ってくる
待て、とジェラルドがそれを止めると、不機嫌そうな声が返ってくる
『……何だ。てめぇらとそんなに長く話していたくねぇんだよ。こっちをコーク・ロア契約者と間違えてきやがって…』
『………それについては、謝罪しただろう。都市伝説の気配のみを感知していて、その詳細までは確認できていなかった』
『…まぁ、いいんだがな。こっちから連絡取らなかったら、お前らは「13階段」に引きずり込まれていただけなんだし』
『………それについては、謝罪しただろう。都市伝説の気配のみを感知していて、その詳細までは確認できていなかった』
『…まぁ、いいんだがな。こっちから連絡取らなかったら、お前らは「13階段」に引きずり込まれていただけなんだし』
冷たい、やや、嘲るような声
ジェラルド達と青年の間には、信頼関係に属するものは、一切ない
……ただ、青年から、敵意や嫌悪が向けられているだけだ
ジェラルド達と青年の間には、信頼関係に属するものは、一切ない
……ただ、青年から、敵意や嫌悪が向けられているだけだ
『宏也が、お前らには利用価値があるから生かすってだけだ。引きずり込まれなかった事、ありがたく思っておけ』
そう言って、青年はぶつり、今度こそ通話をきってしまった
直後、ジェラルドの携帯の画面に、ぴょこり、包帯まみれの兎のようなキャラクターが現れる
スーパーハカーだ
直後、ジェラルドの携帯の画面に、ぴょこり、包帯まみれの兎のようなキャラクターが現れる
スーパーハカーだ
『ッタクヨォ、アノへたれモ、はにーニ聞カレタクナイカラッテ、俺様ニモ理解デキナイ言葉デ喋ルナッテンダ……デ?他ニモ、「こーく・ろあ」契約者ノ居場所、テメーラニ教エリャイイノカ?』
「……そうだ」
『ハイヨーット。サテハテ、コッカラ近イノハット…』
「……そうだ」
『ハイヨーット。サテハテ、コッカラ近イノハット…』
ひょこんっ、と、スーパーハカーの姿が一瞬、画面から消えた
ネット空間を彷徨い、監視カメラなどの映像を漁ってきて、場所を探してくるのだろう
ネット空間を彷徨い、監視カメラなどの映像を漁ってきて、場所を探してくるのだろう
…コーク・ロア支配型の契約者達を探し、都市伝説と都市伝説契約者の気配がする場所へと向かっていたヘンリエッタとジェラルド
だが、2人が辿り着いた場所にいたのは、コーク・ロアの契約者ではなく……マッドガッサー一味のメンバーである広瀬 辰也と空条 恵、それにジャッカロープだったのだ
辰也の力で、その建物内には「13階段」の能力が張り巡らされており、先程の会話で辰也が言っていた通り、彼らが先にヘンリエッタ達がやってきた事に気づき、警告しなければ、二人は「13階段」に引きずり込まれていた事だろう
だが、2人が辿り着いた場所にいたのは、コーク・ロアの契約者ではなく……マッドガッサー一味のメンバーである広瀬 辰也と空条 恵、それにジャッカロープだったのだ
辰也の力で、その建物内には「13階段」の能力が張り巡らされており、先程の会話で辰也が言っていた通り、彼らが先にヘンリエッタ達がやってきた事に気づき、警告しなければ、二人は「13階段」に引きずり込まれていた事だろう
広瀬 辰也と言う存在は…ヘンリエッタとしては、彼女の罪の証の一つだ
「組織」のHナンバーの実験体の生き残りである彼が、いまだ「組織」から追われている身である自分と恵を見逃すならば、「コーク・ロア」契約者の居場所を教えてやる、と取引を持ちかけてきた時
………それを、彼女が断れるはずもなかったのだ
もっとも、今回はどちらにとても利益がある状況だから、いい
だが、もしこれが、ヘンリエッタ達にとっては不利益しか生じないような取引であったとしても…それを、彼女は断れなかっただろう
「組織」のHナンバーの実験体の生き残りである彼が、いまだ「組織」から追われている身である自分と恵を見逃すならば、「コーク・ロア」契約者の居場所を教えてやる、と取引を持ちかけてきた時
………それを、彼女が断れるはずもなかったのだ
もっとも、今回はどちらにとても利益がある状況だから、いい
だが、もしこれが、ヘンリエッタ達にとっては不利益しか生じないような取引であったとしても…それを、彼女は断れなかっただろう
……ひょこりっ
ジェラルドの携帯に、スーパーハカーが戻ってきた
ぱぱぱっ、と携帯の画面に地図を広げ出す
ジェラルドの携帯に、スーパーハカーが戻ってきた
ぱぱぱっ、と携帯の画面に地図を広げ出す
『近イノハ、ここトここダナ。他ニモワカッタラ教エテヤル』
「…わかった……では、お嬢様」
「うむ。朝比奈の牙を削ぐ。行くぞ」
「…わかった……では、お嬢様」
「うむ。朝比奈の牙を削ぐ。行くぞ」
歩き出したヘンリエッタ
その後を、ジェラルドはついていく
その後を、ジェラルドはついていく
…部屋の中には、あとで「組織」に保護される予定の、コーク・ロア契約者だけが、気絶した状態で残されているのだった
to be … ?