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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 赤い靴・XNo-08

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 それは、とある国のとある場所
 外界と寸断された、一般人は決して立ち入る事のできぬ場所
 外界との連絡手段など、ないはずのその場所にて


「…ちゃんと、食事は三食とっていますか?きちんと、栄養のバランスは考えていますか?」
『ちゃんと、食べてますよ。栄養も変に偏らないように、肉も魚も食べてますってば……勘弁してくださいよ、シスター・ドリス。俺、もう子供じゃないんですから』

 カソックを身に纏った、一人の美しい女性が、誰かと通信機のような物で連絡を取り合っていた
 …これは、本来、こんな場所に持ち込んではいけない物だ
 だが、彼女は、とある手段を使って、これを手に入れていた
 ……何せ、心配で心配で、仕方ないのだ
 大切な、息子代わりの、あの青年が
 だから、ここに来るよりも前からの親友たちに頼み込んで、手に入れてもらった
 お陰で、こうやっていつでも、彼と連絡を取り合える

「あら………私にとっては、あなたはいつまでも可愛い子供ですよ」

 くすり、とシスター・ドリスと呼ばれた彼女は微笑む
 通信機の向こうの…彼女がヘンリーと呼んだ青年は、ドリスの言葉に苦笑しているようだった

『そろそろ、俺はあなたより見た目は年上になりますよ?』
「…見た目など、関係ありません。あなたは、私の大切な息子です」
『…………ありがとうございます。シスター・ドリス』

 感謝の言葉
 それを受けて、ドリスは少し、寂しそうに微笑んだ
 ……あの子は、自分に感謝してくれるけれど
 むしろ、感謝すべきは……こちらだというのに

『それじゃあ、そろそろ通信切りますよ?俺と連絡とりあってるとこ、他の神父様達に見付かったらやばいでしょう』
「ふふっ、それもそうですね…それでは、また」

 ぷつり、と通信を切る
 ドリスは、通信機をそっと懐に仕舞いこむと……目の前の、見事なステンドグラスを見上げて
 静かに跪き、十字を切る

「…神よ、私はまた、罪を犯しました」

 息子代わりのヘンリーと、こうして極秘に連絡を取り合うたび、彼女はこうして懺悔する
 ……今、自分が身をおいている「教会」に、このような秘密を抱えている事実を懺悔する

 いつも通りの光景
 ここは、彼女以外、誰も立ち入りが許されて居ない場所であるが故、この姿を目撃できる者はいない

 ……いない、はずなのだ、本来は


 だが
 この日は、いつもと違った


 ドリスの背後の空間が、歪む
 そこから…音もなく、一人の男が姿を現した
 長い白髪、銀色の瞳…眼鏡をかけて、白いスーツを身に纏った青年

 ドリスは振り返ることもなく
 その気配に、小さく笑いかけた

「……あなたは、いつかいらっしゃるのではないかと思っておりました」
「…そうかい。それなら、俺が来た用件はわかっているな?」
「もちろんです……ミスター・ザン」

 ゆっくりと、ドリスは振り返る
 そこにいた青年…ザンに、悲しげに微笑みかけた

「あの方の事、ですね?」
「あぁ」

 手の中で何かを弄びながら、ザンはまっすぐにドリスを見つめた
 その、かすかに威圧感すら感じる視線から、ドリスは逃げようとしない

 …まるで、逃げない事こそが、己の罪の償いであるかのように

「あの日……あいつは、死んでいなかったんだな?」
「…………」
「ジブリルの野郎が、あいつを逃がしたんだな?そして………お前が、治療したんだろ。なぁ、ドリス!「癒しの土」に飲み込まれて、それそのものになっちまってるお前なら、たとえ死にかけの状態でも、治癒できるだろうからな!!」

 感情を爆発させたかのような、ザンの声
 ドリスは、それを真っ直ぐに受け止めて

「…その通りでございます」

 一切、否定しなかった
 申し訳なさそうに、ザンを見つめる

「……せめて、あなたにだけでも、真実を伝えるべきでした……しかし、あの時の私達は、あの方を救う事で、精一杯でした…」
「…そのうち、俺との連絡手段がなくなっちまった、って訳か…」

 ……彼が死んだのだと、そう思い込んでしまった日
 あの血溜まりを、見てしまった後から
 ザンは、「組織」との接触を取らなくなっていた
 そして、彼との連絡手段も、失ってしまっていたから
 ……真実を知る事が、できないままだったのだ

 しかし、先ほど、E-No.0ことエーテルと、彼の契約都市伝説であるマクスウェルの力を借りて、ザンは真実に辿り着いた


 かけがえのない親友は
 D-No.0は………まだ、生きているのだ、と


「過ぎた事は、いい……ドリス、あいつはどこにいるんだ?」
「…申し訳ありません…私は、それを把握してはいないのです。私は普段は「教会」のメンバーとしてここにいて……あの方達とは、あちらからの接触を待つしかないのです」

 …ドリスの言葉から、嘘は感じられない
 本当に、知らないのだろう
 やや落胆しながら、ザンはため息をついた

「…そうか」
「お力になれず、申し訳ありません」
「いや、いい………もし、今度、お前にあいつから連絡が来たなら、伝えてくれ……いつもの場所で、会おう、ってな」

 ザンの申し出に、ドリスはこくりと頷いた
 …せめてもの、罪滅ぼしをするかのように

 それじゃあ、とザンはこの場を立ち去ろうとして…
 ……が、何か思い出したように、立ち止まる

「あぁ、そうだ、ドリス。お前の土、少しもらえるか?」
「…構いませんが……どなたか、ご病気か、怪我をなさったのですか?」
「あぁ、真実を知るのに、エーテルに無茶させたからな……せめて、怪我くらいは治すもん、渡したいからな」
「わかりました、少々、お待ちくださいませ…」

 静かに、ドリスは集中する
 両手を合わせ、跪き……まるで、神へ祈りを捧げているような、姿で
 祈る彼女のその組み合わされた両手
 …彼女が、手を開いた時
 そこには、一握りの土が出現していた

 「癒しの土」
 どんな病も治す、奇跡の土
 ドリスが契約したことにより、この土は、怪我すらも治癒できるようになった
 その土を、ドリスは小さな袋に詰める

「どうぞ。使い方は…」
「わかってる。ちゃんと説明してから使うさ」

 …流石に、問答無用で口に突っ込んだりはしない
 ザンの言葉に、ドリスはくすりと微笑んだ

 …そんなドリスの前で、ザンは今度こそ、姿を消した
 静寂な空間に、彼女は取り残される


「……真実を知りましたか……………どうか、無茶をなさいませんように……」

 真実を知った主の親友が、「組織」相手に無茶をしませにょうに
 ドリスはそっと、神に祈るのだった





to be … ?



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