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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 黒服Hと呪われた歌の契約者-56a

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 …それは、中華黒服達による、蟲毒と祟り神を巡る騒動から、一週間も経たないうちだった


「…何か用?」

 「組織」所属の契約者である宮定繰は、目の前に現れた大柄な黒服を前に、やや警戒の色を見せた
 顔に、大げさな手術痕のような縫い目を持つその黒服…G-No.1
 今の担当黒服であるA-No.18782によれば、あの歩くセクハラの上司なのだと言う
 幹部級、とか言う単語も口にしていた
 つまり…「組織」では、大分上の立場の存在、ということか

 そんな男が、自分に何の用なのか?
 繰の警戒も、もっともである

 そんな繰の警戒している様子を、さほど気にしていない様子で
 G-No.1は、ぽつりと口を開く

「………傷は、もう完治しているようだな」
「は?」

 きょとん、とする繰
 …傷、と言うのは、中華黒服との戦闘で負った傷の事だろう
 あの時、このG-No.1によって「蝦蟇の油」とか言う奴で治療され…翌日には、カサブタだけを残して、完治していた
 今はもう、傷痕一つ残っていない

「何?まさか、その確認の為に来た訳?」

 だとしたら、どれだけ暇なのか
 繰のやや嫌味すら篭ったその言葉にすら、G-No.1は感情を見せず、答える

「…目的の一つは、それだ」
「ふぅん?」

 一つ、か
 ならば……もう一つこそが、本題と言う事だろうか
 …鞄の中に忍ばせている菊花をいつでも出せるようにしながら、警戒を続ける繰
 そんな繰を前に

「…………あの馬鹿が、すまなかった」
「は??」

 深々と
 本当に、深々と…まるで、土下座でもせんと言う勢いで
 G-No.1は、繰に対して頭を下げてきたのだった



「…あれには、「組織」内からも女性黒服及び女性の契約者から、何度か苦情が出たことがある」

 そりゃ、あるだろう
 口を開けばセクハラ、行動すればセクハラ
 むしろ、存在自体がセクハラになりつつある男である
 苦情が来ない方がおかしい
 ……それだけセクハラで有名なのに、某過労死候補生の黒服が、その本性を半分も知ってないと言うのは何とも不思議だが、それはさておき

「だから、君もあの馬鹿からその手の被害を受けたのでは、と思っていたのだが」
「あれの噂聞いた時点で、極力近づかないようにしているから、被害は受けてないわよ」
「良い対策だ。今後も、出来る限り近づかない事を勧める」

 これは酷い
 上司が出来の悪い部下を語っていたとしても酷い

「よくもまぁ、あんな部下抱えてるもんねぇ」
「困った事に、仕事をする気になれば有能だ。切り捨てる事ができるならとっくの昔に切り捨てている」

 淡々と、酷いことを口にするG-No.1
 …それを聞いていて…

 …くすり、と
 繰は、小さく笑った

「…何か、おかしな事でも言っただろうか」
「いや、そうじゃなくて。あの馬鹿の事話してる時のあんたって、随分感情豊かだと思って」

 ………
 繰の言葉に、G-No.1は首をかしげる

「そうか?」
「えぇ。無表情で人形みたいな奴だと思ってたけど。そうでもないのね」

 …かすかに、G-No.1が、複雑そうな表情を浮かべた
 あまりに小さな感情の動き
 表に、ほんのわずかしかでなかったそれに、繰は気付かない



 感情を殺すようにしてきた
 感情を表に出さないようにしてきた

 使えるべき主の役に立つ為に
 周囲に、弱みなど握られぬよう、心を押し殺してきたはずだと言うのに

 この程度の事で、感情が表に出てしまうとは



 かすかな動揺を押し殺し
 G-No.1は、いつもの感情を抑えた淡々とした声で、告げる

「…とにかく。あの馬鹿が何かやらかしたならば、遠慮なくこちらに苦情を告げてくれればいい。出来る限りの事はしよう」
「まぁ、まずあれとは接触しないようにするから被害はこうむらないと思うけど。考えておくわ」

 己の考えをこれ以上読まれぬよう、感情を意図的に消すように話した、G-No.1の様子に
 繰は逆に、どこか微笑ましさすら、感じたのだった




終われ


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