…トンカラトン達が、消えていく
壊れた自転車や、手にしていた獲物だけを、残して
壊れた自転車や、手にしていた獲物だけを、残して
その様子を遠巻きに見詰めながら…ディランは、どこか悲しげな表情を浮かべた
彼らは、人を襲う以外の道を選べなかったのだろうか?……と
彼らは、人を襲う以外の道を選べなかったのだろうか?……と
自分は、その生き方を選ぶ事ができた
その生き方を、認めてくれる人達がいた
だが、全ての都市伝説が、そんな生き方を選べるわけではない
大半の都市伝説は、己の生まれる元となった話に、忠実に行動してしまうのだ
その生き方を、認めてくれる人達がいた
だが、全ての都市伝説が、そんな生き方を選べるわけではない
大半の都市伝説は、己の生まれる元となった話に、忠実に行動してしまうのだ
軽く頭を振り、思考を振り払う
異空間が、消えていっている
八尺様が、「白線渡り」の異空間を解除したのだろう
異空間から、現実へと戻っていく
異空間が、消えていっている
八尺様が、「白線渡り」の異空間を解除したのだろう
異空間から、現実へと戻っていく
中央高校の、敷地の外
校門のすぐ傍だ
校門のすぐ傍だ
荒神が、人体模型と骨格標本に、校舎に戻るように言っている
…それは、そうだろう
2人とも、姿を隠すような能力など持っていない
一般人に見られたら、大問題だ
…それは、そうだろう
2人とも、姿を隠すような能力など持っていない
一般人に見られたら、大問題だ
「ディラン、終わったのか?」
「あ…デ、ディーデリヒ……う、うん。終わったよ」
「あ…デ、ディーデリヒ……う、うん。終わったよ」
校門の傍に待機していたディーデリヒに声をかけられ、ディランはこくりと頷いた
大柄な異人の姿をとったディーデリヒを見あげ、えっと…と、続ける
大柄な異人の姿をとったディーデリヒを見あげ、えっと…と、続ける
「ねぇ、ディーデリヒ。八十……八尺様の怪我を、治してあげてくれる、かな…?」
「うん?…あぁ、あの女か。わかった」
「うん?…あぁ、あの女か。わかった」
す、とディーデリヒが、八尺様に視線をやった
八尺様が、やや、警戒した様子を見せる
八尺様が、やや、警戒した様子を見せる
「あ、八尺様、大丈夫ですよ。彼が、私たちを八尺様の「白線渡り」の空間に侵入させてくれた人なので…」
「……人、ではなく魔だの……契約者ではなく、魔、そのものか」
「……人、ではなく魔だの……契約者ではなく、魔、そのものか」
…そう
八尺様の言う通り
ディーデリヒは、ディランと同じ…契約者ではなく、都市伝説そのもの
元は人間であったらしいが、飲み込まれて都市伝説そのものになってしまったと聞いている
…最も、人間であった頃の記憶など、まったく残っていないそうだが
八尺様の言う通り
ディーデリヒは、ディランと同じ…契約者ではなく、都市伝説そのもの
元は人間であったらしいが、飲み込まれて都市伝説そのものになってしまったと聞いている
…最も、人間であった頃の記憶など、まったく残っていないそうだが
そんなディーデリヒは、辺りに人目が無い事を確認し…
ぐにゃり
その体を、変化させていく
ぐにゃり
その体を、変化させていく
大柄な、異人の男性の姿から
小柄な………美しい、西洋人のシスターの姿へと
そして、祈るように手を合わせ……その手の中に、土を出現させた
小柄な………美しい、西洋人のシスターの姿へと
そして、祈るように手を合わせ……その手の中に、土を出現させた
「どうぞ…水に溶かして飲んでください。傷が癒えます」
「…っぼぼ……随分と、多彩な力を持っているようじゃの…」
「いえ、私の力はただ一つ。後は、他の誰かの力ですから」
「…っぼぼ……随分と、多彩な力を持っているようじゃの…」
「いえ、私の力はただ一つ。後は、他の誰かの力ですから」
にこりと、シスターの姿を取ったディーデリヒは、笑って
八尺様の、目の前で
八尺様の姿に、なって見せた
八尺様の姿に、なって見せた
「っぼぼぼ……つまり、我の力はこれただ一つ。変化すれば、それにあわせた力が使える。ただ、それだけじゃ」
「変身…まるで、ドッペルゲンガーですね」
「…っぼぼ!ほぉう、わかるか」
「変身…まるで、ドッペルゲンガーですね」
「…っぼぼ!ほぉう、わかるか」
高元の言葉に、ディーデリヒは笑い…ぐにゃりっ
再び、姿を変える
この中央高校に来た時の姿…ジブリルの、姿に
再び、姿を変える
この中央高校に来た時の姿…ジブリルの、姿に
彼は、親しい相手であれば、目の前にいなくとも変身可能だ
それ以外は、視界に入った相手でなければ変身できないのだが
そして、変身すれば、その相手の能力を使用できる
いくらでも応用の効く力なのだ
それ以外は、視界に入った相手でなければ変身できないのだが
そして、変身すれば、その相手の能力を使用できる
いくらでも応用の効く力なのだ
「それじゃあ、俺はこれで」
「う、うん……ありがと、ディーデリヒ」
「う、うん……ありがと、ディーデリヒ」
するり、ディーデリヒが、異空間の向こう側に消える
…ダレンの傍に、戻っていった
…ダレンの傍に、戻っていった
「八尺様、校舎の中で、コップを借りてきましょう。そのまま土を飲むのは辛いでしょうから」
「…っぼぼ………できれば、ここに入り込むのは遠慮しておきたかったが…」
「…っぼぼ………できれば、ここに入り込むのは遠慮しておきたかったが…」
よろり
そう言いながらも、立ち上がる八尺様
よろけた体を、高元が支える
…信頼しあっているんだな
その光景に、ディランは温かい物を覚えた
そう言いながらも、立ち上がる八尺様
よろけた体を、高元が支える
…信頼しあっているんだな
その光景に、ディランは温かい物を覚えた
同時に、契約者が存在する八尺様に
…羨ましさを、覚えた
自分は、契約者を持てた事がないから
契約者を持っている都市伝説達が…どうしようもなく、羨ましくなってしまう事が、あるのだ
…羨ましさを、覚えた
自分は、契約者を持てた事がないから
契約者を持っている都市伝説達が…どうしようもなく、羨ましくなってしまう事が、あるのだ
校舎の中に入っていく高元と八尺様の後を、ディランはとことことついていく
荒神は、さっさと校長に報告に行ったようだ
荒神は、さっさと校長に報告に行ったようだ
「……」
…最後に
ディランは、死んでいったトンカラトン達に、静かに冥福の祈りを捧げて
校舎の中へと、戻っていったのだった
ディランは、死んでいったトンカラトン達に、静かに冥福の祈りを捧げて
校舎の中へと、戻っていったのだった
fin