「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 黒服Hと呪われた歌の契約者-59h

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 …ヘンリエッタ達の、一連のやり取りを
 広瀬 宏也は、すべて聞いていた
 ……それでも、美緒を、妹を、止めに行く事を、しなかったのだ
 自分が説得に向かったとしても、それが逆効果にしかならないだろうと、宏也はそう考えていたからだ
 都市伝説化した自分
 その事実を、あんな形で知ってしまった美緒の前に…自分が姿を現しても、彼女を刺激するだけだ

 …聞こえてきた物音やら会話からして…どうにかなった、らしい
 宏也はそっとため息をつく

「…宏也さん、さっきの音って」
「ん?…あぁ、気にするな。大丈夫だから」

 佳奈美の不安を取り払ってやるように、宏也はそっと望の頭をなでた
 …二人の目の前の寝台の上では、愛華が眠り続けている
 目を覚ます様子は、ない

「愛華さん、大丈夫かな…」
「ここの病院は優秀だからな。必ず、目を覚ますさ」

 …同じ部屋にいる在処の事を考え、「組織」と言う単語は口に出さない宏也
 別に、「組織」に利用されて復讐相手を履き違えた少女が、失った記憶を取り戻して精神崩壊を起こそうが、宏也にとっては知った事ではない
 ただ、佳奈美の後輩がそんな現状になっては、佳奈美が傷つくだろう
 そう判断しての事だ

「……それじゃあ、私、そろそろおいとましますね」
「あぁ…ありがとな、愛華を助けてくれて」

 一応、それだけは礼を言っておく
 どういたしまして、と、在処が病室を出ようとした、その時

「…え?」

 …病室に、入り込んだ
 その、小さな存在を、見て

「----っ!!」

 宏也は、即座に、己の能力を開放した



 ほぼ、同時刻
 別の病室にて

「…銃声?」

 聞こえてきた銃声に、祐樹が眉をひそめた
 …祐樹には、ヘンリエッタ達の会話は、耳に入らなかったのだ
 ただ、吸血鬼故に鋭い聴覚を持つククージィと、そして、ジェラルドの耳には…届いていた

「……行かずとも、良いのか?」
「………お嬢様のご命令が、ありませんので」

 小さく答えるジェラルド
 …その拳は、うっすらと血が滲み出るほど、強く握り締められている


 何故、あの状況において、自分がヘンリエッタのそばにいられなかったのか
 そばにいたならば、自分が彼女の盾になったと言うのに!
 ……いや、おそらく
 あの場に自分がいたとしたら…ヘンリエッタは、自分に、盾となる事を禁じただろう
 どちらにせよ、同じ事、か


 ジェラルドにとって、ヘンリエッタの命令は絶対優先
 何事にも勝る、絶対の言葉
 …たとえ、それによって、ヘンリエッタがどうなろうとも……ジェラルドは、その命令に背く事など、できないのだ

「…難儀なものじゃな」

 ジェラルドの苦悩を感じ取ったのだろうか
 小さく、苦笑するククージィ
 祐樹は、二人の一連のやり取りの意味がわからず、首をかしげる
 せめて、銃声の原因を調べようとでも思ったのか、立ち上がって

「………っな!?」

 ゆえに、それに気づいた
 部屋に入り込んでいる、それに
 祐樹の声に、ククージィとジェラルドも、それに気づいて

 直後
 それらは、いっせいに三人に襲い掛かってきた



 聞こえてきたのは、悲鳴、爆音、絶叫、断続的な銃声

「…っ何だ!?」

 負傷した腕を押さえ、エーテルは状況を把握しようとする
 エーテルを心配したマクスウェルが、蝦蟇の油をもってエーテルに近づき…

「--っ!?」
「!マクウスウェル!!」

 っぴっ!と
 何かが、マクスウェルの体を掠めて
 彼女のスカートが、少し裂ける
 エーテルが、慌ててマクスウェルに駆け寄った

 その、直後
 彼らが立っている病院の、廊下
 その廊下を、埋め尽くすかのように…あちらこちらの隙間から、いっせいに、小さな小さな老婆が、姿を現した
 ケタケタと、悪意を持った笑みを浮かべるそれが、いっせいに襲い掛かってくる

「これは……一寸婆!?H-No.3か!?」

 飛び掛ってくる一寸婆の攻撃を避けながら、叫ぶヘンリエッタ
 急いであたりを見回せば、廊下の床、壁、天井…すべてを、一寸程の大きさの老婆が、ケタケタ笑いながら這いずり回っていて
 …おそらく、それはこの階すべてを、埋め尽くしてしまっている
 一番そばにある階段を見上げれば、その階段も完全に一寸婆に覆われていて…逃げ場が、ない

 宏也達がいる病室も、祐樹達が待機している部屋にも
 おそらく…この一寸婆が現れたのだろう
 聞こえてきた爆音や銃声は、戦闘行為の証だ

「おい………っよりによって、このタイミングで仕掛けてくるのかよ!?」

 マクスウェルを庇いながら、一寸婆の攻撃を避けるエーテル
 まずい
 この現状で、一番危ないのは…


「…………ぁ」


 座り込んでしまっている、美緒
 腰が抜けてしまっている状態の彼女は、迫りくる一寸婆から、逃げる事もできず
 影守が、急いで彼女を護るように剣を抜き、飛び掛ってくる一寸婆を叩き落す
 壁際に美緒を退避させようにも、その壁も一寸婆に覆われている状況だ

「…っ影守さん…っ」
「……美緒さん、絶対に、俺のそばから離れないで」

 一寸婆達をにらみつけながら、影守は剣を構える

 突然の敵の強襲に、自分たちは対処しきれていない
 あまりにも、襲撃が突然すぎる

 ケタケタ、ケタケタと
 一行をあざ笑うかのように、一寸婆達は笑い続けているのだった






to be … ?




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