…ヘンリエッタ達の、一連のやり取りを
広瀬 宏也は、すべて聞いていた
……それでも、美緒を、妹を、止めに行く事を、しなかったのだ
自分が説得に向かったとしても、それが逆効果にしかならないだろうと、宏也はそう考えていたからだ
都市伝説化した自分
その事実を、あんな形で知ってしまった美緒の前に…自分が姿を現しても、彼女を刺激するだけだ
広瀬 宏也は、すべて聞いていた
……それでも、美緒を、妹を、止めに行く事を、しなかったのだ
自分が説得に向かったとしても、それが逆効果にしかならないだろうと、宏也はそう考えていたからだ
都市伝説化した自分
その事実を、あんな形で知ってしまった美緒の前に…自分が姿を現しても、彼女を刺激するだけだ
…聞こえてきた物音やら会話からして…どうにかなった、らしい
宏也はそっとため息をつく
宏也はそっとため息をつく
「…宏也さん、さっきの音って」
「ん?…あぁ、気にするな。大丈夫だから」
「ん?…あぁ、気にするな。大丈夫だから」
佳奈美の不安を取り払ってやるように、宏也はそっと望の頭をなでた
…二人の目の前の寝台の上では、愛華が眠り続けている
目を覚ます様子は、ない
…二人の目の前の寝台の上では、愛華が眠り続けている
目を覚ます様子は、ない
「愛華さん、大丈夫かな…」
「ここの病院は優秀だからな。必ず、目を覚ますさ」
「ここの病院は優秀だからな。必ず、目を覚ますさ」
…同じ部屋にいる在処の事を考え、「組織」と言う単語は口に出さない宏也
別に、「組織」に利用されて復讐相手を履き違えた少女が、失った記憶を取り戻して精神崩壊を起こそうが、宏也にとっては知った事ではない
ただ、佳奈美の後輩がそんな現状になっては、佳奈美が傷つくだろう
そう判断しての事だ
別に、「組織」に利用されて復讐相手を履き違えた少女が、失った記憶を取り戻して精神崩壊を起こそうが、宏也にとっては知った事ではない
ただ、佳奈美の後輩がそんな現状になっては、佳奈美が傷つくだろう
そう判断しての事だ
「……それじゃあ、私、そろそろおいとましますね」
「あぁ…ありがとな、愛華を助けてくれて」
「あぁ…ありがとな、愛華を助けてくれて」
一応、それだけは礼を言っておく
どういたしまして、と、在処が病室を出ようとした、その時
どういたしまして、と、在処が病室を出ようとした、その時
「…え?」
…病室に、入り込んだ
その、小さな存在を、見て
その、小さな存在を、見て
「----っ!!」
宏也は、即座に、己の能力を開放した
ほぼ、同時刻
別の病室にて
別の病室にて
「…銃声?」
聞こえてきた銃声に、祐樹が眉をひそめた
…祐樹には、ヘンリエッタ達の会話は、耳に入らなかったのだ
ただ、吸血鬼故に鋭い聴覚を持つククージィと、そして、ジェラルドの耳には…届いていた
…祐樹には、ヘンリエッタ達の会話は、耳に入らなかったのだ
ただ、吸血鬼故に鋭い聴覚を持つククージィと、そして、ジェラルドの耳には…届いていた
「……行かずとも、良いのか?」
「………お嬢様のご命令が、ありませんので」
「………お嬢様のご命令が、ありませんので」
小さく答えるジェラルド
…その拳は、うっすらと血が滲み出るほど、強く握り締められている
…その拳は、うっすらと血が滲み出るほど、強く握り締められている
何故、あの状況において、自分がヘンリエッタのそばにいられなかったのか
そばにいたならば、自分が彼女の盾になったと言うのに!
……いや、おそらく
あの場に自分がいたとしたら…ヘンリエッタは、自分に、盾となる事を禁じただろう
どちらにせよ、同じ事、か
そばにいたならば、自分が彼女の盾になったと言うのに!
……いや、おそらく
あの場に自分がいたとしたら…ヘンリエッタは、自分に、盾となる事を禁じただろう
どちらにせよ、同じ事、か
ジェラルドにとって、ヘンリエッタの命令は絶対優先
何事にも勝る、絶対の言葉
…たとえ、それによって、ヘンリエッタがどうなろうとも……ジェラルドは、その命令に背く事など、できないのだ
何事にも勝る、絶対の言葉
…たとえ、それによって、ヘンリエッタがどうなろうとも……ジェラルドは、その命令に背く事など、できないのだ
「…難儀なものじゃな」
ジェラルドの苦悩を感じ取ったのだろうか
小さく、苦笑するククージィ
祐樹は、二人の一連のやり取りの意味がわからず、首をかしげる
せめて、銃声の原因を調べようとでも思ったのか、立ち上がって
小さく、苦笑するククージィ
祐樹は、二人の一連のやり取りの意味がわからず、首をかしげる
せめて、銃声の原因を調べようとでも思ったのか、立ち上がって
「………っな!?」
ゆえに、それに気づいた
部屋に入り込んでいる、それに
祐樹の声に、ククージィとジェラルドも、それに気づいて
部屋に入り込んでいる、それに
祐樹の声に、ククージィとジェラルドも、それに気づいて
直後
それらは、いっせいに三人に襲い掛かってきた
それらは、いっせいに三人に襲い掛かってきた
聞こえてきたのは、悲鳴、爆音、絶叫、断続的な銃声
「…っ何だ!?」
負傷した腕を押さえ、エーテルは状況を把握しようとする
エーテルを心配したマクスウェルが、蝦蟇の油をもってエーテルに近づき…
エーテルを心配したマクスウェルが、蝦蟇の油をもってエーテルに近づき…
「--っ!?」
「!マクウスウェル!!」
「!マクウスウェル!!」
っぴっ!と
何かが、マクスウェルの体を掠めて
彼女のスカートが、少し裂ける
エーテルが、慌ててマクスウェルに駆け寄った
何かが、マクスウェルの体を掠めて
彼女のスカートが、少し裂ける
エーテルが、慌ててマクスウェルに駆け寄った
その、直後
彼らが立っている病院の、廊下
その廊下を、埋め尽くすかのように…あちらこちらの隙間から、いっせいに、小さな小さな老婆が、姿を現した
ケタケタと、悪意を持った笑みを浮かべるそれが、いっせいに襲い掛かってくる
彼らが立っている病院の、廊下
その廊下を、埋め尽くすかのように…あちらこちらの隙間から、いっせいに、小さな小さな老婆が、姿を現した
ケタケタと、悪意を持った笑みを浮かべるそれが、いっせいに襲い掛かってくる
「これは……一寸婆!?H-No.3か!?」
飛び掛ってくる一寸婆の攻撃を避けながら、叫ぶヘンリエッタ
急いであたりを見回せば、廊下の床、壁、天井…すべてを、一寸程の大きさの老婆が、ケタケタ笑いながら這いずり回っていて
…おそらく、それはこの階すべてを、埋め尽くしてしまっている
一番そばにある階段を見上げれば、その階段も完全に一寸婆に覆われていて…逃げ場が、ない
急いであたりを見回せば、廊下の床、壁、天井…すべてを、一寸程の大きさの老婆が、ケタケタ笑いながら這いずり回っていて
…おそらく、それはこの階すべてを、埋め尽くしてしまっている
一番そばにある階段を見上げれば、その階段も完全に一寸婆に覆われていて…逃げ場が、ない
宏也達がいる病室も、祐樹達が待機している部屋にも
おそらく…この一寸婆が現れたのだろう
聞こえてきた爆音や銃声は、戦闘行為の証だ
おそらく…この一寸婆が現れたのだろう
聞こえてきた爆音や銃声は、戦闘行為の証だ
「おい………っよりによって、このタイミングで仕掛けてくるのかよ!?」
マクスウェルを庇いながら、一寸婆の攻撃を避けるエーテル
まずい
この現状で、一番危ないのは…
まずい
この現状で、一番危ないのは…
「…………ぁ」
座り込んでしまっている、美緒
腰が抜けてしまっている状態の彼女は、迫りくる一寸婆から、逃げる事もできず
影守が、急いで彼女を護るように剣を抜き、飛び掛ってくる一寸婆を叩き落す
壁際に美緒を退避させようにも、その壁も一寸婆に覆われている状況だ
腰が抜けてしまっている状態の彼女は、迫りくる一寸婆から、逃げる事もできず
影守が、急いで彼女を護るように剣を抜き、飛び掛ってくる一寸婆を叩き落す
壁際に美緒を退避させようにも、その壁も一寸婆に覆われている状況だ
「…っ影守さん…っ」
「……美緒さん、絶対に、俺のそばから離れないで」
「……美緒さん、絶対に、俺のそばから離れないで」
一寸婆達をにらみつけながら、影守は剣を構える
突然の敵の強襲に、自分たちは対処しきれていない
あまりにも、襲撃が突然すぎる
あまりにも、襲撃が突然すぎる
ケタケタ、ケタケタと
一行をあざ笑うかのように、一寸婆達は笑い続けているのだった
一行をあざ笑うかのように、一寸婆達は笑い続けているのだった
to be … ?