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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 黒服Hと呪われた歌の契約者-59g

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匿名ユーザー

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 「組織」管轄の病院
 その、最上階にて

「…これで良いじゃろ。どこか、体に違和感は?」
「……ないな。さすがだ」

 蝦蟇の油その他諸々の治療系都市伝説の力により、エーテルの怪我は完全に回復した
 一部、それを使いこなすヘンリエッタの手腕もあっての成果だ
 人間に戻る手段を模索し続け、都市伝説の研究を進め続けたが故なのだろう
 彼女は、傷ついた都市伝説の治療に関する知識も高いのだ

 ちなみに、祐樹とククージィには、同じ階の別の部屋で待機してもらっている
 一応、ガード役として、傍にジェラルドもおいて

「さて、治療しながら話は聞かせてもらったが……何とも、厄介な状況じゃな」
「まったくだ…あの様子だと、門条 晴海の遺児以外にも、検体として目をつけている相手を回収しようとする可能性があるな」
「ううむ…他に危ういとなると穀雨兄妹……その長女は行方不明として、彼方と吉静に関しては、上田の傍におるのが不幸中の幸いか」
「…そうなるな、一応」

 しかし、予測できる狙われる相手の心当たりがそれしかない、と言うのも不安だ
 ハンニバルの、人間と都市伝説との混血に関する研究は…ハンニバル自身が、「組織」に対してすら内密に進めていた研究であるがゆえ、「組織」で把握できている情報が少ないのだ
 門条、穀雨両者のデータとて、最近になってようやく発見できたようなものだ

「門条 天地は…今は、お嬢さんの管轄、だったよな?」
「うむ。昨年のマッドガッサー達の騒動以降、やや強引ではあるが、妾の管轄下に移動させた。とは言え、直接の部下ではないうえ、担当させた黒服は普段は書類事務が仕事じゃ。現状は完全には把握できんが…」
「……もしかして、門条 天地が、門条 晴海の遺児だと知って、自分の下に……?」

 エーテルの、その疑問に
 ヘンリエッタは、いや、と首を左右に振る

「…違うのじゃ。H-No.360…宏也に、頼まれたのじゃよ」
「……広瀬 宏也に?」

 予想外の名前が出て、眉をひそめるエーテル
 うむ、とヘンリエッタは頷いてくる

「…どのような意図があってかは、知らぬ。ただ、門条 天地を、穏健派の管轄下において、危険な任務を任せられないようにしてくれ…と、頼まれたのじゃ」
「……あの男が」

 一体、どのような目的で?
 何か、両者には繋がりがあっただろうか?
 エーテルは、それを思い出そうとするのだが…なかなか、それらしい情報が思い出せない

 エーテルが、そうやって思案していると
 …こんこん、と
 部屋の扉が、ノックされた

「誰じゃ?」
「…お嬢さん、俺だ」

 ぴくり
 ヘンリエッタの体が…わずかに、跳ねる
 聞こえてきた声に、エーテルも顔を上げた

「…広瀬 宏也?」
「おぉっと、あんたもいたのか…まぁ、いいや。入るぞ」

 がら、と
 遠慮なく、扉を開けてくる黒服H…広瀬 宏也
 いつもの、どこか軽い表情ではなく…どこか、深刻な表情だ

「お嬢さん。俺が担当している契約者が二人…H-No.2の能力による蛇に、襲われた」
「!」

 ぴく、と
 再び、ヘンリエッタの体が跳ねる
 彼女自身も、それに襲われているせいもあるのだろうが…まさか、彼の担当している契約者まで、襲われているとは考えなかったのかもしれない

「佳奈美を助けるのは間に合ったが、愛華を助けるのが間に合わなかった…親切な奴に助けられたおかげで、一命は取り留めたが、意識が戻らねぇ。この病院の、この階にいる」
「…そうか……後で、妾も様子を見てみよう。何かできるかもしれぬ」
「悪ぃ…それと、もうひとつ」

 …宏也の表情が
 ますます、深刻さを増した

「…辰也の所に、天地が来た…誰かに命令されて、辰也を殺しに来たらしい」
「……門条 天地がか!?」

 あぁ、とエーテルの言葉に頷く宏也
 …なぜ、天地が今になって?

「あぁ、一応、辰也は無事だ。ただ、天地の方が、ハンニバルの野郎の薬を、かなりやばい量投与されていらしい」
「…天地に、か?……あの男、いつの間に…」
「辰也が応急処置したんで、どうにかなったそうだ。一応ドクターんとこに預けてきたってよ」

 わかった、と宏也の言葉に頷くヘンリエッタ

 …それを、聞きながら
 エーテルは、やや違和感を覚えた

「…待て。辰也が、天地を助けたのか?自分の命を狙ってきた相手を?」

 ……彼の性格を考えれば、それは、違和感を感じる出来事だ
 だが、そうだよ、と宏也はあっさりと頷く

「あいつ、前々から天地の事は気にしてたみたいだしな。表にゃ出さないようにしてたが」
「…広瀬 辰也が、門条 天地を…?」
「あぁ。それを考えると…その襲撃は、辰也を刺激する為、なのかもな」

 どういうことだ?
 …考えて、思い出す
 以前、宏也に対しても問いかけた事……辰也の任務記録を見て感じた、とある違和感を

 広瀬 辰也は、本人に知らされていたかどうかはともかく、必ず誰かと組んで仕事をしていた
 …その任務は、ただの一度を除いて、すべて暗殺
 そして、辰也と組んだ相手は…まるで、辰也の任務を確実に成功させる為の捨て駒であるかのように、必ずといっていいほど、その任務で死亡していた
 辰也と組んで仕事をして、生き延びたのは、たった二人
 一人は…唯一の、暗殺ではない任務で組んでいた広瀬 宏也
 そして、もう一人が
 ……門条 天地
 宏也に関しては、いつもとは違う任務だ、その任務自体が例外であったと言っていいだろう
 しかし、天地の場合は、違う
 いつも通りの任務で、しかし、天地だけは捨て駒にならず、生き延びている
 …それも、その時の辰也の動きを見るに
 まるで、天地が捨て駒にされるのを避けるかのように、「組織」の指示を無視した行動をとって任務をやり遂げている

 ……この、違和感
 まるで、辰也が天地を、護ろうとしたかのような…?

「…んじゃあ、俺は佳奈美と一緒に、愛華の様子見てくる。後でな、お嬢さん」
「…うむ」

 ……宏也と、まともに目を合わせる事ができず、うつむいてしまうヘンリエッタ
 …彼らの復讐が終わった時、殺される約束
 その時が近づいているのを…彼女は、感じ取っているのかもしれない
 今回の騒ぎで、姿を隠していたH-No.1達が表に出始めた
 これは、宏也達にとって、復讐のチャンスなのだから

 …部屋を後にした、宏也を

「少し、待ってくれ」

 …部屋から、出て
 エーテルは、呼びかけた

「何だ?」
「…ひとつ、確認したい事があるんだ」

 以前から、疑問に感じていた事
 宏也が、一度、何気なく呟いたその言葉を
 エーテルは、聞き逃していなかったから

「…お前、広瀬 辰也が、ハンニバルと遭遇するべきじゃない、って言っていたよな…?あれは、どういう意味なんだ?」
「………」

 ………宏也は、答えない
 ただ、どこか皮肉げに、笑って

「……さぁてね?お前さんが知る必要はない事さ」

 そういって、きびすを返し
 ……小さく、続ける

「…辰也だって…知らないままの方が、いいに決まってるのさ」

 そのまま、春風 愛華の病室へと入っていく宏也
 …ひょこ、ひょこ、と
 マクスウェルとヘンリエッタが、部屋から顔を出す

「エーテル…?」
「…いや、何でもない……ありゃ、よっぽど深刻な事情がある、って事か…?」

 誰も知らない情報を
 宏也だけが、把握している?
 もしくは…宏也だけが、気づいた?

「…エーテル。あの男は、情報を隠す気になれば、どこまでも隠し通す男じゃ、そう簡単には聞きだせんぞ?」
「……お嬢さんなら、聞きだせるはずだろう?」

 そうだ
 本来の立場から考えれば…ヘンリエッタは、宏也の直属の上司だ
 情報を聞き出す事も、可能なはず
 だが

「…妾に、そんな資格など、存在せんよ」

 自虐的に笑うヘンリエッタ
 その笑顔が、痛々しい

「……何せ、妾は…あの男に、人間である事を捨てさせる実験を、許可してしまったのじゃぞ?」
「…お嬢さん…」

 …ヘンリエッタの、罪
 広瀬 宏也に対する負い目が、表に現れる

「…妾は、あの男に」

 しかし
 それを、口にした、そのタイミングが
 最悪のタイミングであった事を…誰が、予測しただろうか?


「広瀬 辰也としての人生を、捨てさせてしまったのじゃぞ?」


 かつん、と
 足音が、聞こえた
 エーテルが振り返ると…そこには、一組の男女

 二人共、何者であるのか、エーテルは把握していた
 一方は、影守…「組織」所属の契約者
 そして、もう一方は…広瀬 美緒
 「組織」と繋がりのある、警察幹部

(…ひろ、せ?)

 …その、苗字に、家名に
 エーテルは、はっとした表情を浮かべる
 彼女は、まさか…

「……あなた、が……っ」

 先ほどの話が…聞こえていたのだろう
 美緒が、ヘンリエッタを睨み付けた

「あなたの、せいで………兄さんは……っ!!」

 ヘンリエッタを睨み付ける美緒の表情が、憎悪で彩られて
 …そして

 彼女は懐から拳銃を取り出し、ヘンリエッタにその銃口を、向けた




to be … ?




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