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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 残された思いの読み手-09

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匿名ユーザー

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辺りを見渡しやすい様にと、4人は小高く開けた場所に向かった。
そこには、先客として1人の老人の姿が在った。
物思いに耽っているのか、途方に暮れているのかは分らないが、空を見上げジッとしている。

「あれ? あの人、祐樹くんが言ってたのと、似てますねぇ」
「だな。となると、あの老人がお前の探してた人なのか?」

その老人は、此処に向かって居る際に、祐樹が説明した容姿そのままの姿をしている。
となると、あの老人がそうなのだろうかと、想軌が尋ねた。

「あぁ。―――――ククージィ」

簡潔に答えて、老人の元に向かいながら、祐樹が呼びかける。
声に気付いたらしく、老人――ククージィは、近寄って来る4人の方を向いた。
祐樹が言った老人の名に、一瞬だが、ジルと想軌は驚いた様な感心した様な表情を浮かべたが、気付かれはし無かった。

「どうやら、この子が世話になった様じゃの」

自分の孫……いや、孫の様な存在である契約者が、見知らぬ人達を連れて来た事に、初めは首を傾げていたククージィだったが、
祐樹が想軌達の事を説明すると、笑みを浮かべながら小さく頭を下げた。
その様子は、何処にでもいる様な普通のお爺さんにしか見えない。

(吸血鬼だっけか、ククージィって。多分、このお爺さんがそうなんだろうけど……)
(ククージィね。確か、吸血鬼だったか? 気配からして間違い無いんだろうが……)

見えないなぁ、と。ジルと想軌は、2人して思う。
だが、2人の予想は当たっていて、この老人は正しく吸血鬼であり都市伝説なのだ。
祐樹との関係も、実際は孫と祖父では無く、契約者と都市伝説と言う方が正確となる。
もっとも、2人の様子を見ると、ククージィは祐樹の事を、本当の孫の様に思っている様だが。

「いいえ、気にしないで下さい。こっちが勝手にした事ですからぁ」
「そうですか。それならば、お言葉に甘えさせて貰いますか。……如何かしましたか?」
「ん。いや、気にしないで下さい。聞いてはいたけど、似て無いなと」

ジッと顔を見られている事に気付いたククージィが、問い掛け。
「組織」の人間として、彼の事を観察していたジルは、しかし、それを表に出す事無く返す。

「珍しくも無いでしょう。親と子ならば兎も角、爺と孫ならば」
「ですね。ただ、もしかしたら、気付かずに擦れ違ってしまっていた可能性もあるからさ」
「あぁ、成程。その通りじゃな」

頭のどこかに、疑問を浮かべながらも、ジルのその言い分に納得したククージィ。
その後も、紗江良を交えて3人で会話を続けている。

「良かったな、無事に見付けられて」
「あんた達のお陰だよ」
「別に良いさ。結果としちゃあ、一緒に歩いてただけだったしな。さてと」

そう言うと想軌は、祐樹の肩を軽く叩くと、ククージィと話しているジルの元に歩いて行く。
想軌が近づいて来るのに気付いた彼女は、話をしていたククージィから想軌へと視線をずらし、如何したのか、と言った顔をした。


「そろそろ、行きましょうか。もう、場所も無くなりそうですし」
「あー、そうだね。じゃあ、私達はこれで」

確かに、もう人も一杯で自分達が腰を下ろせる場所が無くなりかけている。幾つか候補を見付けては居るけれど、何時までも大丈夫とは限らないだろう。
そう言う訳で3人は、祐樹とククージィと別れる事にした。
その別れ際に、ククージィが、

「ああ、そうじゃ。わしらは、西区で雑貨屋をやっとるでの」

良かったら来てくれんか、と歓迎する様に言った。


「彼らは放っておいても、大丈夫ですかね」
「そうですね。私もそう思いますぅ」

歩いて、ククージィと祐樹から離れた所で想軌が言った言葉に紗江良が同意する。
ジルの方も、その意見に反論は無い様で、頷いている。
短いやり取りだったとは言え、紗江良の勘では彼らから危険さは感じられず。
加えて、想軌は少しだが祐樹に触れている。つまり、僅かだが《残留思念》を読み取ったと言う事だ。
そんな2人が言うのだ、ほぼ間違えでは無いだろう。

「じゃあ、今日の事は言わなくても良いかな」
「でしょうね。余計なことして、強硬派を調子付かせる訳にはいかないでしょうし」
「けど、気になりますね。処分じゃ無くて確保を重要視してるって事は、彼を使って何かをする積りなんでしょうしぃ」

彼らの表情が、一様に暗くなる。
どうにかしようにも、自分たちでは強硬派の連中を止めるのは、不可能に近いだろう。


「一応、気を付けておこうか」
「それが、妥当ですね。……あぁ、そう言えば彼ら、Dナンバーの彼と知り合いみたいでしたね」

想軌が読み取った僅かな情報の中にあった、優しすぎる自分達の同僚の姿。
祐樹の中で、彼の存在がそれだけ大きな物だと言う事なのだろう。

「彼? もしかして、D-No.962の事かい。確かに、彼なら誰と知り合いでも、不思議じゃないかな」

Dナンバーと言われて、ジルが思い浮かべたのは、人脈に異常なまでに優れている黒服の事だった。そして、彼ならと納得した。
ならば、D-No.962――大門大樹にも、強硬派が彼らを狙っている事を言っておいた方が良いだろうか。
そんな事を考えるジルだが、余計な心労を増やして倒れられても困るため、答えを出せず保留することにする。

「とりあえず今は、花見を楽しみましょうかぁ」

心残りを持ちながらも、今は考えても仕方が無いとして、3人は本来の目的である花見を楽しむ事にした。

続く

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