「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 兄鬼-03

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
ザッバ~ン、と勢い良く音をあげて《兄鬼》が水底から一気に飛び出した。
連続では無いが最終的に100周した所で、彼はようやく満足したらしい。
巨漢の漢がいきなり飛び出してくれば、多少は驚く人間がいる筈だが1つの反応も無い。

「如何いう事だ? ……人が居ない?」

プールから上がろうと、プールサイドに手を付けた《兄鬼》も周囲の異変に気付いた。
そう、人影が全くと言って良いほど見えないのだ……、終了時間にはまだ早いのに。
これはつまり、何らかの異常事態が起きたのだと考えるべきだろう。
《兄鬼》の視界には居ないが、都市伝説関係者が数人いるのだが、一般人が居なくなった時点で異常事態には違いない。
だから《兄鬼》も、周囲の気配を探る事にした。
強者を求める彼は、それ故に戦いの気配に鋭い。


「―――戦闘が起こって居るな。成る程、一般人を避難させたわけか」

離れた場所で戦いが起こっているのを察し、《兄鬼》は現状を大体理解した。
良く見ると、プールから人が出て行くのを確認できた。

(しかし何者だ、こんな場所で騒ぎを起こすなど)

確認してみるか、そう呟き《兄鬼》は気配のした場所まで行くことにした。
実の所は、変態達が馬鹿やって粛清されているだけなのだが、それを知る由も無い。
自分に害が有るのか判断するためには、自分で確かめるのが一番と言う訳だ。



「うーむ。リムとウィルを帰したは良いが、シェイドの奴はコレだしな」
「オイ、コレトハ何ダ。貴様ガ、ヘマヲシタノガ原因ダロウ」
「だから、喋んなって言っただろ!」

少年と海パンが、コントをしている。
普通に見れば馬鹿だが、海パンが実際に喋っているのだから問題は無いのかも知れない。
何故、海パンが喋るのか、実は海パンでは無く《シャドーマン》と言う都市伝説が、姿を変えているだけなのだ。
そして少年は、シェイドと名を持つ彼と契約している黄昏 裂邪。
中学生と言う若さにして、4つの都市伝説と契約している。

「それで、如何するんですか? ごしゅじんさま」

裂邪の傍に控えていた少女が、彼に尋ねる。
彼女もまた、裂邪と契約している都市伝説だ。故に、「ごしゅじんさま」も可笑しくない。
特殊なプレイをしているのでは無いのだ。

「そうだな。ミナワを変態共に近づかせたくないし、退いておこう」
「良いんでしょうか?」
「さっきの見ただろ。あんなスゲェ人が居るなら大丈夫だって、むしろ邪魔しないようにさ」

戸惑い気味に言うミナワに、裂邪がプールサイドの焦げ跡を見ながら言う。
それは、熟女狙いの水霊が秀雄のブレスで滅された所で、その光景を裂邪はしっかり見ていた。
裂邪に倣って、焦げ跡を見たミナワも納得したような半笑いを浮かべた。

「言われてみれば、そんな気もしますね」
「ウム。アノ男ノ以外ニモ、強力ナ契約者ガ居ルダロウシナ」
「喋んなって……、いや。シェイド、体生やす事って出来ないのか」
「ム? ヤッテミヨウ」

シャドーパンツ状態のシェイドが、ニョキリと体が出て裂邪の横に頭を並べた。
シェイドがいきなり出て来た事に驚いたミナワは、足を滑らせてしまう。
よりによって、水の近くに………。
そして、その隙を見逃す変態では無かった。

「ヒャッホウ!! ロリっ子来たー!」
「ミナワ!」

後ろから叫んで飛び掛かろうとする変態を見て、裂邪が声を上げる。
この後にあるのは、水着を奪われたミナワの姿……その筈だった。
しかし、

「兄気闘法――絶技、弾手澄!!」
「のわぁーーー!」

聞こえた声と共に真紅の塊が飛来して、ミナワに襲い掛かった水霊に当たって吹き飛ばした。
突然の事に、裂邪もシェイドも何が起きたのか分からなかったが、反射的にミナワを抱き寄せ水辺から遠ざける。
そして、声のしたと思われる方を見ると。

「目に留まったので助けたが、事情が分からんのでな。説明して貰えぬか? 強者の可能性よ」

正拳突きの構えから姿勢を正した、真っ赤な気に覆われた漢が其処に居た。


続く

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
記事メニュー
ウィキ募集バナー