「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 次世代の子供達-43

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匿名ユーザー

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 彼、アダム・ホワイトが契約している都市伝説の能力は、はっきり言って戦闘向きではない
 同じ主を持つ仲間であるヴィットリオ・パッツィの能力もどちらかといえば戦闘向きではないが、使いようによっては戦闘中にとっさに発動出来なくもない能力である
 それと比べれば、アダムの契約都市伝説による能力は、説明だけを聞けば戦闘にも応用出来そうだが、その実、そこまでの応用力はない
 その能力は「気配を感じさせない事」、まずはそれに尽きる。たとえ、目の前にいたとしても、よくよく注意しなければ気付かれない、そんな能力だ
 気配を感じさせないというその点だけを考えれば、暗殺等に使えそうではある
 しかし、あくまでも「よくよく注意すれば気づかれてしまう」程度の能力でしかないのだ。そして、己が他のものに対して何かしらのリアクションをしたならば、その瞬間に存在を認識されてしまうのだ
 このまま、アダムがその都市伝説と契約し続けて、能力を強めていけば、より気配を感じさせないようにできるのかもしれないが、少なくとも今のアダムには不可能なのである
 戦闘の役に立たない、からと言って、全くの役立たず能力ではないのは幸いと言えようか
 気配を感じさせない彼の能力は、「他人の家に無断で忍び込む」事には適していた
 まぁ、流石に鍵開け能力までは備わった訳ではないので、こちらは自らの努力で身につけたものだが
 その能力を使いこなし、アダムは己の生まれた国で捕まったならば懲役100年をゆうに超えるであろうだけの窃盗の罪を重ねてきている
 そして、今の主の配下となってからは、同じ主を持つ仲間に日本生まれの「鬼」が存在し、かつ、そんな彼女が人間以外は食らっても腹を満たせず栄養にもならない、と言うことで………食事用の「人間」を確保するためにも、使いこなさせてもらっている。と、言うより、今はそれが主流だ

 この日もまた、アダムはその鬼………皓夜の為の食料探しやら、今現在行方がわからなくなっている主を探すため、能力を発動する為の準備をしていた
 己の契約都市伝説は、能力を発揮するためにある程度準備が必要であるから、そこは少し面倒である
 鏡台の前に座り、白粉をはじめとした化粧品を取り出す。そうして、なれた手つきで化粧を始めた
 まずは、顔を真っ白に塗りたくる。能力発動のために、まずはそれが必須だ。次に口と、口の周りを少し大げさに口紅を塗っていて
 ……視線を感じた。まだ能力を発動していない為、きちんと存在は認識されている
 何事か、と思って視線が向けられている先を見ると、じーーーっ、と、皓夜とアナベルが、こちらを見つめてきている

「どうかしたか?」
「あだむがおけしょうしてるところ、みてるー」
「いつもいつも、大変だよねー」

 じーーっ、と、少女(と、呼んでもいいかどうかは正直微妙だが)はアダムに視線を向け続ける
 一応、女性として化粧が気になるのかもしれない、が

「ピエロの化粧なんて、見ていても面白くもないだろうに」

 そう、ピエロ
 今、アダムが行っていた化粧は、ピエロに扮装する為のものだった
 正確にはピエロではなくクラウン、と言う細かい事はさておき、よくサーカスで大げさな化粧をして面白おかしい振る舞いをする、あれだ。独特の化粧故、「ピエロ恐怖症」と言う症状でそれを恐れる者もいる
 アダムの契約都市伝説は「ピエロの人形」。ピエロの扮装をして、金持ちの家に忍び込んでいた浮浪者の話がベースとなる話だ。その話に語られるようなピエロの扮装をしなければ、彼の能力は発揮できないのである

 面白くもないだろう、と言うアダムの言葉に、皓夜とアナベルはぶんぶんと首を左右に振った。アナベルは皓夜の頭の上に乗っかっていた為、皓夜が首をふった拍子に落っこちかけていたが

「こーや、けしょーしたことないから。みててたのしい」
「私も、やった事ないから見てて楽しー!」
「まぁ、皓夜は山ん中にずっといたって言うから縁なかったろうし。アナベルはそもそも人形だから化粧しないだろ」
「むー、アナベルだって、お化粧して綺麗になりたいのに」
「布地に染みこんで大変なことになると思うからやめとけ。化粧品って、布につくと案外落ちにくいんだぞ」

 経験からくるアドバイスだったのだが、アナベルはむぅー、と不満そうだ
 が、何か思いついたのだろうか。ぴょんっ、と皓夜の頭から降りると、アダムに近づいてきた
 そうして、はしっ、とアダムの化粧道具を手に取る

「あ、こら、何を……」
「アナベルが、アダムにお化粧してあげる!」

 ……………
 何だと

「待て、アナベル。お前、ピエロのメイクのやり方なんてわかるのか?」
「ふっふーん。私、アメリカ生まれだもの。前の持ち主がホラー映画大好きだったから、ピエロのお顔がどんなのかくらいわかるのよ!」
「それ、確実にホラー御用達のホラーなピエロだよな!?いや、それでも能力発動するが!」

 あ、これはだめだ
 アナベルはもう、やる気満々、と言った顔である
 どんなタイプのピエロにされるかわからないが、能力が発動する範囲内だったら許すしかなさそうだ

「わかった。きちんと俺の能力が発動できるようにやってくれよ」
「やたっ!ほらほら、皓夜も一緒にやろう!」
「うー………やってみたい、けど。こーや、ぴえろよくわかんないし、あだむのおけしょーどうぐ、こわしそうだから……」

 アナベルの誘いに、皓夜は少し残念そうに言った
 確かに、皓夜は少々、手加減が苦手だ。元の力が強すぎて、手加減したつもりでも手加減にならない事が多い。軽く持ったつもりで物を壊してしまう事がよくある
 それを自覚しているがゆえに、我慢しているのだろう
 そんな皓夜の様子を見て、アダムは少し考え。すっ、とアイシャドウを一つ、手にとった

「ほら、皓夜」
「う?」
「これ、そろそろ買い換えようと思ってた奴だから。お前がうっかり壊しても大丈夫だぞ………壊せ、って言う訳じゃないが」

 アダムの、その言葉に、皓夜はぱぁああああああ、と表情を輝かせた


「やったー、ありがとう、あだむ!それじゃあ、えっと、こーやもやるー!」
「よーし、皓夜。私が教えてあげるから、その通りにやるのよ!」
「おー、わかった!」

 お姉さんぶるアナベルに教えられ、無邪気にアダムに化粧を施す皓夜
 ……出来る限り、今夜は皓夜の食料を見つけ出してやおる
 アダムはそう、決めたのだった

to be … ?



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