「えらい混んどるなぁ」
「もうちょい早く来れば良かったか…逸れるなよ?」
「ん、わかってる」
「もうちょい早く来れば良かったか…逸れるなよ?」
「ん、わかってる」
人波の中、そっと手を繋いでいるマッドガッサーと似非関西弁の女性
しかも、繋ぎ方は恋人つなぎ
とりあえず、お前らはもげろ
しかも、繋ぎ方は恋人つなぎ
とりあえず、お前らはもげろ
「でも、ほんとはぐれちゃいそう。気をつけないとね」
「逸れたら、なかなか合流できなさそうだしね」
「逸れたら、なかなか合流できなさそうだしね」
スパニッシュフライ契約者の隣、美しい女性の姿をとったマリも呟く
神父姿ではないのは、教会に顔を出す人々と会った時の対処が面倒だからだろう
神父姿ではないのは、教会に顔を出す人々と会った時の対処が面倒だからだろう
「大丈夫か?人酔いしてないか?」
「……平気、だ」
「……平気、だ」
辰也は、恵を気遣いながら歩いている
なお、恵が抱えている大きな鞄の中では、ジャッカロープがもぞもぞしていた
なお、恵が抱えている大きな鞄の中では、ジャッカロープがもぞもぞしていた
「ひっひっひ、いざはぐれたら、私が空から探してあげるわよ?」
お気楽に魔女の一撃が笑う
…なお、彼女の隣に、彼女の契約者たる誠の姿はない
…なお、彼女の隣に、彼女の契約者たる誠の姿はない
「しっかし、あいつ、元旦から忙しいんだな」
その誠を指して、辰也が呟く
一応、彼は年末からは学校町内の実家に帰ってはいるのだが…元旦には、また別の用があるようで、ここには来ていない
一応、彼は年末からは学校町内の実家に帰ってはいるのだが…元旦には、また別の用があるようで、ここには来ていない
「何の用事があるって言ってたっけ?」
「琴の発表会とか言ってたねぇ」
「…想像つかないけどな」
「琴の発表会とか言ってたねぇ」
「…想像つかないけどな」
昔からやっていた習い事の発表会、らしい
その他にも、茶道の方で付き合いがあるとも言っていた
魔女の一撃という西洋の都市伝説と契約してはいるが、全体的に和風な男なのだ
その他にも、茶道の方で付き合いがあるとも言っていた
魔女の一撃という西洋の都市伝説と契約してはいるが、全体的に和風な男なのだ
「まぁ、主の代わりに、私がお願い事しないとねぇ?」
「…わかるの、か?…あいつの、願い事」
「そりゃあ、私の主様だからねぇ?」
「…わかるの、か?…あいつの、願い事」
「そりゃあ、私の主様だからねぇ?」
わかるさ、と魔女の一撃は笑う
自信に満ちた表情
契約によるつながりの深さを、彼女は信じている
……実際、契約による契約者と都市伝説との繋がりは、深いものなのだ
まぁ、例外も存在するが
自信に満ちた表情
契約によるつながりの深さを、彼女は信じている
……実際、契約による契約者と都市伝説との繋がりは、深いものなのだ
まぁ、例外も存在するが
…………もっとも
それがなかったとしても、彼らの願いは、ある種、共通しているのだから…わかったかもしれない
それがなかったとしても、彼らの願いは、ある種、共通しているのだから…わかったかもしれない
今年も、皆がずっと一緒にいられますように、と
fin