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連載 - ※ただしイケメンに限る-06

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【平唯の人間観察第七話「忌」】

皆さんお久しぶりです。
平唯です。
まずは前回までのあらすじをざっくり説明したいと思います。
丁度六ヶ月ほど前のとある任務の最中に私は暴走した契約者に返り討ちにあってしまいました。
その際に担当の黒服さんは死亡してしまいましたとさ。
え?平然としすぎてないかって?
ほら、だってどうでも良いじゃないですか。
他人の死にそんなことを言っても私は可愛いし、可愛いは正義ですから、許されます。
それはそうとしてこの六ヶ月間にあった三つの出来事をまとめたいと思います。
一、私の「※ただしイケメンに限る」が進化した。
二、従兄のめーちゃんが私を襲った契約者とバトルした後説得した。
三、説得したその足で私の居た病院までかけつけてずっと私につきそっていた。
この三つです。
眼を覚ましたらめーちゃんがベッドの傍で寝ていたのにはビックリしましたね。
後で両親に聞いたら三日三晩ずっと付き添っていたらしいですね。
自分勝手な人間だと思っていたからびっくりです。
兄さんにも人間らしい心らしき物が有るのかとちょっと感動してみたり。

……それにしても何故私の両親はめーちゃんの記憶を取り戻したのだろう。
その辺りの事情は気になるが正直怖くて聞けなかったです。

まあそんなこんなで新しい担当の黒服さんと共に私の人間観察はまだまだ続くのだったり。







「で、お前は何故学校町に居る?
 お前の活躍舞台は番屋町だと思っていたんだがなあ……。
 こんな地獄のど真ん中に来られるとお前が心配で夜も眠れないよ。」

と言う訳で私は趣味の男装を見せびらかしがてら学校町に遊びに来ていました。
場所は勿論めーちゃんの探偵事務所です。

「大丈夫だよめーちゃん、私……ボクもこの数ヶ月で大分強くなったから。」
「それは知っている。なんせF-№5だったか?
 わざわざ上位ナンバーがお前の担当してくれているんだろ?
 贅沢だよなー、俺なんか未だに『組織』の危ないのに追いかけられてるのに。」
「そんな事言っちゃって。
 ボクが良い感じでトレーニングして貰えているのもめーちゃんがF-№0さんに追っかけ回されてるおかげだよ?
 今では※ただしイケメンに限るの能力も単なるバリアーから空間操作レベルにまでレベルアップしたしね。」
「解りづらいよなあ、お前の能力。なんだよ許可と禁止を操る能力って。
 男装している時だけにかぎってなんでも有りじゃねえかよ。」
「まあねー。」

椅子に腰掛けて久しぶりに従兄妹同士の語らいが小一時間ほど続いた頃でした。
めーちゃんの視線が何故か私の胸の方に行っていることに私は気付きました。
どうやらサラシの上からでも胸の様子を妄想できているようです。
さすが我が変態道の兄弟子です。




「いやぁ……」
「どうしたの?」
「ん、育ったなあ……と思って。」
「ああ、それはもう高校生ですから育ちもしますよ。」
「成長性:Aだなあと思って。」
「それはもう六ヶ月かけて徐々にジョジョに育ちましたよ。
 ていうか良いの?女子高校生にそれは紛う方なきセクハラだよ?」
「何を言っているんだ、俺は昔から変態だ。
 お前の前では隠していたんだけど幼いお前を見る度に興奮していたんだ。」
「ていうか能力の関係でボク男装中なんですけど。
 それでも興奮するの?」

優しくて大人の余裕が有って少し格好良いかと思えばこれだ、呆れてしまう。
めーちゃんは立派なことを言うんだけど頭の中ではそんなこと全く思って無くて、
むしろ本能のままに好き勝手行動し続けているのだ。
テーブルを挟んでソファーに座っていためーちゃんが隣に座ってくる。

「むしろ、男装をしているお前に興奮しているな。
 男装っ娘の見せる一瞬の女性らしさがむしろグッドだと思う。」
「いやぁ、……変態は家系だね。」
「なんだい、共通の家系と言っても河伯家の皆様は至ってノーマルだろうが。」
「それはそうだけどさあ、ボクのお母さんもめーちゃんのお母さんも普通だし。
 変なのと言えば癸酉君くらいかな。」
「癸酉はねえ、色々可哀想な子だよ。うん。」

何気ない親戚の話をしている筈なのに何時の間にか逃げ道を塞がれている。
あれ、興奮してるのってもしかして冗談じゃなかった感じなのでしょうか?





「めーちゃん、ちょっと距離近くないですか?」
「いやあ、そうやってビクビクしている辺り可愛いなあ。
 彼女にしてやろう、ていうかなれ。」
「だってお兄ちゃん沢山付き合ってる女の人いるじゃん。
 ていうかボクたち従兄妹同士だよ?
 流石にそれはまずいってば!」
「お前だって好きだろ、そういう倒錯したの。
 それに俺は甲斐性有りだから沢山女の人と付き合ってても良いの。
 バレなければ!」
「ボクにばれてるじゃん!おかしいのがたまらなく好きになる変態ってのは認めるけど!」
「お前は良いんだよ、特別だ。俺の全てを堂々と受け入れろ。
 ……俺のような完璧な人間だって誰かに甘えたくなる時があるんだ。」
「なんですかそれデレたつもりですか!?」
「ええい面倒だ、押し倒す。」

めーちゃんが私に覆い被さる。

「きゃあ!?」
「俺が段々異性として好きになる、俺を段々異性として好きになる……。
 従兄妹同士といういけないシチュエーションにお前は興味を持ち始める……。
 ―――――ってのは嘘なんだけどさ。」

先ほどまで鼻と鼻が触れあう距離にいたのにめーちゃんはふらりと紅茶を淹れにキッチンに行ってしまった。
ホッとしたような、物足りないような……。







「ほら、紅茶とケーキだ。」
「わーい、ありがとう!」
「本当にお前は甘い物好きだなあ……。」
「そりゃあもう女の子ですから!」

口をもぐもぐさせながらも喋る。
それをみてめーちゃんが呆れているがまあ良しとしよう。

「さっきの話だけどなあ、わりと冗談でもないんだよ。」
「何の話?」
「いや、幼いお前を見て興奮してたって話。」
「わー、ロリコーン。」
「そうだよ、俺も自分をロリコンだと思ってた。」
「たすけておかあさーん、変質者が居るヨー」
「でも不思議なことに、今のお前を見ても中々心惹かれるんだよ。」
「え゛?」
「不思議だろ?」
「いや不思議も何も……。」
「さっきみたいな冗談抜きで言うぞ、俺はお前が好きだ。
 お前は俺を人間として見てくれる。
 お前は俺の人間からずれた性質を知っても優しく接してくれる。
 駄目なんだ、そういう優しいのに俺は弱いんだ。
 本当に好きになってしまった。俺はお前を愛してる。」

どうしよう。
そういわれると悪い気がしないと一瞬思ってしまった。
一瞬でも思ってしまったら、その隙を突いて彼はきっと私の心を奪っていく。
嘘だって解っているのに。ずるい人だ。







何か喋って欲しい。
なんでこんな時だけボケッと外を見ているんだろう。
空が綺麗だとか考えているんだろうか?
言うだけ言ったから自分の気持ちは晴れたとでも思っているのだろうか?
そもそもこの言葉は嘘な筈なのに自分はなんでこんなにも真面目に考えているんだろうか?

その時めーちゃんは急に立ち上がった。
そして煙草に火を点けながら事務所の外に向かおうとする。

「めーちゃん。」
「…………なんだ?」
「めーちゃんは自分の言葉が人を狂わせて不幸にしていくのを知っているくせに、
 それでも私利私欲の為に言葉を使い続けるよね。
 めーちゃんの気まぐれな愛情と欲望のせいでボク今すっごく不幸な気分。」
「ごめん。」
「良いよ、どこかの誰かさんと違ってボク……、いいや私は許してあげる。
 なんてったって血は水より濃いからね、全部受け入れてあげる。」
「ありがとう。」
「普段の饒舌さは何処に行ったのさ?ていうか昔は男装してる私の姿嫌いだったくせに。」
「俺は何時だって最低限にしか喋らないさ。
 それじゃあちょっと煙草吸ってくる。」
「待った。」

後ろから抱きついてみる。
驚かされたお返しだ。
子供の時は何気なくしていた動作なのに今ではすっかり意味が変わってしまった。
いや、めーちゃんにとっては今も昔も同じ意味を持つ行為なのかも知れないけれど。






「……きゃー、現役女子高生に後ろから抱きつかれるなんて俺興奮しちゃう。」
「そう、めーちゃんけむいね。」
「昔は煙草を吸うのが格好良い男の条件だった時代があるんだよ。」
「ふ~ん、どうでもいいや。」
「そうだそうだ、お前にお小遣い渡し忘れていたっけ。」
「やだなあ、子供扱いしないでよ。」
「貰える物は貰っておけ。」

ガチャリ

何の前触れもなく突然ドアが開いた。
そこには小学生くらいの女の子が立っていた。
普段なら誰か近づいてくれば解るのに、その少女には気配という物がまったく感じられなかった。

「お兄ちゃん遊びに来たよ……って。
 どうしてお兄ちゃんは私の私の知らない男の人と玄関で抱き合ってるのかな?
 お兄ちゃんは男の人が好きな変態さんだったのかな?」
「あー待て、純。
 これにはお前には解らない大人の事情があってだな……。
 おい、唯、急いでそこの女の子を閉じ込めるようにイケメンバリアー張れ。」
「えっ!?えっ!?」
「と に か く い そ げ ! 」
「えと、※ただしイケメンに限る!」

次の瞬間だった。
ゴスンゴスンという音と共に釘のような物が光の壁の中で乱反射する。






「防壁……それはそこの男の能力かな?」
「めーちゃんこの子誰!?」
「遊園地で偶然出会った妹だ!」
「うわぁ、犯罪の香りしかしねえ!」
「良いからお前は一旦逃げろ唯!
 こいつとの話はおれがつける!」
「いいや、そんなのそんなの私が私が許さないんだから。」

ゴスン、ゴスン、ゴスン!
光の壁の内側から鈍い音が響き渡る。

「嘘だろ……?丑の刻参りを防壁に撃ち込んでるのか!
 呪い返しのダメージが有る以上、自爆特攻ですらないぞ!」
「ど、どういうことめーちゃん!?」
「はっはっは、あの子は世にも珍しい本物の病ンデレなんだ!」
「戦闘になると一番厄介じゃないそれ……。」

バキィン!

※ただしイケメンに限るによる防壁が破られた。

「さぁて…………
 言い訳は後でゆっくり聞いてあげるからね?」

まあ良いか。
めーちゃんに生で私の実力を見せる良い機会だ。
私は少しばかり腹をくくることにした。
【平唯の人間観察第七話「忌」fin】

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