「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 黒服Hと呪われた歌の契約者-59o

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だれでも歓迎! 編集
 ……数が、多すぎる
 倒しても倒しても姿を現してくるダンピールを前に、ヘンリエッタは舌打ちした
 今は、少しでも早く、ハンニバルの「最強の目」の本体をどうにかするべきだというのに…!!

「……っきゃ……!?」
「マクスウェル!?……っこの!」

 接近してきたダンピールの攻撃を、ヘンリエッタは傍にあった手術台を投げつける事で阻止した
 マクスウェルの手をとり、ダンピールから距離をとる

 ……自我を奪われ、兵器としての状態にされていても
 ダンピールの本能なのだろう…彼らは、ヘンリエッタを優先して狙ってくる
 エーテルが次々とダンピールを屠っていっても、次々とどこからか新手が現れてしまう
 これでは、切りがない

(どうする……っ!?)

 ヘンリエッタは焦る
 このままでは、物量で押されかねない
 いかにエーテルが強くとも、体力の限界と言うものが存在する
 せめて、自分がもう少し、戦う事ができたならば……!

 かつての自分ならば
 H-No.3に指摘された…「吸血姫」と呼ばれていた、あの頃の力があれば
 たとえ、ダンピール相手とて、遅れをとらなかった
 だが、この数百年……特に、「組織」に所属するようになってから、自分はあまりにも多く、力を失ってしまった
 死へと向かう精神状態が、ヘンリエッタの力を削ぎ続けたのだ
 エーテルの喝によって、生きる気力を取り戻しつつある今、わずかに力は戻り始めている
 だが、これでは間に合わない
 これでは、まだ足りないのだ!!

 せめて
 せめて、もっと早く
 自分が、力を取り戻し始めていたならば……!!

 後悔しても仕方ない
 それは、わかりきっている
 しかし、後悔せずにはいられない
 己のふがいなさが……ヘンリエッタは、どうしようもなく、憎たらしい

 ヘンリエッタが自己嫌悪していた、その時
 一体のダンピールの体に…変化が、現れ始めた

 ビキ、ビキ、と
 響く、無気味な音
 その体が……筋肉が、不自然に盛り上がりだす
 その顔が、ボコボコと膨れあがり、変化していく……!

「-----っな!?」

 その、ダンピールは
 元の、人間に近い姿など、原型を一切残さぬ…化け物へと、変貌した
 高らかに遠吠えする姿は、獣そのもの

「…っH-No.3の仕業か…!」

 あの少年の姿をした狂人は、いかに人間が、都市伝説が、強固な力を手に入れることができるかに執着していた
 その為ならば、外見にどんな変化が現れようとも、頓着しない
 ……むしろ、化け物じみた姿になればなるほど、あの狂人は喜んでいた
 恐らく、この場にいるダンピール…全員ではないかもしれないにしろ
 H-No.3の投薬により…このような、化け物じみた姿に変化してくる可能性が高い……!

 がぱ、と化け物へと姿を変えたダンピールが、大きく口を開く
 …その、口内から
 体内に仕込んでいたとでも言うのだろうか、無数の銀の矢が、ヘンリエッタに向かって放たれて
 それは、マクスウェルだけでは、防ぎきれず………

 迫り来る銀の矢を、前に
 ヘンリエッタは、避ける事も、できなくて
 次の瞬間、襲い掛かってくるであろう激痛を、覚悟した


 しかし
 その攻撃は…ヘンリエッタに、届かない

 どんっ!!と
 何かを…叩いたような音が、聞こえて
 直後
 ぴし………っ、と
 大気に……ヒビが、入った
 そのヒビは、まっすぐに、飛んでくる無数の銀の矢へと伸びていって
 そのヒビが、銀の矢に触れた瞬間………それらは全て破壊され、粉々に砕け散った


「………え」

 目の前に…誰か、立っている
 知っている
 自分は、自分達は………この男が誰なのか、知っている

 エーテルが、マクスウェルが……驚いているのが、気配で伝わってきた
 だが、きっと、一番驚いているのは自分だ……ヘンリエッタは、そう考える


 ----ずっと
 ずっと、彼に助けてもらいたかった
 救い出してもらいたかった

 だが、そんな事を考える………その行為自体が、罪深いと考えていた
 自分には、彼に助けられる権利など……救われる権利など、ないのだから

 だと、言うのに……


「…良かった、間に合ったね」

 ほっとした声
 彼が、くるり、振り返る

「大丈夫?ヘンリエッタ………君達を、助けに来たよ」
「-------ッ、ダレン…………!!」

 そこに、いたのは
 黒い髪に黒い瞳の、身長180cmを超えた………西洋人男性

 D-No.0
 Darren・Diefenbaker…………ダレン・ディーフェンベーカー

 暗殺されたはずの、姿を消していた、その男が
 まるで、当たり前のように……ヘンリエッタを護る位置に、立っていた

 ダンピール達が、雄たけびを上げる
 銀の剣を構えた固体が、恐ろしいスピードでダレンに接近し、切りかかろうとして
 …かん高い音と共に、その一撃は防がれた

「……主、我らより先に「こちら側」に飛び出すのは、おやめください」

 銀の剣を受け止めたのは空間の裂け目から現れた男性の持つ…禍々しい雰囲気漂わせる、刀
 和装に身を包み、目元を布で隠し、髪を頭のてっぺんで一つ結びにした男性
 …D-No.5、「心の目」と「妖刀 村正」の契約者、堂本 大地
 ダンピールの怪力での一撃を受け止めたまま、どこか呆れたような表情で、ダレンに苦言を呈した
 大地の言葉に、ダレンは少し困ったように答える

「だって、ヘンリエッタが危なかったから」

 それだけ
 たったそれだけの、シンプルな理由
 その理由で……ダレンは、今まで隠れ続けていた状態から
 「組織」に発見されるリスクを背負ってまで、姿を現したのだ

 大地が刀を振るうと…銀の剣を持っていたダンピールは、その体を一刀両断され、光の粒子となって消えうせる

「ダ、レン……本当に、お主なのか……?」
「うん、そうだよ」

 ヘンリエッタの震える声に、ダレンははっきりと答えた
 顔をあげ、エーテルを見つめ…申し訳なさそうな表情を浮かべる

「エーテルも……久しぶり。ご免ね。何の連絡もできなくて」
「ダレン……お前……」
「ディランから、話を聞いて………隠れ続けてなんて、いられなくて」

 顔をあげるダレン
 自分達を取り囲むダンピール達を……どこか、悲しげに見つめた
 しかし……すぐに、強い決意を秘めた表情を、浮かべる

 化け物と化したダンピールが、再び、口から無数の銀の矢を放った

 っどん!!と
 ダレンが……宙を、力強く、叩く

 その、次の瞬間……ダレンが叩いたポイントから、大気にヒビが入り
 先ほどと同じようにヒビは広がっていき……銀の矢にぶつかり、粉々に破壊していく

 ……ダレンが、こんな能力をつかるなど
 ヘンリエッタも、マクスウェルも…エーテルも、知らない
 ダレンの契約都市伝説は、彼を飲み込んだ都市伝説は、知っている
 だが、その能力でこんな事までできるとは……!

「僕がここに来たからには……これ以上、君たちを傷つけさせない。絶対に!!!」


 ---「組織」最強とも呼ばれた男
 世界も滅ぼせるといわれた男

 その彼が、ヘンリエッタ達に力を貸すからには、もはや、彼女達に敵などいない
 最強の存在が、この場にいる限り
 もはや、彼女らに、かすり傷一つつける事も、不可能なのだ




to be … ?



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