……数が、多すぎる
倒しても倒しても姿を現してくるダンピールを前に、ヘンリエッタは舌打ちした
今は、少しでも早く、ハンニバルの「最強の目」の本体をどうにかするべきだというのに…!!
倒しても倒しても姿を現してくるダンピールを前に、ヘンリエッタは舌打ちした
今は、少しでも早く、ハンニバルの「最強の目」の本体をどうにかするべきだというのに…!!
「……っきゃ……!?」
「マクスウェル!?……っこの!」
「マクスウェル!?……っこの!」
接近してきたダンピールの攻撃を、ヘンリエッタは傍にあった手術台を投げつける事で阻止した
マクスウェルの手をとり、ダンピールから距離をとる
マクスウェルの手をとり、ダンピールから距離をとる
……自我を奪われ、兵器としての状態にされていても
ダンピールの本能なのだろう…彼らは、ヘンリエッタを優先して狙ってくる
エーテルが次々とダンピールを屠っていっても、次々とどこからか新手が現れてしまう
これでは、切りがない
ダンピールの本能なのだろう…彼らは、ヘンリエッタを優先して狙ってくる
エーテルが次々とダンピールを屠っていっても、次々とどこからか新手が現れてしまう
これでは、切りがない
(どうする……っ!?)
ヘンリエッタは焦る
このままでは、物量で押されかねない
いかにエーテルが強くとも、体力の限界と言うものが存在する
せめて、自分がもう少し、戦う事ができたならば……!
このままでは、物量で押されかねない
いかにエーテルが強くとも、体力の限界と言うものが存在する
せめて、自分がもう少し、戦う事ができたならば……!
かつての自分ならば
H-No.3に指摘された…「吸血姫」と呼ばれていた、あの頃の力があれば
たとえ、ダンピール相手とて、遅れをとらなかった
だが、この数百年……特に、「組織」に所属するようになってから、自分はあまりにも多く、力を失ってしまった
死へと向かう精神状態が、ヘンリエッタの力を削ぎ続けたのだ
エーテルの喝によって、生きる気力を取り戻しつつある今、わずかに力は戻り始めている
だが、これでは間に合わない
これでは、まだ足りないのだ!!
H-No.3に指摘された…「吸血姫」と呼ばれていた、あの頃の力があれば
たとえ、ダンピール相手とて、遅れをとらなかった
だが、この数百年……特に、「組織」に所属するようになってから、自分はあまりにも多く、力を失ってしまった
死へと向かう精神状態が、ヘンリエッタの力を削ぎ続けたのだ
エーテルの喝によって、生きる気力を取り戻しつつある今、わずかに力は戻り始めている
だが、これでは間に合わない
これでは、まだ足りないのだ!!
せめて
せめて、もっと早く
自分が、力を取り戻し始めていたならば……!!
せめて、もっと早く
自分が、力を取り戻し始めていたならば……!!
後悔しても仕方ない
それは、わかりきっている
しかし、後悔せずにはいられない
己のふがいなさが……ヘンリエッタは、どうしようもなく、憎たらしい
それは、わかりきっている
しかし、後悔せずにはいられない
己のふがいなさが……ヘンリエッタは、どうしようもなく、憎たらしい
ヘンリエッタが自己嫌悪していた、その時
一体のダンピールの体に…変化が、現れ始めた
一体のダンピールの体に…変化が、現れ始めた
ビキ、ビキ、と
響く、無気味な音
その体が……筋肉が、不自然に盛り上がりだす
その顔が、ボコボコと膨れあがり、変化していく……!
響く、無気味な音
その体が……筋肉が、不自然に盛り上がりだす
その顔が、ボコボコと膨れあがり、変化していく……!
「-----っな!?」
その、ダンピールは
元の、人間に近い姿など、原型を一切残さぬ…化け物へと、変貌した
高らかに遠吠えする姿は、獣そのもの
元の、人間に近い姿など、原型を一切残さぬ…化け物へと、変貌した
高らかに遠吠えする姿は、獣そのもの
「…っH-No.3の仕業か…!」
あの少年の姿をした狂人は、いかに人間が、都市伝説が、強固な力を手に入れることができるかに執着していた
その為ならば、外見にどんな変化が現れようとも、頓着しない
……むしろ、化け物じみた姿になればなるほど、あの狂人は喜んでいた
恐らく、この場にいるダンピール…全員ではないかもしれないにしろ
H-No.3の投薬により…このような、化け物じみた姿に変化してくる可能性が高い……!
その為ならば、外見にどんな変化が現れようとも、頓着しない
……むしろ、化け物じみた姿になればなるほど、あの狂人は喜んでいた
恐らく、この場にいるダンピール…全員ではないかもしれないにしろ
H-No.3の投薬により…このような、化け物じみた姿に変化してくる可能性が高い……!
がぱ、と化け物へと姿を変えたダンピールが、大きく口を開く
…その、口内から
体内に仕込んでいたとでも言うのだろうか、無数の銀の矢が、ヘンリエッタに向かって放たれて
それは、マクスウェルだけでは、防ぎきれず………
…その、口内から
体内に仕込んでいたとでも言うのだろうか、無数の銀の矢が、ヘンリエッタに向かって放たれて
それは、マクスウェルだけでは、防ぎきれず………
迫り来る銀の矢を、前に
ヘンリエッタは、避ける事も、できなくて
次の瞬間、襲い掛かってくるであろう激痛を、覚悟した
ヘンリエッタは、避ける事も、できなくて
次の瞬間、襲い掛かってくるであろう激痛を、覚悟した
しかし
その攻撃は…ヘンリエッタに、届かない
その攻撃は…ヘンリエッタに、届かない
どんっ!!と
何かを…叩いたような音が、聞こえて
直後
ぴし………っ、と
大気に……ヒビが、入った
そのヒビは、まっすぐに、飛んでくる無数の銀の矢へと伸びていって
そのヒビが、銀の矢に触れた瞬間………それらは全て破壊され、粉々に砕け散った
何かを…叩いたような音が、聞こえて
直後
ぴし………っ、と
大気に……ヒビが、入った
そのヒビは、まっすぐに、飛んでくる無数の銀の矢へと伸びていって
そのヒビが、銀の矢に触れた瞬間………それらは全て破壊され、粉々に砕け散った
「………え」
目の前に…誰か、立っている
知っている
自分は、自分達は………この男が誰なのか、知っている
知っている
自分は、自分達は………この男が誰なのか、知っている
エーテルが、マクスウェルが……驚いているのが、気配で伝わってきた
だが、きっと、一番驚いているのは自分だ……ヘンリエッタは、そう考える
だが、きっと、一番驚いているのは自分だ……ヘンリエッタは、そう考える
----ずっと
ずっと、彼に助けてもらいたかった
救い出してもらいたかった
ずっと、彼に助けてもらいたかった
救い出してもらいたかった
だが、そんな事を考える………その行為自体が、罪深いと考えていた
自分には、彼に助けられる権利など……救われる権利など、ないのだから
自分には、彼に助けられる権利など……救われる権利など、ないのだから
だと、言うのに……
「…良かった、間に合ったね」
ほっとした声
彼が、くるり、振り返る
彼が、くるり、振り返る
「大丈夫?ヘンリエッタ………君達を、助けに来たよ」
「-------ッ、ダレン…………!!」
「-------ッ、ダレン…………!!」
そこに、いたのは
黒い髪に黒い瞳の、身長180cmを超えた………西洋人男性
黒い髪に黒い瞳の、身長180cmを超えた………西洋人男性
D-No.0
Darren・Diefenbaker…………ダレン・ディーフェンベーカー
Darren・Diefenbaker…………ダレン・ディーフェンベーカー
暗殺されたはずの、姿を消していた、その男が
まるで、当たり前のように……ヘンリエッタを護る位置に、立っていた
まるで、当たり前のように……ヘンリエッタを護る位置に、立っていた
ダンピール達が、雄たけびを上げる
銀の剣を構えた固体が、恐ろしいスピードでダレンに接近し、切りかかろうとして
…かん高い音と共に、その一撃は防がれた
銀の剣を構えた固体が、恐ろしいスピードでダレンに接近し、切りかかろうとして
…かん高い音と共に、その一撃は防がれた
「……主、我らより先に「こちら側」に飛び出すのは、おやめください」
銀の剣を受け止めたのは空間の裂け目から現れた男性の持つ…禍々しい雰囲気漂わせる、刀
和装に身を包み、目元を布で隠し、髪を頭のてっぺんで一つ結びにした男性
…D-No.5、「心の目」と「妖刀 村正」の契約者、堂本 大地
ダンピールの怪力での一撃を受け止めたまま、どこか呆れたような表情で、ダレンに苦言を呈した
大地の言葉に、ダレンは少し困ったように答える
和装に身を包み、目元を布で隠し、髪を頭のてっぺんで一つ結びにした男性
…D-No.5、「心の目」と「妖刀 村正」の契約者、堂本 大地
ダンピールの怪力での一撃を受け止めたまま、どこか呆れたような表情で、ダレンに苦言を呈した
大地の言葉に、ダレンは少し困ったように答える
「だって、ヘンリエッタが危なかったから」
それだけ
たったそれだけの、シンプルな理由
その理由で……ダレンは、今まで隠れ続けていた状態から
「組織」に発見されるリスクを背負ってまで、姿を現したのだ
たったそれだけの、シンプルな理由
その理由で……ダレンは、今まで隠れ続けていた状態から
「組織」に発見されるリスクを背負ってまで、姿を現したのだ
大地が刀を振るうと…銀の剣を持っていたダンピールは、その体を一刀両断され、光の粒子となって消えうせる
「ダ、レン……本当に、お主なのか……?」
「うん、そうだよ」
「うん、そうだよ」
ヘンリエッタの震える声に、ダレンははっきりと答えた
顔をあげ、エーテルを見つめ…申し訳なさそうな表情を浮かべる
顔をあげ、エーテルを見つめ…申し訳なさそうな表情を浮かべる
「エーテルも……久しぶり。ご免ね。何の連絡もできなくて」
「ダレン……お前……」
「ディランから、話を聞いて………隠れ続けてなんて、いられなくて」
「ダレン……お前……」
「ディランから、話を聞いて………隠れ続けてなんて、いられなくて」
顔をあげるダレン
自分達を取り囲むダンピール達を……どこか、悲しげに見つめた
しかし……すぐに、強い決意を秘めた表情を、浮かべる
自分達を取り囲むダンピール達を……どこか、悲しげに見つめた
しかし……すぐに、強い決意を秘めた表情を、浮かべる
化け物と化したダンピールが、再び、口から無数の銀の矢を放った
っどん!!と
ダレンが……宙を、力強く、叩く
ダレンが……宙を、力強く、叩く
その、次の瞬間……ダレンが叩いたポイントから、大気にヒビが入り
先ほどと同じようにヒビは広がっていき……銀の矢にぶつかり、粉々に破壊していく
先ほどと同じようにヒビは広がっていき……銀の矢にぶつかり、粉々に破壊していく
……ダレンが、こんな能力をつかるなど
ヘンリエッタも、マクスウェルも…エーテルも、知らない
ダレンの契約都市伝説は、彼を飲み込んだ都市伝説は、知っている
だが、その能力でこんな事までできるとは……!
ヘンリエッタも、マクスウェルも…エーテルも、知らない
ダレンの契約都市伝説は、彼を飲み込んだ都市伝説は、知っている
だが、その能力でこんな事までできるとは……!
「僕がここに来たからには……これ以上、君たちを傷つけさせない。絶対に!!!」
---「組織」最強とも呼ばれた男
世界も滅ぼせるといわれた男
世界も滅ぼせるといわれた男
その彼が、ヘンリエッタ達に力を貸すからには、もはや、彼女達に敵などいない
最強の存在が、この場にいる限り
もはや、彼女らに、かすり傷一つつける事も、不可能なのだ
最強の存在が、この場にいる限り
もはや、彼女らに、かすり傷一つつける事も、不可能なのだ
to be … ?