意志を奪われたダンピール達が、吼え声を上げる
新たに現れた侵入者達に対し、牙を剥く
新たに現れた侵入者達に対し、牙を剥く
「…ヘンリエッタ、彼らは」
「……もはや、自我も、意志も、残ってはおらぬ………ただの、戦闘兵器と化してしまっておる……………もはや、元には戻せぬ」
「………そう、か」
「……もはや、自我も、意志も、残ってはおらぬ………ただの、戦闘兵器と化してしまっておる……………もはや、元には戻せぬ」
「………そう、か」
ヘンリエッタの答えに、ダレンは悲しそうな表情を浮かべた
……目の前を相手を、殲滅する事しか、道がない
その事実が、悲しいのだろう
……目の前を相手を、殲滅する事しか、道がない
その事実が、悲しいのだろう
だが、迷っている暇などない
目の前で、ダンピール達はどんどん、その姿を化け物のように変貌させていっているから
倒さなければ、自分達の身が危ない
目の前で、ダンピール達はどんどん、その姿を化け物のように変貌させていっているから
倒さなければ、自分達の身が危ない
決意した表情で…ダレンはどん!どんっ!!…と、両の拳で、宙の二点を叩く
広がるヒビ
それは、ダンピール達の持つ銀の武器を、次々に破壊していく
広がるヒビ
それは、ダンピール達の持つ銀の武器を、次々に破壊していく
エーテルは、その攻撃の正体を見抜く
…ダレンの契約都市伝説は、「地震発生装置」
その気になれば、世界中の島を沈ませる事すらできる、強大な力
超高出力の共振波や振動波の発生装置そのもの、それがダレン
その能力でもって、宙を叩く、と言う動作によって、衝撃波を生み出しているのだ
なるほど、こういう使い方ならば……大地を揺らす事なく、島を沈めてしまう事も、大波を起こしてしまう事もない
エーテルからのアドバイスで、手加減の仕方を模索して……この方法に、たどり着いたのだろう
…ダレンの契約都市伝説は、「地震発生装置」
その気になれば、世界中の島を沈ませる事すらできる、強大な力
超高出力の共振波や振動波の発生装置そのもの、それがダレン
その能力でもって、宙を叩く、と言う動作によって、衝撃波を生み出しているのだ
なるほど、こういう使い方ならば……大地を揺らす事なく、島を沈めてしまう事も、大波を起こしてしまう事もない
エーテルからのアドバイスで、手加減の仕方を模索して……この方法に、たどり着いたのだろう
「遅かったじゃないか、随分待たせやがって」
苦笑して、そうダレンに告げるエーテル
襲い掛かってきたダンピールを、レーザーメスで切り捨てる
襲い掛かってきたダンピールを、レーザーメスで切り捨てる
「ごめんね、エーテル。せめて、連絡はとりたかったんだけど……」
困ったような表情をう浮かべるダレン
いい、と、エーテルは答える
いい、と、エーテルは答える
「積もる話は色々とあるが、全てはここを切り抜けてからだ……色々と聞かせてもらうぞ?」
「うん、わかったよ」
「うん、わかったよ」
こくり、頷くダレン
一歩…皆の前に出る
一歩…皆の前に出る
「…みんな、絶対に、僕の前に立たないで」
そう、呟くように言って
っどん!!と、ダレンは宙を叩く
ヒビは広がり……異形と化したダンピール達に届き、衝撃波で蹴散らしていく
ヘンリエッタとマクスウェルに、絶対に相手を接近させまいとするように、彼女らを護るように、立つ
っどん!!と、ダレンは宙を叩く
ヒビは広がり……異形と化したダンピール達に届き、衝撃波で蹴散らしていく
ヘンリエッタとマクスウェルに、絶対に相手を接近させまいとするように、彼女らを護るように、立つ
「…正気に、戻すことができないならば…………せめて、安らかな眠りを」
悲しげな言葉と共に、放たれる攻撃
この研究所を壊さない程度に加減されたそれは、しかし、確実にダンピール達の命を奪っていく
この研究所を壊さない程度に加減されたそれは、しかし、確実にダンピール達の命を奪っていく
…あいつらしくない事をさせてしまっているな
エーテルはこっそりと、苦笑した
エーテルはこっそりと、苦笑した
「…むこうは、任せても大丈夫そうだな……さて、こちらを蹴散らすの、手伝ってもらってもいいだろうか?」
「主の悲しみが少しでも和らぐならば、問題ない」
「主の悲しみが少しでも和らぐならば、問題ない」
目元を隠す布のせいで、若干、表情は伺いにくいが……大地は村正を手に、エーテルの隣に立った
直後…二人の姿が、消えた
そのように、ダンピール達には見えただろう
エーテルのレーザーメスが
大地の村正が、ダンピール達を次々に切り裂いていく
エーテルとは違い、次々とダンピール達の周囲を駆け抜け、相手を切り裂いていく大地
見る者が見れば…大地の持つ村正に、ダンピール達が吸い寄せられていっているように見えただろう
これが、大地の持つ「妖刀 村正」の特性
村正の中に、葉を吸い寄せて切り裂いたという伝説を持つ物がある
大地の持つ…大地を「飲み込んだ」村正は、その固体なのだ
直後…二人の姿が、消えた
そのように、ダンピール達には見えただろう
エーテルのレーザーメスが
大地の村正が、ダンピール達を次々に切り裂いていく
エーテルとは違い、次々とダンピール達の周囲を駆け抜け、相手を切り裂いていく大地
見る者が見れば…大地の持つ村正に、ダンピール達が吸い寄せられていっているように見えただろう
これが、大地の持つ「妖刀 村正」の特性
村正の中に、葉を吸い寄せて切り裂いたという伝説を持つ物がある
大地の持つ…大地を「飲み込んだ」村正は、その固体なのだ
今、この場において
彼らを止められる者など、存在しない
彼らに適う者など、存在しない
隠れ続けていた最強の存在が、表に現れて
そして、彼らは信頼しあっていて
護ると、傷つけないと、決意していて
その、絶対の信頼を、決意を、崩せる者など存在しない
それらに敵う者など、この場において一人たりとも存在しない!!
彼らを止められる者など、存在しない
彼らに適う者など、存在しない
隠れ続けていた最強の存在が、表に現れて
そして、彼らは信頼しあっていて
護ると、傷つけないと、決意していて
その、絶対の信頼を、決意を、崩せる者など存在しない
それらに敵う者など、この場において一人たりとも存在しない!!
…ほんの、数分後
その場に、ダンピールは残っていなかった
全てが倒され、光の粒子となって……消え去る
はじめから、存在していなかったかのように
ようやく………忌まわしい実験から解放され、消え去っていった
その場に、ダンピールは残っていなかった
全てが倒され、光の粒子となって……消え去る
はじめから、存在していなかったかのように
ようやく………忌まわしい実験から解放され、消え去っていった
ダレンが、ダンピール達の冥福を祈るように、軽く目を閉じたのが…ヘンリエッタには、見えた
「……すまぬ。お前に戦わせてしもうた」
「…ううん、大丈夫…………こうしなければならない事がある事は、わかっているから」
「…ううん、大丈夫…………こうしなければならない事がある事は、わかっているから」
ヘンリエッタの謝罪に、軽く首を振るダレン
少し、悲しそうな顔
それでも、ヘンリエッタを心配させないようにか、笑みを浮かべる
少し、悲しそうな顔
それでも、ヘンリエッタを心配させないようにか、笑みを浮かべる
「…えっと、他に、僕らが手伝える事、ある?」
「……いや……ひとまずは、あの扉を開けてから、じゃ」
「……いや……ひとまずは、あの扉を開けてから、じゃ」
…かすかな機械音が響く、扉
ヘンリエッタは、扉の傍の機械を軽く操作して…その扉を、開けた
ヘンリエッタは、扉の傍の機械を軽く操作して…その扉を、開けた
ごぽり
気泡が浮かぶ
そこにいたそれは、訪問者達を見つめた…ようだった
だが、それは断言できない
その瞳に、意志は残っていなかったから
気泡が浮かぶ
そこにいたそれは、訪問者達を見つめた…ようだった
だが、それは断言できない
その瞳に、意志は残っていなかったから
扉の向こうには…大きな、カプセルがあった
得体の知れない液体で満たされたその中に…人の形をしたものが、浮かぶ
得体の知れない液体で満たされたその中に…人の形をしたものが、浮かぶ
恐らくは、人間だろう、それは
……片目が、なかった
……片目が、なかった
「…こいつが」
「……うむ……ハンニバルの「最強の目」の…本体、じゃ」
「……うむ……ハンニバルの「最強の目」の…本体、じゃ」
エーテルの言葉に、苦々しく、答えるヘンリエッタ
カプセルの中に浮かぶその人間は…ハンニバルが「最強の目」を手に入れる為の、生贄そのもの
こぽ、とその口から気泡が漏れているのを見れば…生きては、いる
……だが、その意志は……残っていないように見えた
植物人間のような状態
生かさず、殺さず……その状態で、ここに保存されているのだろう
カプセルの中に浮かぶその人間は…ハンニバルが「最強の目」を手に入れる為の、生贄そのもの
こぽ、とその口から気泡が漏れているのを見れば…生きては、いる
……だが、その意志は……残っていないように見えた
植物人間のような状態
生かさず、殺さず……その状態で、ここに保存されているのだろう
「……酷い……」
「…でも…生きているんだよね?……助けられるよね…?」
「…でも…生きているんだよね?……助けられるよね…?」
エーテルの隣に立ち、悲しそうな表情を浮かべるマクスウェル
ダレンが、ヘンリエッタに尋ねると……ヘンリエッタは、やや難しい表情をして
しかし、力強く、頷く
ダレンが、ヘンリエッタに尋ねると……ヘンリエッタは、やや難しい表情をして
しかし、力強く、頷く
「…助けて、見せる………絶対に、じゃ。命を賭けてもいい。どれだけ時間がかかろうとも、妾は必ず、この者の心を取り戻してみせる……!!}
はっきりと、そう断言したヘンリエッタ
それが、せめて自分にできる償い
死ぬ事は、償いにはならない
それは、ただ、罪から逃げているだけだ
それに、ヘンリエッタはようやく気づく
自分に出来る事は……実験の被害者達を、犠牲者達を、まだ生きている者達を、少しでも救う事なのだ
それが、せめて自分にできる償い
死ぬ事は、償いにはならない
それは、ただ、罪から逃げているだけだ
それに、ヘンリエッタはようやく気づく
自分に出来る事は……実験の被害者達を、犠牲者達を、まだ生きている者達を、少しでも救う事なのだ
「ジェラルドに、取りに行かせた物が、ある。ジェラルドがそれを持ってここに到達すれば…」
「そうか……あいつが来るのを、待つしかないか」
「そうか……あいつが来るのを、待つしかないか」
ふぅ、と息を吐くエーテル
まだ、完全には警戒を解いていない
ダンピール達の他にも、警備にまわされている存在がいるかもしれないからだ
警戒しつつ、辺りを見回し……エーテルは、つけっぱなしのパソコンに、気づく
まだ、完全には警戒を解いていない
ダンピール達の他にも、警備にまわされている存在がいるかもしれないからだ
警戒しつつ、辺りを見回し……エーテルは、つけっぱなしのパソコンに、気づく
「これは……H-No.3辺りが、操作しっぱなしで放置したのか…?」
…あのH-No.3辺りなら、やりかねない
どこまでも、ある意味で子供っぽい狂人だったから
どこまでも、ある意味で子供っぽい狂人だったから
それは、何かのデータのようだった
画面に映し出されているそれに、エーテルは目を通し…………警戒しつつも、マウスを操作して、データを閲覧していって…
画面に映し出されているそれに、エーテルは目を通し…………警戒しつつも、マウスを操作して、データを閲覧していって…
「-------っ!?」
……そのデータを、見つけた
見つけてしまった
見つけてしまった
【門条 晴海との交配実験に成功
プロジェクト Obedient Pieceに紛れ込ませる
ナンバーはH-No.96
こちらの都市伝説の力をどこまで継承しているか、また、他の能力の変化はないか観察を続け……】
プロジェクト Obedient Pieceに紛れ込ませる
ナンバーはH-No.96
こちらの都市伝説の力をどこまで継承しているか、また、他の能力の変化はないか観察を続け……】
それは、H-No,1の作成した記録
つまり、これが示しているのは
H-No.96……すなわち、広瀬 辰也の、両親は…
つまり、これが示しているのは
H-No.96……すなわち、広瀬 辰也の、両親は…
『あいつは、何も知らなくていいんだ』
広瀬 宏也が言った、その言葉が
エーテルの頭の中で、リフレインされたのだった
エーテルの頭の中で、リフレインされたのだった
to be … ?