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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 黒服Hと呪われた歌の契約者-59n

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 古びた研究所
 とうの昔に廃棄されたはずのその場所は、しかし、今でも頻繁に人が出入りしている痕跡がはっきりと残っていた

「ここで、間違いなさそうだな」
「うむ……ここに、ハンニバルの「最強の目」の本体がおるはずじゃ」

 警戒しながら、研究所内に入るエーテル、マクスウェル、ヘンリエッタの三人
 相手の残り戦力は、ハンニバルとH-No.2………だけでは、あるまい
 報告なしに行っている研究の犠牲者が、番人として置かれている可能性もあるのだ

「ここの研究所内部の作りは、わかっているか?」
「…以前、訪れた時と何の改造もされていなければ、な」

 小さく苦笑するヘンリエッタ
 …いつからか、部下達の暴走を許してしまっていた彼女は、部下の研究所にも、長く訪れていなかった
 その間に、何かしらの改良が施されていても…それを、把握すらできていないのだ
 自分はどこまで、情けないのか
 暗く落ち込みかけた思考を、ヘンリエッタは軽く頭を振って追い出す
 ……落ち込むのも、自己嫌悪するのも、後だ
 今は…現状を打破する方が、先だ

「……ねぇ、エーテル」
「うん?どうした、マクスウェル」
「………「最強の目」の「本体」……そう言っていたよね?…それって、どう言う事………?」

 …マクスウェルの疑問も、もっともだろう
 ハンニバルの眼帯の下の、目
 それは、明らかに彼の目ではなかった
 何らかの、都市伝説である事は確定
 しかし……ハンニバルが「組織」に所属した時、彼は目に関した都市伝説とは契約して「いなかった」

 その時点で既に己の契約都市伝説に飲み込まれていたハンニバルが、その後、他の都市伝説と契約できるはずがない
 ……では
 あの「目」は何だと言うのか?

 エーテルとヘンリエッタは…既に、その真相に気づいている
 酷く残酷で、おぞましい、その答えを

 …ヘンリエッタに、その事実を口にさせる事を拒むように
 エーテルが、先に口を開いた

「…マクスウェル、「組織」に、カトブレパスの目を埋め込まれた少女がいる事は、知っているか?」
「……知ってる………そう言えば、あれも、ハンニバルの…………………っ!!」

 …気づいたのだろう
 目を見開いた、マクスウェル
 エーテルは、ゆっくりと続けた

「……恐らく、だが……ハンニバルは、その実験で、契約なしで都市伝説の力を手に入れる方法の……その、一つを見つけたんだろう。それを、自分で実行したんだ」

 それは、正確に言えば、都市伝説と契約していない訳ではない
 だが、力を手にする者は、都市伝説と契約せずともすむ、そんな方法
 それは

「あいつは……他の誰かに、「目」に関する都市伝説と契約させて……その目を、奪ったんだ……!」

 それも、恐らく一つの都市伝説だけではあるまい
 「ブルーベリーを摂取すると視力が良くなる」「妖精の目」等等………
 複数の、「目」に関する有利な都市伝説を何者かに契約させて…その目を、奪ったのだ
 それが、ハンニバルの眼帯の下の「最強の目」の正体
 他人から奪った力、なのだろう

「…推測でしかないが、恐らく、その通りなのであろう……あの男なら、やりかねない…っ」

 苦々しい表情を浮かべるヘンリエッタ

 ……彼女達の推測が真実であるならば、ハンニバルから目を奪われた契約者はどうなっているか?
 …死んではいないだろう
 死んでしまっては、契約が解除されてしまい…ハンニバルは、「最強の目」の力を失ってしまう
 ならば、生かしているだろう
 しかし、ただ生かしているだけでは…いつか、その者が契約を解除してしまう可能性を否定できない
 ならば、どうしているか?

 恐らく、生かさず殺さず
 植物人間のような状態になっているのではないだろうか?
 そして、それが……この研究所にいる可能性は高い

 三人は、どんどん奥へと進んでいく
 頻繁に使われているであろうルート
 埃が一切積もっていない道だけを選んで進んでいく

「……お嬢さん。その生贄とも呼べるそいつを見つけたら……どうするんだ?」

 …エーテルの、その問いかけに
 ヘンリエッタは、はっきりとこう答える

「その者を、解放する……これ以上、あの男の身勝手な願いに、利用させはせぬよ」
「………」

 解放
 果たして、その方法は?
 …エーテルは、あえてそれを尋ねようとはしなかった
 解放する手段など………どうせ、限られているのだから

 ………しばし、誰もが無言の時が続き
 そして、そこに到着した

 恐らくは、実験室
 実験台が並び、あちらこちらに、古い、もしくは新しい鮮血の痕が残っている
 ……果たして、ここでどれだけの人間が、都市伝説が
 その存在を弄ばれ……命を落としたのだろうか

「……この、奥……一番可能性があるのは、そこじゃ」
「…………あぁ」

 実験室の、奥
 そこに、硬く閉じられた扉がある
 そこから……かすかに、小さな音が響いていて
 何らかの機材が、稼動している事を示している
 「最強の目」の生贄がいるとしたら、そこしかない

 ヘンリエッタが、そこに向かおうとした
 ……その時

「…っ!!下がって!」
「え……」

 マクスウェルが、その気配に、気づいた
 直後……どこからか飛んできた銀の矢が、ヘンリエッタの左肩に突き刺さる

「っく!?」
「ヘンリエッタ!?」
「…この程度、どうと言う事はない……っ」

 ……どこに、潜んでいたというのか
 一人、二人、三人、四人……
 たくさんの人影が、実験室に姿を現した
 それらは皆、一様に、手に銀の武器を持っている…!

「…っこいつら、まさか…」
「……妾の、吸血鬼としての本能が………こやつらが何者なのか、嫌でも告げてきよる……!」

 …それは、吸血鬼の天敵
 吸血鬼たるヘンリエッタにとって、もっとも相性の悪い都市伝説

 ………ダンピール
 吸血鬼と人間の混血にして、生まれながらの吸血鬼狩人(ヴァンパイア・ハンター)
 その集団が…この実験室の奥への侵入者を排除する為に、意志のない瞳に殺意を宿らせるのだった





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