「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - トイレの花子様-09

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トイレの花子様 09


学校に戻り、私の城…と言ってもトイレの個室だが。
何かを深く、真剣に考える時はここが一番良いのだ。
校舎の改築と入念でこまめな掃除(後者は男によるもの)で異常なまでにキレイで、適度に狭い空間。
狭い空間が落ち着くというのは器が小さいように見えるかもしれないが仕方ない。
多分事実でもあるだろうから。

私はダルマ屋退治や、それまでの事を振り返り、考える。
私の下僕で玩具、あの駄犬のことについて。

私がバケモノ呼ばわりされても平気になったのも男のお陰だった。
どんな残虐な行いをしてしまっても、どんなにキツく当たってもついてくる。それこそ愚直に。
彼がいる限り、私はバケモノにはならない。そう安心できるのだ。
そして、その安堵を奪うモノは、消しても良いとさえ思える。

ただ、なぜあの駄犬のために私がそこまで思えてしまうのか。
なぜこんなに下僕の存在が私の中でこんなに大きいのか。

傷ついた私を生意気にも抱きかかえる男、私の目の前で傷付いた男、どんなに私が暴走しても何故か引かない男。
どれを考えてもあの駄犬の姿がチラつく。

「ホントにナマイキ…遠くにいても私に迷惑かけるなんて…」

この私の中で駄犬がこんなに大きい存在になるなんてありえない。
でもなんでこんなにチラつくのよ…

???「恋してるんじゃないですか?」

恋なんて絶対にありえ…え?

花「ちょっと!誰よ!!」

奇襲の可能性も頭に入れてドアをあける。

メ「私です。メイドです。」
花「なんでアナタがここに?」
メ「ここは女子トイレで私は女性ですよ?貴女の契約者がここに来るよりは自然ですよ。」
メ「とりあえず男さんの無事を伝えに来ました。」
花「そう、よかったわ。」
メ「あれ?予想以上に素っ気無いですね。」
花「そうでもないわよ。で、さっきなんか言ってたわよね?」
メ「あ、はい。花子様は恋をしてるんじゃないかと言いました。」

な、なんてことを
花「まさかそんな事が有るわけ…アレは私の玩具…」
メ「玩具でも好きになっておかしくは無いですよ?少女がヌイグルミに名前をつけて愛でるように」
花「でもありえないわよ!」
メ「またまたぁ、誰にも言いませんからぁ…メイドと花子様の仲じゃないですかぁ(ニヤニヤ)」

ヒロインの女友達その3みたいな反応してきて…
花「だからありえn
メ「【有得ないなんて有得ない】ハガレンで言ってましたよ?」
花「私が男に惚れるなんて天地がひっくり返っても起こりえないわよ!」

ニヤリ
メ「私は【男さんに恋してる】なんて言ってませんよ?」

カーッと顔が赤くなるのを感じる。絶対そんなことないのに。
そしてフフっと笑ってメイドが言う。
メ「やっぱり花子様は面白い方ですね。このまま修学旅行のテンションで徹夜の恋バナに突入してみたいのですが、
  夏コミの原稿があるので帰ります。あ、忘れるところでした…」
そういって何かを手渡す。これは…!
メ「ド○モのエヴァケータイです。花子様と連絡がとり易いようにと思いまして。使い方は男さんに聞いてください。
  それでは、失礼します。」

花「ちょ、ちょっと…」

行ってしまった。男に恋愛感情を持つなんてありえない。
だってだいたい何させてもダメで、ただ引き連れてると退屈しないペット。玩具よ。
そのハズなのにこんなに焦らされるのは何故?

 ・ ・ ・ ・ ・

帰りながら、ふと思い出し笑いをしてしまう
メ「フフ、あんなにムキになって否定して、可愛かったなぁ。なんて素敵な役得♪」

きっと気づいてないのは当事者2人だけじゃないかと思う。
と言っても、ここまで近づいた第三者は私くらいか。

メ「大事に思ってるのは自覚してても恋愛感情は無自覚なのね。」

まあ、あの2人は主従関係が先にあるから、恋愛関係になりにくいのか。
きっと同性のように親友として交友していた男女に恋が芽生えるかどうかみたいな状態なのかな?
まあ、とにかく彼女の思考要素に男への恋心が加わったのだから良いか。

メ「そのうち改めて、徹夜の恋バナってのをしてみたいな。」
私は花子様と知り合うまで友達と呼べる友達がいなかった。
だから、そういう事に憧れているのだ。ボスには小言を言われそうですけど。

 ・ ・ ・ ・ ・

あれから一週間。私は男に会わなかった。いや、会えなかった。
あの犬はまだ入院中で、私はアイツ無しでは学校から出られないからだ。
男と契約してからほとんど毎日顔を合わせていた。ここまで長く会わないのは初めてだった。
その一週間は辛くて仕方なかった。
会えなくて辛い思いをすることが、私が頑なに否定し、メイドが私に言ったことを肯定する。
会いたくて仕方がない。
気づくとそう思うようになっていた。

聞きなれたリズムのノック音の後、私が渇望していた声が聞こえる

男「花子様ー、男治りましたー」

私は勢い良くドアを開け、男を個室に引きずりこんでいた。
衝動的に男を抱きしめ、男の声を、感触を、匂いを、その存在を、貪った。そして確認した。
男の存在と、私が否定していた気持ちを。
私は男の胸から顔を上げ、戸惑う男の瞳を見つめ、精一杯の愛情と侮蔑を込めて言う。

花「来るのが遅すぎるのよ、本当に…本当にダメな犬ね、アナタは。」

もう否定はしない。この男は私のペット、下僕、玩具、そして、
大事な大事なパートナー…。
絶対に、何があっても放さない。そのためにならバケモノになるのも厭わない。
邪魔をするモノは絶対にユルサナイ。

花「男、アナタに新しい契約をしてもらうわ。」
男「な、何ですか?新しい都市伝説とかですか?」
花「違うわよ馬鹿。都市伝説とかと一切の関係なく、一生私のものになるって契約。私の唇に誓いなさい。」
男「それって告白とかプロポーズってやつですか?」
花「…」
男「俺で良いんですか?」
花「お前が良いのよ。ほら、早くしなさい…恥かかせないでよ。」

男は私の唇に自身の唇を重ねた。そして誓った。

男「一生尻に敷いて足蹴にしてください。」

こんな時くらいもう少しカッコイイこと言いなさいよ。
でも、私は絶対忘れないだろう。
これから幾度と無くするであろう口づけの中でも、この口付けの感触だけは。



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