ぱしゃぱしゃと、プールの中を進む翼
男狙いの変態もいる事は理解した
だが、それならば、自分が囮になってやろう、という考えだ
もっとも、一度あの変態を蒸発させかけた翼が、再び狙われるかどうかは微妙なのだが
男狙いの変態もいる事は理解した
だが、それならば、自分が囮になってやろう、という考えだ
もっとも、一度あの変態を蒸発させかけた翼が、再び狙われるかどうかは微妙なのだが
それでも、「日焼けマシンで人間ステーキ」の能力を発動し、相手が視界に入り次第、今度こそ完璧に蒸発させてやると言う状態の翼
能力発動の影響で彼の体温は上がっており、周囲の水の温度まであがっている
能力発動の影響で彼の体温は上がっており、周囲の水の温度まであがっている
…と
そこに
そこに
「翼っ!」
「…誠?」
「…誠?」
ばしゃ、と
泳いできたのは、誠だった
翼の周囲の水の温度から、翼が能力を発動している事に気付いたのだろう
泳いできたのは、誠だった
翼の周囲の水の温度から、翼が能力を発動している事に気付いたのだろう
「…何か、あったんだな?」
と、そう問い掛けてきた
「あぁ、ちょっと、都市伝説の変態が、な」
「やっぱりか…こっちでも、ロレーナとマリが剥かれた」
「そっちもか」
「やっぱりか…こっちでも、ロレーナとマリが剥かれた」
「そっちもか」
マリが幼女姿をとっていた事から考えて、ロリ狙いの変態の仕業か
近づいてきた誠に、翼は続ける
近づいてきた誠に、翼は続ける
「気をつけろよ、女の水着剥く変態だけじゃなくて、男狙いのもいるから」
「そうか…なるほど、俺達も気をつけないと駄目、って事か」
「そうか…なるほど、俺達も気をつけないと駄目、って事か」
す、と当たり前のように、翼の背後に回った誠
翼の背中を、護るように
翼の背中を護るのは自分だ、とそう主張するかのように
翼の背中を、護るように
翼の背中を護るのは自分だ、とそう主張するかのように
そして、翼もそれを許す
誠を、背中を預けるに値する親友であると認めている
誠を、背中を預けるに値する親友であると認めている
一度は壊れかけた友情
しかし、それは以前よりも強い絆となって、そこに存在する
しかし、それは以前よりも強い絆となって、そこに存在する
「相手は水ん中。しかも、見た目もほとんど水そのものだ。気をつけろよ」
「あぁ……翼、お前は、剥かれてないよな?」
「あぁ……翼、お前は、剥かれてないよな?」
誠の、その言葉に
翼は、一瞬「う」と押し黙ってから…答える
翼は、一瞬「う」と押し黙ってから…答える
「……一回、剥かれたけど。でも、油断してたからだ」
二度目はない
男狙いの変態もいるとわかった以上、警戒は怠ってない
男狙いの変態もいるとわかった以上、警戒は怠ってない
「何!?お前もかよ……っくそ、むしろ俺が剥きたかっ」
…っご!!
ざぱんっ!!!
ざぱんっ!!!
誠の発言が、最後まで続く前に
翼の回し蹴りが誠に命中し、プールの中に沈めたのだが
翼に罪はない、多分
翼の回し蹴りが誠に命中し、プールの中に沈めたのだが
翼に罪はない、多分
水の中を高速で泳いでいたそれは、水に沈んできた獲物に目をつけた
先ほどは、うっかりと人外を襲ったばっかりに、グロテスクな光景を作り上げてしまったが
今度は、そうはいかない!
相手は契約者の気配こそするが、人間そのもの
先ほどのような事にはなるまい
先ほどは、うっかりと人外を襲ったばっかりに、グロテスクな光景を作り上げてしまったが
今度は、そうはいかない!
相手は契約者の気配こそするが、人間そのもの
先ほどのような事にはなるまい
音もなく、それは獲物に近づいていく
水の中では、それの姿を認識するのは不可能に近い
気配だけで探るしかないだろうが…そうそうやすやす、相手につかまったりはしない
プールの中は、自分達のテリトリーなのだ
能力を最大限に発揮できる状況で、そう負けるはずがない
水の中では、それの姿を認識するのは不可能に近い
気配だけで探るしかないだろうが…そうそうやすやす、相手につかまったりはしない
プールの中は、自分達のテリトリーなのだ
能力を最大限に発揮できる状況で、そう負けるはずがない
確信し、それは獲物に近づいていく
そして、己が能力で持って、相手の水着を剥ぎ取ろうとして…
そして、己が能力で持って、相手の水着を剥ぎ取ろうとして…
『-----っ!?』
じろ、と
水に沈んだ獲物が…水面へと、浮かぶ事、なく
己を睨んできた事に、それは驚いた
水に沈んだ獲物が…水面へと、浮かぶ事、なく
己を睨んできた事に、それは驚いた
……気付かれた!?
危険を感じ、慌てて逃げ出そうとする
が、方向転換し、加速がつくよりも、前に
が、方向転換し、加速がつくよりも、前に
『っなぁ!?』
っが!!と
接近してきた相手に……そのゼリー状の体を、つかまれた
接近してきた相手に……そのゼリー状の体を、つかまれた
---ざぱぁっ!!!
誠によって、それは水中から叩き出された
プールサイドに落下し、ぬめぬめと蠢く
誠によって、それは水中から叩き出された
プールサイドに落下し、ぬめぬめと蠢く
「水ん中から叩き出せば、弱体化するだろ」
「…むしろ、まな板の上の鯉みたいだな」
「…むしろ、まな板の上の鯉みたいだな」
ざぱ、とプールからあがる翼と誠
蠢く変態を、睨みつける
…びくり、と
変態が、恐怖を感じたように震えた
蠢く変態を、睨みつける
…びくり、と
変態が、恐怖を感じたように震えた
「……覚悟しろよ」
そのまま、翼はそれを睨みつけ
「日焼けマシンで人間ステーキ」の能力が発動し……それの水の体は、高温へと熱されて蒸発していくのだった
「日焼けマシンで人間ステーキ」の能力が発動し……それの水の体は、高温へと熱されて蒸発していくのだった
男狙いの変態・リタイア