「はい………はい。了解、ボス」
朝比奈からの連絡に応対していたヘンリー
通話を終えた彼に、バスカルは尋ねる
通話を終えた彼に、バスカルは尋ねる
「何だって?」
「騒動の原因の都市伝説が5体。うち、少なくとも2体はどうにかしたそうだ。相手は水から引きずり出さればほぼ無力化できるらしい」
「騒動の原因の都市伝説が5体。うち、少なくとも2体はどうにかしたそうだ。相手は水から引きずり出さればほぼ無力化できるらしい」
ヘンリー達の目の前の水は……静かだ
それは、そうだろう、誰もプールに入っていない状況だ
獲物がいなければ、変態も現れまい
それは、そうだろう、誰もプールに入っていない状況だ
獲物がいなければ、変態も現れまい
「いざとなれば戦っていいとは言われたけど、どうするか…」
呼吸する国際問題に戦闘許可出すなよ
その突っ込みを抑えつつ、バスカルはヘンリーと共に、目の前のプールに視線をやる
その突っ込みを抑えつつ、バスカルはヘンリーと共に、目の前のプールに視線をやる
騒動の原因はわかったのだ、「調査」は既に終わっている
後は、それ以上の行為を行うか、否かという事
後は、それ以上の行為を行うか、否かという事
「乙女を辱めるような奴、放っておくわけにはなぁ…」
ちらりと、沙々耶やデリアの様子を見ながら呟くヘンリー
しかし、相手が来てくれなくては、どうにもならない
ここの施設は広すぎて、相手を探して彷徨う、となると効率が悪すぎる
しかし、相手が来てくれなくては、どうにもならない
ここの施設は広すぎて、相手を探して彷徨う、となると効率が悪すぎる
「仕方ない。俺が囮に…」
「それは駄目だ」
「それは駄目だ」
バスカルの言葉に、ヘンリーは即答
それはもう、すがすがしいほどにきっぱりと
それはもう、すがすがしいほどにきっぱりと
「乙女を危険な目にあわせる訳にはいかない」
「だから、乙女じゃないっての…」
「だから、乙女じゃないっての…」
まったく、この節操なしの処女厨は
バスカルは、呆れたようにため息をついた
バスカルは、呆れたようにため息をついた
「せめて、コンスタンツェの水着だけでも回収したいところだがね。水の中に入れないとなると…」
むぅ、と難しい表情をしているドクター
それでも、危険を覚悟でプールに入ろうとした、その時
それでも、危険を覚悟でプールに入ろうとした、その時
ちゅちゅちゅ、ちゅちゅちゅ、ちゅちゅちゅちゅちゅちゅちゅちゅ♪
…どこからか、聞こえてきた鼻歌らしき、メロディ
見ると、ぱっちゃぱっちゃぱっちゃ
小さなハツカネズミが、何かを引っ張りながら泳いできている
そよそよ、水に揺れる、それは
見ると、ぱっちゃぱっちゃぱっちゃ
小さなハツカネズミが、何かを引っ張りながら泳いできている
そよそよ、水に揺れる、それは
「あ、お姉の水着…」
「ややや!?た、確かにその通りであります!?」
「ややや!?た、確かにその通りであります!?」
どこからどう見ても、沙々耶によってうっかり脱がされ、流されたコンスタンツェの水着だった
エニグマ姉妹の声に、ちゅ?とネズミが反応する
エニグマ姉妹の声に、ちゅ?とネズミが反応する
ぱちゃぱちゃ
ネズミは、プールサイドまで近づいてきて
ネズミは、プールサイドまで近づいてきて
「ちゅちゅ?」
と、愛らしく、首をかしげてエニグマ姉妹を…特に、コンスタンツェを見上げてくる
「これ、君の?」とでも言うように
「これ、君の?」とでも言うように
「あ…ありがとうであります」
「ちゅっちゅー!」
「ちゅっちゅー!」
コンスタンツェが水着を受けると、ネズミはちょっと誇らしげに鳴いて
また、鼻歌を歌いながら、犬かきで泳いでいった
また、鼻歌を歌いながら、犬かきで泳いでいった
………
…………
…………
「日本のネズミって、泳ぐ上に鼻歌まで歌うんだな」
「いや、それはないっ!?」
「いや、それはないっ!?」
明らかに普通のネズミじゃないだろ、と
バスカルは、ヘンリーのボケた発言に盛大に突っ込んだのだった
バスカルは、ヘンリーのボケた発言に盛大に突っ込んだのだった
続くかどうかわからない