「やだなぁ~、いい加減、信用してくださいよ」
「………………」
「自分達、G-No.1……ジェラルド・グライリッヒ直属の黒服ですってば。強行派でも過激派でもないですよー」
「………………」
「自分達、G-No.1……ジェラルド・グライリッヒ直属の黒服ですってば。強行派でも過激派でもないですよー」
「アメリカ政府の陰謀論」の黒服・アンネローゼと、最強にして最凶に厄介な武人、呂布との、周囲に甚大な迷惑をかけた戦いの、直後
己の契約都市伝説のひとつであるクールトーの呼び声に、マドカとプールで捕獲した変態共を連れているという状態、気は進まなかったものの駆けつけた朝比奈 秀雄
途中、合流したヘンリーからも事情を聞き、ひとまず、後始末の手伝いでもしようかと思っていたのだが
……そもそも、あれだけ派手な戦いである
「組織」が動かぬはずもなく
現場に現れた黒服立ちを前に、秀雄は嫌悪を隠そうともしなかった
大樹相手には、ある程度気を許しつつあるとは言え……秀雄にとって、「組織」は憎悪の対象である事に、未だ変わりはないのだ
己の契約都市伝説のひとつであるクールトーの呼び声に、マドカとプールで捕獲した変態共を連れているという状態、気は進まなかったものの駆けつけた朝比奈 秀雄
途中、合流したヘンリーからも事情を聞き、ひとまず、後始末の手伝いでもしようかと思っていたのだが
……そもそも、あれだけ派手な戦いである
「組織」が動かぬはずもなく
現場に現れた黒服立ちを前に、秀雄は嫌悪を隠そうともしなかった
大樹相手には、ある程度気を許しつつあるとは言え……秀雄にとって、「組織」は憎悪の対象である事に、未だ変わりはないのだ
「D-No.962……大門 大樹の同僚なんですってば。あのお人好し過労死候補生が過労死しないように、自分らが動く訳で。あなたがごねてると、あっちに任せられる事になって過労死候補生の仕事が増えますってば」
「…………………」
「…………………」
…小さく、ため息をつく秀雄
ようやく、おれるつもりになったらしい
ようやく、おれるつもりになったらしい
「………怪しい動きを感知し次第、焼く」
…ただし、物騒なことも口にして
「ひぎぃ!?自分達戦闘力ないから焼かれたら死ぬ!死ねますからね!?……よーし、みんな、ほら、お仕事お仕事ー」
秀雄の言葉にわりと本気で怯えつつ、駆けつけた黒服達の中ではリーダーらしき黒服が、周囲にそう声をかけた
怪我人の確認に、黒服達が動き出す
怪我人の確認に、黒服達が動き出す
「さて、色々壊れた修復はっと……さて、「寝ている間の妖精さん」を発動してもらいましょうか」
「毎度毎度突然呼び出して、急に眠れとか無茶ですからね!?睡眠薬とか嫌ですからね!?」
「そう言う、契約者の体に害が及びそうな事は、自分達禁止されてますからー。さーて、あなたはだんだん眠くな~る~」
「毎度毎度、そんな子供だましみたいな催眠術にかかっちゃうなんて………っく、悔しい!でも……………ぐぅ」
「毎度毎度突然呼び出して、急に眠れとか無茶ですからね!?睡眠薬とか嫌ですからね!?」
「そう言う、契約者の体に害が及びそうな事は、自分達禁止されてますからー。さーて、あなたはだんだん眠くな~る~」
「毎度毎度、そんな子供だましみたいな催眠術にかかっちゃうなんて………っく、悔しい!でも……………ぐぅ」
ゆ~らゆ~ら
糸の先につけられた5円玉をゆらゆら揺らしての、馬鹿みたいな催眠術にかかり、こってり眠る契約者らしき青年
…恐らくは、この黒服の契約都市伝説、なのだろう
非常に馬鹿みたいだが
糸の先につけられた5円玉をゆらゆら揺らしての、馬鹿みたいな催眠術にかかり、こってり眠る契約者らしき青年
…恐らくは、この黒服の契約都市伝説、なのだろう
非常に馬鹿みたいだが
そちらに意識をさく事を止めて、秀雄はマドカと捕縛していた変態の元に戻る
縄で縛られてぴちぴちしている変態達を突付いて遊んでいたマドカが、顔をあげた
縄で縛られてぴちぴちしている変態達を突付いて遊んでいたマドカが、顔をあげた
「話、終わったのかい?」
「…………あぁ………事後処理は、あちらの役目だ」
「…………あぁ………事後処理は、あちらの役目だ」
淡々と、答える秀雄
傍に待機していたヘンリーに、顔を向ける
傍に待機していたヘンリーに、顔を向ける
「…怪我人の治癒は、お前とユニコーンに任せる」
「はい、ボス!」
「はい、ボス!」
秀雄の言葉に答えるヘンリー
その傍らに、ユニコーンが出現した
その傍らに、ユニコーンが出現した
「あ、ボス。乙女の手伝いもしていいですか?」
「………好きにしろ」
「………好きにしろ」
二人のやり取りに、わりとあからさまに嫌そうな顔をしたのはパスカルである
自分は乙女じゃない
ついでに、「教会」子飼いの契約者に、あぁも軽々と指示を出さないで欲しいものだ
一応、ヘンリーの直接の上司にあたるシスター・ドリスの許可があるらしいとは言え…何かあったら、大問題だと言うのに
自分は乙女じゃない
ついでに、「教会」子飼いの契約者に、あぁも軽々と指示を出さないで欲しいものだ
一応、ヘンリーの直接の上司にあたるシスター・ドリスの許可があるらしいとは言え…何かあったら、大問題だと言うのに
「と、言う訳で、乙女!手伝うぞ!」
「出来ればじっとしてくれていた方が俺としては助かるんだけどな…」
「出来ればじっとしてくれていた方が俺としては助かるんだけどな…」
ため息をつきながらも、まぁ、この処女厨の変態が簡単に折れるとは思えず、諦めるしかない現状
何故、自分はこんな奴と知り合ってしまっていたのかと己の人間関係について若干考え直したい気分になる
何故、自分はこんな奴と知り合ってしまっていたのかと己の人間関係について若干考え直したい気分になる
「……と、言うか、お前もよく朝比奈の指示をあぁもあっさり聞けるな…」
「ん?だって、今のボスは、俺を道具扱いしないし」
「ん?だって、今のボスは、俺を道具扱いしないし」
パスカルの言葉に、あっさりと答えたヘンリー
…「今の」、と言うのが若干アレだが、まぁ、朝比奈 秀雄を信用していると言う事だろう
……自分の上司以外の「教会」の連中よりも、ずっと
…「今の」、と言うのが若干アレだが、まぁ、朝比奈 秀雄を信用していると言う事だろう
……自分の上司以外の「教会」の連中よりも、ずっと
「俺、父親いないから……父親、って言うのはあぁいうのなんだろうな、って思うし」
「…そうか」
「…そうか」
……そう言えば、ヨーロッパにいた頃、何かの機会に……ヘンリーが、酒にでも酔っていた時だったか?彼が孤児である事を聞いた事があるような気がした
何故、孤児になったのかまでは、聞いた覚えはないが
何故、孤児になったのかまでは、聞いた覚えはないが
(…「教会」所属の契約者は、古くからいるのとか代々続いて…ってのはともかく、孤児が多いからな…)
その性質や環境上、まぁ、仕方ないのかもしれないが
そんな大多数の孤児の中、珍しくもユニコーンの契約者であるヘンリーは、「教会」では特別扱いだった事だろう
………それ故に、同じ孤児の中から…場合によっては、上の者からも、どんな感情を向けられていたか、は……想像できるが、想像したくないところだ
ヘンリーが、上司であるシスター・ドリスを強く信頼している事も
朝比奈 秀雄を、半ば父親のように見ている事も
………そして、パスカルが男であった頃から、友人として認識していて、女性の状態になった今、むしろ、他の乙女達以上に気にかけてくる事も
それは、孤独であったが故の、寂しさの表れだったのかもしれない
そんな大多数の孤児の中、珍しくもユニコーンの契約者であるヘンリーは、「教会」では特別扱いだった事だろう
………それ故に、同じ孤児の中から…場合によっては、上の者からも、どんな感情を向けられていたか、は……想像できるが、想像したくないところだ
ヘンリーが、上司であるシスター・ドリスを強く信頼している事も
朝比奈 秀雄を、半ば父親のように見ている事も
………そして、パスカルが男であった頃から、友人として認識していて、女性の状態になった今、むしろ、他の乙女達以上に気にかけてくる事も
それは、孤独であったが故の、寂しさの表れだったのかもしれない
「?」
パスカルの様子に、首をかしげるヘンリー
その様子からは、内に抱えている孤独の影は、見えない
……まぁ、表に出されても困るのだが
その様子からは、内に抱えている孤独の影は、見えない
……まぁ、表に出されても困るのだが
瓦礫を乗り越えながらついてくるユニコーンからの視線に、ため息をつきながら
パスカルは有羽と共に、怪我人を探す作業に入ったのだった
パスカルは有羽と共に、怪我人を探す作業に入ったのだった
fin