「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 拝戸直しの人殺し-14

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【拝戸直の人殺し 第十四話「サンジェルマンの悩み」】

「7001 0000 7002 0000 1210 800D 1220 800C…………。」

組織の施設内部、薄暗い部屋の中。
パソコンの前で数字をぶつぶつと呟きながらキーボードで打鍵を続ける女性。
上田明也の契約する都市伝説【赤い部屋】である。

「都市伝説をデータ化するなんて……。
 本当に出来るのかなあ、確かに私たち都市伝説は人の噂を母体にしてるけど……。」

パソコンに突き刺さっているのはDの文字が刻まれたUSBメモリ。
そのUSBメモリとパソコンをグルッと囲むように複雑な文字の書かれた護符が貼ってある。

「茜さん、作業の調子はどうですか?」
「まあ進捗度15%ってところですかねえ、明也さんはどうしてますか?」
「何やらCOA世界で面倒に巻き込まれているようです。」
「むぅ……、じゃあ私も助けに行きましょうかね。」
「流石の彼でも貴方がいきなり現れたら心配やら心労やらで胃に穴が空くと思います。
 今は貴方一人の身体じゃないのですから。
 本来はこの解析作業やらプログラミングやらして頂いているのもどうかと思っていて……。」
「でもまあ私だけニートしてる訳にもいかないじゃないですか。
 橙さんが現実世界の情報収集、彼方さんが現実での戦闘、明也さんが……事務処理。
 となったら私が電脳関係担当するしか無いじゃないですかぁ。
 ていうかあれです、私じゃなくて私のキャラで助けに行けば良いですしー。」

そういって赤い部屋は再びエメラルド色のパソコンに向かう。



「そのパソコンの調子はどうですか?」
「ああー、すごく調子良いですぅ。
 強いて言えばもうちょいグラフィックメモリをですねえ……。」
「……ネトゲの為ですか。」
「これだけはやめられない!」
「止めませんけどね。パソコンから出る電磁波もお腹の子供に悪影響な可能性が……」

ブツッ
赤い部屋はパソコンの電源を躊躇いなく切った。
強制終了である。
このパソコンはサンジェルマンが自らの都市伝説「オーパーツ」内部の都市伝説を利用して作ったパソコンで、
これを彼は自分の友人の著作から名前を取って「エメラルド・タブレット」と呼んでいた。
対都市伝説攻撃を防ぐために素材の一部に霊石を使った無駄に豪華なパソコンである。
当然壊れたら大変だ。
だが赤い部屋は容赦なくそれを強制終了した。

「ちょっと引きこもってきますね。」
「…………ちなみにノーパソの電磁波程度なら問題無いそうです。」
「じゃあノーパソバージョン作っておいてください。」
「……はい。」

赤い部屋は迷うことなく彼女の空間に引きこもってしまった。





サンジェルマンはUSBメモリ内部の「死神」の状態の確認と、
パソコン内部の作業中のデータが壊れていないかの確認を開始する。
無事だった。
サンジェルマンはため息を吐いた。

「くそ……、明也さんが落ち着いたと思ったら!
 直さんの殺人癖が眼着けられるし!
 なんでこんなに問題が続くんだ!
 くそっ!くそっ!くそっ!」
『どうしたんだい、ご機嫌斜めだね。』
『まあそれも仕方ないか、そもそも異常な人々は居るだけで社会の秩序を乱すんだ。』
『だから幾ら問題が起きても仕方ないと思わないか?』
「ああ、フェリシアですか。」
『人間の私にはどうにもこの組織ってのは居づらくてね。』
『ていうかなんだいあのトイレは?トイレと思えぬ嬌声が響いてるんだけど。』

引きつった笑みを顔に貼り付けて表れたのはフェリシアである。
彼女はサンジェルマンの契約者だ。

「何って……、トイレですけど。」
『あんなのハッテン場じゃないか!』
「トイレってハッテン場じゃないんですか……?」
『もうやだこの組織!出て行かせて貰うぞ!』
「あ、逃げないでええええええ!」

フェリシアは泣いて走り去ってしまった。
彼女も一応乙女である。
恐らく女子トイレで怖い思いをしたのだろう。




しかしそれよりも仕事が溜まっている。
サンジェルマンは彼女を追いかけることを断念して仕事をすることにした。
F-№に割り振られている分の任務をそれぞれの黒服に再び割り振る仕事である。
一つ間違えると簡単に死人が出るので結構熟慮せざるを得ない。

「これは……、久しぶりの戦争に対する介入か。
 №5師弟に割り振りますかね、めっちゃバトりたがってましたから。
 次は調査系の任務、№6ですね。
 地味な都市伝説退治は……、№77に任せましょうか。
 COA関係の任務はE-№が受け持ってるのか……。
 まあ私の仕事はもう終わってますからね、聖杯の確保とユティさんの安全確認ができた以上、
 私がやることはありません。
 最悪でも上田さんがなんとかするから大丈夫、かな。」

書類を分けて次々に判子を押すサンジェルマン。
伝説の錬金術師とは思えない地味さ加減である。

「鵺の討伐任務もさっさと終わらせないとな……。
 でもなんで私の所にこの任務来たんでしょうか。
 まあ直くん使えば倒せる相手では有ると思いますが、まあ私は任務こなすだけですし。
 別に良いか。」

突然、サンジェルマンの机の上の電話が鳴る。
電話をかけてきたのはCOA内部のE-№を手伝って働いているF-№の黒服だった。
F-№はトップと一般黒服の距離が性的な意味でも近いアッー!トホームな職場なのだ。




「やばいっす№0!」
「どうしたんですか№555」
「COAのユグドラシル内部に今すげえ人が来てるっす!
 ていうか話しちゃった!」
「誰ですか?」
「なんかA-№0と話しちゃったっぽいっす!」
「え゛?」
「その上自分ってばA-№0に雑用を命じちゃったっぽいっす!」
「……555さん?」
「なんすか?」
「貴方にお誂え向きの任務があるので帰ってきてください。」
「解ったっす!あとまだすごい人が居たンすよ!
 伝説の中華の鉄人が屋台で店だしてたんスよ!
 あの麻婆豆腐は……」

サンジェルマンは通話を終えると深くため息を吐く。
またC-№辺りに何か言われるに違いない。
そうなったら

「トップが現場に出て仕事をすることは組織全体の士気上昇につながります!」
とか
「トップが現場の実情を知ることはとても重要なことです!」
とか言い訳することにしよう、とサンジェルマンは決めた。





「それはそうとこれじゃあ研究もおちおち出来ませんねえ。」

学校町には沢山の問題がある。
教会勢力、行方不明者の増加、COA。
さらに日本中の様々なところで今日も都市伝説による事件は起きている。
もっと言えば日本だけではない、世界中で同様の問題が起きているのだ。
これでは彼の望む“異常”の研究などできるわけがない。
再び電話が鳴る。
二人同時に連絡だ。

「こちら913、アメリカに潜入してたんですけど大量の兄貴に囲まれてしまいました。」
「こちら333でーす、なんか南極で巨大な兄貴を発見しました。」
「掘られてきなさい。」
「「良いんですか!?」」
「ええ、貴方には休憩が必要です。
 しばらく仕事のことを忘れてハッテンなさってください。」
「うわああああい!やったぜ!」
「こんな大きいのだと壊れちゃうよう!」
「良いなぁ……。」

通話を終える。
サンジェルマンは今日も忙しい。
本日三度目のため息を吐いた。

「さて、死神の契約書の改良を始めましょうか。」

そう言ってサンジェルマンは引き出しから工具を取り出した。

【拝戸直の人殺し 第十四話「サンジェルマンの悩み」fin】

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