たどり着いたのは、ヘンリエッタが学校街での活動用に抑えておいていた物件だ
マンションの一室のそこに入り込み…とりあえず、気を失っているコンスタンツェは、ベッドに寝かせる事にする
マンションの一室のそこに入り込み…とりあえず、気を失っているコンスタンツェは、ベッドに寝かせる事にする
「…ここの場所も、私、もう無意識に伝えてしまってるかもしれませんよ?」
「構わぬ。捨てれば良いだけの事よ」
「構わぬ。捨てれば良いだけの事よ」
新しい物件を抑えればいい、と口にするヘンリエッタ
その横では、イクトミが携帯でA-No.0に連絡を取っており、先ほどから説得を試みている
…その口から漏れ出す言語は、ドクターやトライレスには、まったく理解できない言語だ
その横では、イクトミが携帯でA-No.0に連絡を取っており、先ほどから説得を試みている
…その口から漏れ出す言語は、ドクターやトライレスには、まったく理解できない言語だ
「…暗号会話、と言ったところかしら?」
「うむ…まぁ、気を失っておるそちらの少女が目を覚ましている状態ならば、真っ先に解読されるじゃろうがの」
「うむ…まぁ、気を失っておるそちらの少女が目を覚ましている状態ならば、真っ先に解読されるじゃろうがの」
トライレスの言葉に頷くヘンリエッタ
まぁ、「組織」内部で使用されている暗号言語は、不定期にまったく違うものへと修正される
たとえば、今、イクトミがA-No.0との会話で使っている言語は、昨年「組織」を離れた辰也などには、既に解読できないものへと変化している
解読された、としても、実はあまり関係ないのだ
まぁ、「組織」内部で使用されている暗号言語は、不定期にまったく違うものへと修正される
たとえば、今、イクトミがA-No.0との会話で使っている言語は、昨年「組織」を離れた辰也などには、既に解読できないものへと変化している
解読された、としても、実はあまり関係ないのだ
……と
ようやく、話が落ち着いたのだろうか
イクトミが小さくため息をつきながら、携帯を耳から放す
ようやく、話が落ち着いたのだろうか
イクトミが小さくため息をつきながら、携帯を耳から放す
「うん、エーちゃんの説得成功。後は、そっちの嬢ちゃんにエーちゃんの声聞かせりゃいいんだけどよ……やっちまっていいよな?」
「…それによって、彼女に何らかの悪影響が発生する可能性は?」
「低いはずだぜ……エーちゃんは嫌がるだろうけど、性質的にゃあ、「アメリカ政府の陰謀論」が使いやがる能力と似たようなもんだからな。それで上書きさせる」
「…それによって、彼女に何らかの悪影響が発生する可能性は?」
「低いはずだぜ……エーちゃんは嫌がるだろうけど、性質的にゃあ、「アメリカ政府の陰謀論」が使いやがる能力と似たようなもんだからな。それで上書きさせる」
こそりと、ドクターに耳打ちして答えるイクトミ
一応、デリアに聞かれないようにしているようだ
…もっとも…A-No.0と「アメリカ政府の陰謀論」の関係的に、同じような能力をもっている事はあちらも予測はできるだろうが…本当、念のため、である
一応、デリアに聞かれないようにしているようだ
…もっとも…A-No.0と「アメリカ政府の陰謀論」の関係的に、同じような能力をもっている事はあちらも予測はできるだろうが…本当、念のため、である
「信用しても、良いのかしら?」
「先生…」
「先生…」
笑顔でのトライレスの言葉に、ドクターは注意しようとして
それを制して、イクトミが笑う
それを制して、イクトミが笑う
「…スー族の神、イクトミの名において。エーちゃんの行動が彼女の未来に破滅をもたらさないと、保障する」
「……予知能力をお持ちなの?」
「超限定されてるけどな」
「……予知能力をお持ちなの?」
「超限定されてるけどな」
苦笑するイクトミ
…確かに、イクトミには、若干の予知能力がある
今回のこととて、「コンスタンツェがデリアを射殺する可能性」を、とある事情から予知できたからこそ、ヘンリエッタと共に駆けつける事ができたのだ
ただし……イクトミが言うとおり、その予知能力は、かなり限定された形で発揮される
…確かに、イクトミには、若干の予知能力がある
今回のこととて、「コンスタンツェがデリアを射殺する可能性」を、とある事情から予知できたからこそ、ヘンリエッタと共に駆けつける事ができたのだ
ただし……イクトミが言うとおり、その予知能力は、かなり限定された形で発揮される
「…破滅のメッセンジャー、と言う事ね」
「その呼び名、好きじゃないんだけどな」
「その呼び名、好きじゃないんだけどな」
そう
イクトミはスー族に語られる、明るく陽気で、猥談な逸話の多い神
しかし、同時に……破滅のメッセンジャーでもある
故の「破滅的な未来」限定の予知能力
その未来を回避する上ではありがたい能力だが…イクトミ自身は、あまり好きでもない
見たくもない、知りたくもない……破滅を、見て、知る事ができてしまうのだから
イクトミはスー族に語られる、明るく陽気で、猥談な逸話の多い神
しかし、同時に……破滅のメッセンジャーでもある
故の「破滅的な未来」限定の予知能力
その未来を回避する上ではありがたい能力だが…イクトミ自身は、あまり好きでもない
見たくもない、知りたくもない……破滅を、見て、知る事ができてしまうのだから
「…っと、とりあえず。OK,って事でいいか?」
ドクターと、トライレスの了承を得て
さりげなく、未だ蜘蛛の糸でぐるぐる巻き状態のデリアにイクトミは近づく
さりげなく、未だ蜘蛛の糸でぐるぐる巻き状態のデリアにイクトミは近づく
「これ、エーちゃんの声、聞いてな?…それで、どうにかなるからよ」
「……はい」
「……はい」
こくり、頷いて
デリアは、携帯電話に耳を傾ける
デリアは、携帯電話に耳を傾ける
『「第三帝国」のデリア・エルンストですね?はじめまして、「組織」A-No.0、オール・アクロイドです』
携帯電話から、中性的で無感情な声がデリアに注ぎ込む
『…「アメリカ政府の陰謀論」の洗脳能力の影響下にあるそうですね?』
『しかし、問題ありません……今から、あなたをその能力から、解放します』
『…あなたはもはや、日本で起きた出来事を、「アメリカ政府の陰謀論」関係者に報告する必要は一切ありません。…何故?と?
そ れ は
こ の 私 A-
N o. 0
の 命 令な
の で す か ら 』
『しかし、問題ありません……今から、あなたをその能力から、解放します』
『…あなたはもはや、日本で起きた出来事を、「アメリカ政府の陰謀論」関係者に報告する必要は一切ありません。…何故?と?
そ れ は
こ の 私 A-
N o. 0
の 命 令な
の で す か ら 』
「……気分が悪い、など、どこか不具合は起きておるか?」
「特に、問題はないと思いますけど…」
「特に、問題はないと思いますけど…」
ヘンリエッタの問いかけに、首を傾げつつ答えるデリア
そもそも、洗脳されていたという自覚がないのだ
それが上書きされた事すら、自覚できない
そもそも、洗脳されていたという自覚がないのだ
それが上書きされた事すら、自覚できない
『…できれば、この能力は今後、二度と使いたくはないのですが』
「ん、わかってる。御免な?エーちゃん」
「ん、わかってる。御免な?エーちゃん」
携帯電話ごしの淡々としたA-No,0の声に、苦笑して答えるイクトミ
…イクトミの事をよく知っているものが見れば、彼が珍しい表情をしている、と思ったことだろう
それは、まるで……父親が、我侭な子供に対して困っているような、そんな表情だったのだから
…イクトミの事をよく知っているものが見れば、彼が珍しい表情をしている、と思ったことだろう
それは、まるで……父親が、我侭な子供に対して困っているような、そんな表情だったのだから
……とまれ
デリアは、無事…「アメリカ政府の陰謀論」の能力影響下から、解放された
それが、今の事実
デリアは、無事…「アメリカ政府の陰謀論」の能力影響下から、解放された
それが、今の事実
「…やれやれ、貸しができてしまったな」
「気にしないのじゃ、ムチプリ………妾とて、お前には貸しがあるのじゃ」
「気にしないのじゃ、ムチプリ………妾とて、お前には貸しがあるのじゃ」
ドクターの言葉に、そう言ってヘンリエッタは笑う
…自分が諦めてしまった願い
それに、たどり着く可能性を示してくれたドクターに
……ヘンリエッタは、感謝してもしきれないのだから
それに、たどり着く可能性を示してくれたドクターに
……ヘンリエッタは、感謝してもしきれないのだから
to be … ?