夕暮れの町並みを歩く、一人の青年
カイン・ディーフェンベーカー
「教会」所属の契約者である彼は、同じ「教会」所属の契約者であるニーナ・サプスフォードを探して、この学校町にやってきた
だが…
カイン・ディーフェンベーカー
「教会」所属の契約者である彼は、同じ「教会」所属の契約者であるニーナ・サプスフォードを探して、この学校町にやってきた
だが…
「まいったな…」
未だに、ニーナを見つけられていなかった
それらしい目撃情報はいくつか得られたのだが、肝心のニーナ本人は一行に見つからない
テント暮らしをしているらしく、住処を点々としているようで…どうにも、すれ違っているようだ
それらしい目撃情報はいくつか得られたのだが、肝心のニーナ本人は一行に見つからない
テント暮らしをしているらしく、住処を点々としているようで…どうにも、すれ違っているようだ
「シスター・ヴァレンタインからも報告がないし…」
…ヴァレンタインが実際はシスターではなくオカマな事実はさておき
生真面目であるが故、そして、ニーナの事を本当に心配しているからこそ、カインは悩んでいた
はやく、ニーナと合流し、彼女を支えてやりたいというのに…
生真面目であるが故、そして、ニーナの事を本当に心配しているからこそ、カインは悩んでいた
はやく、ニーナと合流し、彼女を支えてやりたいというのに…
己の力不足を痛感するカインを気遣うように、肩に乗っていた小鳥が擦り寄る
大丈夫だ、とでも言うように、小鳥に小さく笑いかけるカイン
…日頃、目つきの悪さ(鋭さ)で色々と損をしている彼だが、こうやって微笑んでいる表情は優しい
……もっとも、同時に、いつ、消えうせてもおかしくない儚さも含んでいるのだが
大丈夫だ、とでも言うように、小鳥に小さく笑いかけるカイン
…日頃、目つきの悪さ(鋭さ)で色々と損をしている彼だが、こうやって微笑んでいる表情は優しい
……もっとも、同時に、いつ、消えうせてもおかしくない儚さも含んでいるのだが
(…この街の北区に、教会があると聞いたな。明日はそこに顔を見せてみるか…)
ニーナがそこに立ち寄っている可能性もある
うまく、情報が手に入るといいのだが…
うまく、情報が手に入るといいのだが…
カインが、そう考えながら歩いていると
「あ…カインさん?」
声を、かけられた
肩の小鳥が、驚いたように飛び立つ
肩の小鳥が、驚いたように飛び立つ
「……悠司?」
「お久しぶりです」
「お久しぶりです」
ぺこり、頭を下げてきた少年…悠司に
カインも、この国の作法に合わせるように、小さく会釈を返してみせた
カインも、この国の作法に合わせるように、小さく会釈を返してみせた
「…そうですか。ニーナちゃん、まだ、見つかっていないんですね?」
「あぁ」
「あぁ」
公園に立ち寄った二人
ベンチに腰掛け、話す
ベンチに腰掛け、話す
以前、この国の都市伝説に襲われていたところを助けられ、カインは悠司という少年を信用していた
助けられた、という事実以外にも…この少年から感じられる人柄を、カインは信用しているのだ
助けられた、という事実以外にも…この少年から感じられる人柄を、カインは信用しているのだ
「僕の方も、これといった情報はなくて……すみません、力になる事ができなくて…」
「悠司が謝る事ではない。協力してもらっているだけでありがたいし、心強い」
「悠司が謝る事ではない。協力してもらっているだけでありがたいし、心強い」
謝罪してきた悠司に、そう告げるカイン
自分とヴァレンタインの二人だけで探さなければならないと思っていた状況、悠司が手助けしてくれるだけで、充分にありがたいのだ
自分とヴァレンタインの二人だけで探さなければならないと思っていた状況、悠司が手助けしてくれるだけで、充分にありがたいのだ
カインの言葉に、悠司は少し、ほっとしたような表情を浮かべた
「…あ、あの」
「何か?」
「あの、カインさんは、あれ以降、都市伝説に襲われたりしていませんか?」
「何か?」
「あの、カインさんは、あれ以降、都市伝説に襲われたりしていませんか?」
どこか、心配そうな悠司の言葉に、カインは小さく、笑って見せる」
「今のところは、大丈夫だ」
「そうですか、良かった…」
「そうですか、良かった…」
この街は、本当に都市伝説が多いらしい
だからこそ、悠司もこうやって、心配してくるのだろう
だからこそ、悠司もこうやって、心配してくるのだろう
都市伝説と都市伝説は引かれ合う
ゆえに、都市伝説契約者は、都市伝説と遭遇しやすい
ゆえに、都市伝説契約者は、都市伝説と遭遇しやすい
カインは都市伝説契約者だが、その能力は癒し、治癒
戦闘向きの能力ではないのだ
だから、悠司も余計に心配してくるのだろう
戦闘向きの能力ではないのだ
だから、悠司も余計に心配してくるのだろう
「俺も、一応必要最低限、自分の身を護るくらいは出来る。そこまで気にかけずとも問題ない」
昔、「教会」に拾われるよりも前、姉と共に孤児院にいた頃、流れ着いた旅人から、格闘技を指南された事がある
もっとも、「俺の流派は、お前には向いていないらしい」と言われて、一部しか習ってはいないが…それでも、充分に戦える
もっとも、「俺の流派は、お前には向いていないらしい」と言われて、一部しか習ってはいないが…それでも、充分に戦える
「でも、この街は本当に都市伝説が多いですから。突然変異の個体とか、時々、恐ろしい戦闘能力を保有している者もいるようですので……」
それに、と
悠司はカインを心配そうに見つめ続ける
悠司はカインを心配そうに見つめ続ける
「カインさん、日本の都市伝説には、詳しくないのでしょう?」
「……まぁ、確かに」
「……まぁ、確かに」
悠司の指摘通り
カインは、日本の都市伝説には、詳しくない
だからこそ、警戒せずにひきこさんに声をかけ、襲われてしまったのだ
カインは、日本の都市伝説には、詳しくない
だからこそ、警戒せずにひきこさんに声をかけ、襲われてしまったのだ
心配し続ける悠司の様子に、カインはふむ、と考えて
「…ならば、悠司。俺に、この国の都市伝説を、教えてくれないか?」
「え…僕が、ですか?」
「あぁ。迷惑でなければ、だが」
「え…僕が、ですか?」
「あぁ。迷惑でなければ、だが」
せめて、ニーナの情報を手に入れられず落ち込んでいる悠司に、何か感謝の言葉をかけられる方法を探すように
そう、尋ねたカイン
もし、教えてもらえたならば、自分は自国の都市伝説や、天使など、「教会」に関わり深い都市伝説について伝えよう、と考えた
そう、尋ねたカイン
もし、教えてもらえたならば、自分は自国の都市伝説や、天使など、「教会」に関わり深い都市伝説について伝えよう、と考えた
…二人の様子を、じっと見下ろす小鳥
そのつぶらな瞳は、金色に輝き続けていた
そのつぶらな瞳は、金色に輝き続けていた
to be … ?