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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - ※ただしイケメンに限る-10

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匿名ユーザー

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【平唯の人間観察第十一話「無名」】

こんにちわこんにちわ。
最近、家に小さな女の子が遊びに来るようになってしまった平唯です。
このままだとロリコンに目覚めてしまいそうです。
私は一応女の子なんですがねえ。

「……いやぁ、この日本茶美味しいね。」
「なんで純ちゃんは私の家に上がり込んでぬらりひょんよろしくお茶飲んでるのかな?」
「サンジェルマンが空間転移のゲートを繋げてくれたの。」
「お母さんに見つかったらどうするの?」
「大丈夫だよ、どうせ気付かれないしー。」
「あー、あの気配消す技?忍者か何かなの?」
「技じゃないよ、体質体質。」
「そんな愉快な体質あってたまるか。」
「あるんだなーこれが。」

ぐいぐいとお茶を飲む純ちゃん。
まるで自宅のようにくつろいでいる。

「どうしてこうなった……。」
「まあまあ、慌ててもしょうがないよ。」
「あんたが言わないの。」
「むー。」

子猫のようにゴロゴロしている純ちゃん。
やばい、ちょっと可愛い気がしてきた。





ピンポーン
その時、突然チャイムが鳴った。

「はーい。」
「……むむ、強者の気配がするよ。」
「何馬鹿なこと言ってんのさ純ちゃん。」

私は玄関まで行って割と不用心にドアを開ける。
どのみち私のイケメンバリアなら何が有っても大丈夫だろう。

「おお、会いたかったぞ我が妹よ!お前は父に似なかったみたいだな!」

ドアを開けた瞬間、何者かが風のように駆け込んでくる。
私は何らかの方法でイケメンバリアーをすり抜けたらしいそれにつかまった。
……なにやら巨大で柔らかい触感の球体が私の顔に直撃する。
どうやら女性らしい。
……ところで私にはこんな姉が居た覚えがない。

「唯ちゃん、そこの背の高い女の人は誰!?」
「キャアアアアアア!何この可愛い女の子!」
「えっ、ちょっ、こっちにくるなぁぁぁああ!?」

ぶっちゅー
純ちゃん、唇を奪われるの巻。
反応からして恐らくファーストキス。

「う、奪われた……。」
「ヒャッハー、可愛い女の子の唇を奪ってやったぜ!舌まで入れてやった!」
「勝ち誇ってる!?」







「……良く解らないけど、許さないよ。」
「安心しろ少女、そのまま下のハジメテも奪ってやるよ。」

純の能力である牛の刻参りから発生した五寸釘が乱れ飛ぶ。
あれは濃密な呪いの塊なので物質は投下する性質がある。
だから普通の防御は通じないのだ。
お姉さんはジョジョ立ちを決めてシニカルに笑ってらっしゃるが割と不味い気がする。
長く真っ直ぐな髪をかき上げるお姉さんは鷹に似ていた。

「ふん、面白い能力だ。」

そう言うとお姉さんは当たり前に五寸釘を全て掴み取った。
掴み取った。
あり得ない。
人間の身体に当たったらそのまま呪いとしてダメージに変わる筈なのに。

「だがこの私の“ダークマター”には通じないな。」
「な、ええ!?」
「驚く表情も中々可愛い、よし、そこの少女、私に名を名乗れ。
 ちなみに私には名乗りたくても名前がない。」
「くっ!」

純ちゃんの姿が消える。
彼女の“消える体質”でお姉さんの隙を突くつもりらしい。






「止めなよ少女、そんな物持ってたらお巡りさんに掴まる。」
「くっ!」

純の持っていたバタフライナイフがお姉さんの脇腹に突き立つ。
だが血は流れない。
よく見ると切れているのは無駄に露出度の高い服だけで、肌には傷一つ無い。
このままボケッとしていてもしょうがないので私が助太刀に入ろうと思った瞬間だった。

「そこまでですよ、№1、これ以上やったら怒ります。」
「うげぇ、サンジェルマンじゃねえか。怖い怖い。」
「あ、サンジェルマンどいて!そいつ殺せない!」
「わわわ、待ってください純さん。この人丁度今明也さんを(性的な意味で)食ってきた所なんですよ。」
「尚のこと殺す!」
「待って!冷静に考えてください!間接キスですよ!?」
「……それか!」

サンジェルマンが登場する。
すがすがしいまでの突っ込み役不在だ。
そこで私が空気を読んで突っ込み役を担当するかというと当然違う。
私は空気が読めない子だ。

「ところでめーちゃんを性的な意味で食ってきたって何事?
 私を妹って呼ぶってことはもしかしてお兄ちゃんの奥さん?」
「あ、その話は嘘です。あとこんな濃いキャラが明也さんと一緒に暮らせる訳無いじゃないですか。」
「あたしみたいな清純派を捕まえて濃いキャラとはどういうことだ!」
「――――助けに来たぞ、大丈夫か馬鹿弟子!変態仮面RXに何かされてないか!」

いきなり家のおくから笹木さんが出てきて私の姉らしい女の人を蹴り飛ばした。
マジ突っ込み不在。





「げげっ、№5じゃねえか!」
「お前、俺の弟子の貞操奪ってないだろうなあ!」
「私はそこの少女の唇奪っただけだぞ。」
「なら良いか。」
「よくなーい!」

長身のお姉さんが二人も並ぶと流石に威圧感たっぷりである。
純ちゃんが小さすぎて完全に無視されている。
どことなく一触即発な気がするがまあ私は気にしない。

「三人とも、お話があって来たのですからバトル展開はやめましょうね?」

サンジェルマンが指を鳴らすと一瞬で私たちは図書館の中にワープしていた。
これもサンジェルマンの都市伝説能力かしら。

「お、図書館じゃねえか。」
「馬鹿上司、ここなら暴れて良いのか?」
「わー、隠れるところも一杯あるね!」
「ここで暴れられると私の胃袋に穴が空きますけどね。」
「よしやるぞ№5!」
「言われなくてもやる気だったからね!?
 今日こそ№1返上させてやるよ。」
「私が私がおいてけぼりだと……。」
「やめろおおおおおおおおおおおお!」

サンジェルマンが泣いている。
恐らく相当大事な本があるのだろう。
原っぱの真ん中とかにワープすれば良かったのに。





二時間後。
衣服の乱れた純ちゃんと師匠とお姉さんと、ついでに黒こげのサンジェルマンを図書館の隅に転がしたままに、
私は怒りで頬がやや引きつっているレモンちゃんとかいう少女から話を聞いていた。

「まず、そこのお姉さんのここでの名前はF-№1、人間としての名前は影山月美。
 お前の腹違いの姉だ。戦闘力は圧倒的なんだがいかんせん常に性欲持てあましてるのが難だ。
 それと上田はまだこのことを知らないから黙っていて欲しい。
 実の兄や自分の行いのせいで身が危ない純を担当する予定だったんだが……正直これじゃ心配だ。」
「あのー、質問があります。レモンちゃんだっけ?」
「№6、レイモンだ!」

都合良い。
この子に突っ込みをまかせよう。

「じゃあレモンちゃん、月美さんの都市伝説能力って何?」
「おおざっぱに言うとダークマター。
 この世界にはあり得ない物質を引きずり出して使っている。
 正確に言うとちょいと違うけど気にするな。
 お前の頭じゃ理解できん。」
「カッチーン。」
「リアクション古ッ!?」
「それとF-№にはホモとレズしかいないの?」
「いいや、バイしか居ない。」
「もうやだこのグループ。」
「私も全く同じ事を思ってたよ。」

私たちは顔を見合わせて苦い笑みを浮かべた。




「あとレモンちゃん、お姉さんって言うけど私会ったこと無いよ。」
「ああ、こいつは母親がこいつ生んでからすぐ死んでな。
 人間として育てるのも難しいから都市伝説に飲まれたことにして組織の黒服ってことにしてるんだ。
 なんだかんだで人間としては古株だよ。
 系統は強化、性質の良く解らない物質を体中に満ち溢れさせてパワーアップ。
 黒い太陽の力があーだこーだ言っているがぶっちゃけ理屈は解らん。
 生まれてすぐに契約状態になっていて名前もわからん。
 だからダークマター。
 理屈で説明しようとするとサンジェルマンの論文が必要だから私はやらんぞ。」
「それはパスだね。」
「そういうことだ。あれは本当にこの世界とは別の物理法則で生きているからな。
 お前らの父親は本当に……困った物だよ。」
「女の敵だね!」
「いや、何故そうなるのかは解らないけどさ。」
「言ってみただけ!」
「なら良い、ところで其処に転がってる半裸部隊と黒こげは捨て置いて飯でも喰いに行かないか。
 私の担当している契約者の炒飯が旨いのでな。」
「待て……、それなら私が前に友達から教えて貰った麻婆豆腐を……!」
「お前は少し寝てろ!」
「あふぅん!」

月美さんがレモンちゃんに蹴られて喜んでいる。
この様子を見る限り残念だが、残念だからこそ、間違いなく私の姉らしい。

【平唯の人間観察第十一話「無名」 fin】

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