「………」
俯いたまま、足早に歩くセシリア
…たまたま、外に出る用事があった
その際、「組織」の者の証ともいえる黒スーツを、彼女は珍しく着ていなかった
…たまたま、外に出る用事があった
その際、「組織」の者の証ともいえる黒スーツを、彼女は珍しく着ていなかった
…着ていなくてよかったのかもしれない
セシリアは、こっそりとそう考える
セシリアは、こっそりとそう考える
もし、黒いスーツを着ていたら
自分が、明らかに「組織」の人間とわかる姿をしていたら
果たして、彼は自分を助けてくれただろうか?
自分が、明らかに「組織」の人間とわかる姿をしていたら
果たして、彼は自分を助けてくれただろうか?
「………」
己の頬に、そっと触れる
熱い
きっと、赤く染まっている事だろう
熱い
きっと、赤く染まっている事だろう
(……初めて)
初めて
そう、初めてなのだ
そう、初めてなのだ
(初めて………男の人に、助けられた……)
千年の時を生きてきたセシリア
その、長い長い生の中で、初めて
生まれて、初めて
……家族以外の男性に、助けられた
その、長い長い生の中で、初めて
生まれて、初めて
……家族以外の男性に、助けられた
鼓動が早い
思考が、落ち着かない
思考が、落ち着かない
ただ、己を助けてくれた翼の姿が
こちらが無事だと確認した時の、ほっとした笑顔が
こちらに、申し訳なさそうに謝罪してきた時の表情が
思考にこびりついて、離れない
こちらが無事だと確認した時の、ほっとした笑顔が
こちらに、申し訳なさそうに謝罪してきた時の表情が
思考にこびりついて、離れない
セシリア・クロンクヴィスト
「組織」C-No.0
千年の時を生き続ける、「魔法」に飲み込まれた元・契約者
「組織」C-No.0
千年の時を生き続ける、「魔法」に飲み込まれた元・契約者
その、彼女は
千年の時を生き続けた生の中、生まれて、初めて
男性に恋をした、その、感覚に
ただただ、戸惑い続けていたのだった
千年の時を生き続けた生の中、生まれて、初めて
男性に恋をした、その、感覚に
ただただ、戸惑い続けていたのだった
to be … ?