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連載 - 無垢なる支配者と蜘蛛・C-No.0-03

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「………はぁ」

 一人、執務室にて
 仕事を進めながら、セシリアは小さくため息をついた

「…何故、名乗ってしまったのだ…」

 手元は、書類へのサインを、判を押す作業を続けている
 視線は書類の内容を追っているし、その中身もきっちりと頭の中に入ってきていて、しっかりご吟味して仕事を続けている
 そうしながらも…思考のどこかは、乙女120%だった
 器用な事である

「あぁあああああ、名乗ったとしても、だ!何故、私は「組織」の一員である事を話さなかった!?もし、後になってバレたならば、何やら企みをもって近づいたのでは、と誤解されるではないかっ!!??」

 表情も、口に出している内容も、全ては恋して悩む乙女だ
 仕事は有能に続けているが
 ……どこまで器用なのだろう

「…あれは、完全に、偶然だ……たまたま、外に出る用事があった。そこを過激派の汚らわしい馬鹿に襲われた………私が蹴散らしても良かったのだが…………そこを、あのお方が、助けてくれた…」

 ……ぷっしぅ
 耳まで真っ赤になるセシリア
 千年の時を生きた女
 魔女と呼ばれ、心を凍らせた女
 ………その心は、一瞬で溶かされていた
 どろどろに溶けきって、色々と台無しである

「………千年。千年の時を生き続けたが……私を助けた男など、あの方がはじめてだ………」

 千年、生き続けて
 家族以外の男に助けられたのは、生まれて初めて
 …まるで、運命のようだ

 あそこで、セシリアが日景 翼に助けられて
 セシリアが、翼に心惹かれる事が、運命付けられていたかのように
 生まれて初めて、家族以外の男に助けられた
 その事実が、確実に、セシリアの心を翼に惹きつける

「だが……ッ所詮、偶然なのだ。あそこで出会えた事も、あの方が、私を助けてくださった事も」

 そう
 全ては、偶然でしかない
 セシリアは、そう考える


 それが、必然であった、などと
 彼女は、思いもしない

 運命を見ることすらもできるセシリア
 「魔法」に飲み込まれて人間ではなくなった、千年の時を生きる魔女

 万能の力を得ながら、節度を持って力を使う彼女は、運命を見ることなど考えもしなかった

 だから
 同じ力を手に入れた片割れと違い、あの領域には、踏み込めない


「私は、「組織」のNo-0、あの方は「首塚」側近組…それも、平将門のお気に入り。また出会えるはずもない……」

 助けてくれたのは、偶然
 出会ったのも偶然

 ただの偶然でしかない
 そして、翼は、あのような出来事、大して珍しい事でもあるまい

 ……こちらの事を、覚えているはずもない
 名前だって…覚えてくれたかどうか、わからない

 ちくり、心が痛み出す
 悲しい気持ちが、心を支配し……

 ………コンコン、と
 執務室の扉が、ノックされる

「C-No.0、セシリア様、書類を持ってまいりました」
「入りなさい」

 かけられた、声に
 セシリアは、返事を返した

 …いつもの、セシリアだ
 部下に対する話し方、部下に対する表情
 先ほどまでの恋する乙女は、消え去っている
 よって、執務室に入った部下は、先ほどまで、セシリアが恋に悩んでいた事実になど、さっぱり気付かない

「……っち、よりによって、エイブラハム派の人間が二人……」
「それと、エイブラハム派かどうかはっきりしない者が一人、エイブラハム派ではないものの、「教会」所属の契約者が一人…他に、子飼いが多数。子飼いは、情報収集の為に入り込んでいる可能性が」
「…しばし、監視を続けなさい。学校町に、「教会」は不介入であり続けていたはず。何を起こそうとしているのか、知る必要があります」

 事務的な会話
 それを終えて、部下が部屋を出た

 ……直後

「……それでも……もう一度、出会えたならば……………っだが、どうすればいい?そ、そもそも恋愛など……っど、どうすれば良いのだ?誰かに相談………っで、できるか、そんなはしたない事っ!!」

 セシリアは、再び乙女な表情に戻っていて
 しかし、仕事はいつも通り、どこまでもいつも通りに行われていて


 彼女が恋に落ちた事実は
 まだ、誰にも知られていない





多分続くかもしれない





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