アットウィキロゴ

「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 無垢なる支配者と蜘蛛・C-No.0-04

最終更新:

guest01

- view
だれでも歓迎! 編集
 ひらひらと、蝶が舞う
 季節外れの蝶
 ……いや、そもそも、自然界に銀色の蝶など、存在しない

 深夜、それは公園に現れた
 そして、ひらひらと、公衆トイレの周りを飛び回る

 ………その時、一人の男性が、トイレに駆け込もうとしていた
 うー、トイレトイレ、とか言いながら、男性が男子トイレへと入ろうとした
 その、瞬間

「や ら な い か ?」
「何か居るーーーーーーーーっ!!??」

 トイレから、姿を現したもの
 それは、兄貴だった
 兄貴としか、言い表しようのない、全裸筋肉男だった
 どう見ても、存在自体がわいせつ物陳列罪です
 本当にありがとうございました

 慌てて逃げ出す男性
 兄貴が、それを追いかけようとして…

「ぬ!?」

 ひらひら
 ひらひらと
 銀色の蝶の群れに、それを阻止された
 ひらひら
 ひらひら、ひらひら
 いつの間に、群れをなしていたのだろうか
 銀色の蝶は、兄貴の周りを飛び回り、視界を塞ぐ
 その隙に、男性は銀色の蝶に気づく事なく、逃亡に成功した

 ひらひら、ひらひら
 銀色の蝶の群れは、男性が逃亡に成功した事を見送り、一箇所に集まる
 そこから姿を現したのは、女性
 黒いワンピースを身に纏った、20代と思われる西洋人…というか、北欧系と思われる美女だ
 それが、きつい眼差しで、兄貴を睨みつけている

「……汚らわしい。K-No.0の手駒めが。羽虫のように増殖しおって………あの汚らわしい餓鬼が何かしでかす前に、駒は削るに限る」
「ぬぬ…何者かはわからぬが、我が愛を邪魔はさせぬ!」
「…一晩限りな上に相手の了承を得もしない強引な行為が愛であって溜まるか。あの餓鬼同様、どこまでも汚らわしい……っ!」

 女が、つい、と手をあげる
 己の使い魔を召喚しようと、女は呪文を唱えようとしていた
 兄貴は、そんな無防備な状態の女を、攻撃しようとして…

「……ぐ!?」

 突然、苦しみだし、膝をついた
 え、と女が兄貴を見ると…その、元々日焼けしていた体が……黒く、焼け焦げ始めていた
 じゅうじゅうと、肉が焼ける臭いがして、その体から煙が立ち始めている

 女は、まだ何もしてない
 …だが
 女には…このような状態を作り上げられる能力の持ち主に、一人、心当たりがあった

 聞こえてきた、じゃらじゃらと言う音
 駆け込んできた青年が、女と兄貴の間に割りこんだ

「まだ何もされてないかっ!?」

 振り返り、女にそう尋ねてきた絵師念
 こくり、思わず女は頷いた

 日焼けした肌、金色に染められた髪、じゃらじゃらと身につけられたシルバーアクセサリー、そして、そろそろ肌寒くなってきた時期だと言うのに、この薄着
 「首塚」側近組が一人…日景 翼
 女を庇うように立つ翼の視線に、兄貴は焼かれ続けている
 「日焼けマシンで人間ステーキ」の契約者である翼、その能力が、容赦なく発揮されている
 やがて…兄貴は完全に、物言わぬ消し炭と化した

 くるり、と翼が振り返る

「大丈夫だったか?」
「…は、はい」

 頷く女
 …頬が、かすかに赤い

 まさか、また…翼と出会えたとは
 そして、また、助けられたとは

 どうやら、翼は、女が兄貴に襲われていると判断して、助けてくれたらしい
 …それは、翼の勘違い
 女は、自ら兄貴を始末するために、兄貴と戦おうとしていただけで
 そして、女の実力からして、傷一つ負う事なく、兄貴を始末できていただろう
 ……その勘違いに、女は感謝する

「そうか、無事ならよかった」

 ほっとしたように笑い、頭を撫でてくれた翼
 その手の優しさに、頬がますます、赤くなりそうになる

「あ、あの」
「ん?」
「その……また、助けてくださって…ありがとう、ございます」

 俯いたまま、礼を述べる女
 自分のことなど、覚えていないだろう
 以前、自分を助けてくれた事など……覚えているはずがないだろう

 そう考えながらも、「また」と口にした
 生まれて初めて、男性に助けられた経験
 それは彼女にとって、黄金にも等しい価値があった
 だからこそ、余計に感謝せずにはいられない

「ん、いいって。セシリア、だったよな?お前も都市伝説契約者ならわかってるだろうけど、この街、色々と物騒だからな。この時間の女の一人歩きはやめといた方がいいぞ」

 翼の言葉に
 え、と、女…セシリアは、顔をあげた
 一瞬、自分の耳を疑う

「え………私の名前、覚えて……?」
「え?あぁ。前にお前助けたの、わりと最近だし」

 あっさりといってきた翼
 誰かを助けるなど、翼にとっては特に珍しい出来事でもなかっただろう
 だから、忘れられていると思っていた

 しかし
 実際には、助けた事を覚えてくれていた
 名前も、覚えてくれていた
 それが…セシリアは、嬉しい

「あ、あの」
「何だ?」
「お……お礼。お礼、できる事、ありませんか?」

 赤くなっていく頬を自覚しつつ、訪ねるセシリア
 あぁ、何をやっているのだろう
 自分は「組織」上層部
 「首塚」側近組とは、なるべく関わるべきではないというのに

「いや、礼なんていらねぇって」
「で、でも」

 断られたのなら、引き下がればいいと言うのに
 何故、食い下がってしまうのか

 セシリアの言葉に、翼は小さく苦笑して

「ん~……じゃあ、俺のバイト先、一箇所教えるから。そこで、何か食べていってくれよ」

 売上貢献という事で、と
 翼は、恐らく軽い調子で、答えたのだろう

 だが、セシリアから、すれば
 ……翼に、礼をすることができる
 その事実が、どこまでも、嬉しかった



 翼からバイト先を聞いて、別れ
 セシリアは、翼の視線が完全になくなったところで銀の蝶の姿をとり、「組織」本部の自分の執務室へと戻っていった

 ……あぁ、頬が赤い
 自分はどこまでも、日景 翼と言う人間に惚れ込んでしまっているらしい

「…叶うはずも、ないと言うのにな」

 小さく自嘲する
 …「組織」上層部の自分が、「首塚」側近組の翼に、愛されるはずもない
 きっと、正体が知れたら……あんな、友好的な態度は、とってくれないだろう
 その事実に、切なさを覚える

「………せめて、ほんの少しでも……彼の、力になれるならば………」

 …その為にも
 K-No.0の手駒を、もっと始末していかねば
 これは、「組織」の為にもなるし、何よりも



 翼の大切な家族である望を害しようとしている存在である、K-No.0の手駒を削るということは
 きっと、彼の力になれるということなのだから



to be … ?


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
記事メニュー
最近更新されたスレッド
ウィキ募集バナー