「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 那由多斬-01

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物語は夜、路地裏で始まる
げらげらと響く5、6人の若い男達の笑い声
それに混じって微かに聞こえるのは、泣き声にも似た声をあげる中年の男性

「おいジジイ!さっさと金出せよ!!」
「や、やめてくれ! 私には妻も、娘もいるんだ!」
「テメェの事なんて知るか!俺達ぁ金が欲しいんだよ!」
「しっつこいジジイだなぁおい、一回、寝てろや!!」

鈍い打撃音と共に、男性は壁に後頭部を打ちつけ、ずるずると凭れ掛かる
意識はまだ残っているが、うまく動けない
けらけら笑いながら近づく青年達が、腹部に重い蹴りを入れ、胃の中の物を吐き出しかける

「なぁ、面倒だから殺っちまおうぜ?」
「マジ?殺っちゃう?」
「いいじゃん、警察なんかにゃバレねぇよ」

ポケットに突っ込んでいた手を出すと、月明かり刃が輝く
一瞬目を見張った男性の胸に、容赦なくナイフが刺さる―――




「見っとも無い、止めたまえよ」




「あぁ?」と怒気混じりの声を口々にあげながら、青年達は振り向く
闇の中から顔を見せたのは、彼らより少し年上らしい、白髪の青年
その長い髪は風に揺れ、絹糸のように輝いていた

「ぁんだテメェ、ヒーロー気取りか?」
「かっこいいねぇ兄ちゃんよぉ!」
「もう一度言う、止めたまえ。恥ずかしいとは思わないのか?」
「この野郎、見て見ぬ振りもできねぇ馬鹿かよ、おい」

青年の一人が、白髪の青年の胸倉を掴む
髪に合わぬ真っ赤な眼が、強く青年を睨んだ

「触れないで貰えるかな」
「あ? 嫌なら幾らでも触ってやるよ!!」

拳を構えた瞬間だった
ずるり、彼の上半身が落ちた

「え?」

仲間達は何が起こったのか分からない、といった表情を見せる
立ち続ける下半身を足蹴にして、白髪の青年は血に濡れた両刃の剣をじゅるりと舐めた

「警告はした・・・もう、許さないからね」

立ち竦む青年達に、にやりと笑みを浮かべながら血の海を渡って歩み寄る
青年の内1人が、叫びながらナイフを構えて白髪の青年に飛び込んだ

「し、死ねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「“ひれ伏せよ”」

呟きと同時に、ナイフを持った青年は血溜まりの中にびちゃりと倒れた
滑った訳でもなければ、何かに躓いた訳でもない
何が起こったのか分からないまま、青年は即座に、目の前の危険人物から逃れようとした

「“彼を止めろ”」

また呟くと、彼の言った通りに、青年はぴくりとも動けなくなった
焦り始め、必死に動くが、身体は言う事を聞かない
一歩、また一歩と青年が近づく度に、青年の顔は恐怖に歪み、心は畏怖に蝕まれた

「ぎ、ぎゃあああああああああああああああああああああああああ!!!!」
「うるさい」

すぱぁんっ!!
振るわれた刃はいとも簡単に、青年の頭部を袈裟斬りにした
断面から噴き出し頬についた血を舐めて、

「さぁ、次は誰かな?」

顔色一つ変えず、ただ笑みのまま彼はそう尋ねた
リターンは、恐れの色に染まった叫び声
仲間の成れの果てを背に、青年達は走り出した
と、1人がくるりと向き返って、

「っそ、そうだ、俺にはこれが・・・く、喰らえ!!」

ポケットから、何処で拾ってきたのか拳銃を取り出し、殺人鬼に向けて引き金を引く
弾丸は真っ直ぐに白髪の青年に飛んでいき、それは

「“外せ”」

彼の放った言葉により、横の壁を撃ち抜いた

「っひ・・・あ、悪、魔・・・」
「人の幸せを踏み躙る君達には言われたくないね」

返り血を浴びた微笑みは、黒いオーラを垂れ流すかのように見え、
怯えて足が動かなくなった拳銃を持った青年に、剣を振りかざした

「――――――――かはっ!?」

大量の血
それは、銃の青年ではなく、剣の青年から出たもの
口から湧き出る紅い紅い水を足元に流し続ける
呆然と見ている青年達の前で、彼は自分が作った血の海に、倒れこんだ
暫しの、沈黙
破ったのは、安堵の篭った笑い声

「な、なん、だよ・・・驚かせやがって、当たってたんじゃねぇか・・・へ、へへ」

銃をくるくる回しながら笑う青年に続いて、2人の青年も順を追って笑い始めた
人斬りの悪魔は、目の前で倒れた
だが、必ずしもそれが、惨劇の終了に繋がるとは限らない
例えば、

「・・・は?」
「お、おい、何だよ、あれ・・・」

笑いながら見上げた時に、紫の煙のようなものに包まれた剣を見かけた時
そして、

「なっ、ちょ――――――おぼぁっ!!??」

煙が、青年の口にずぶずぶと流れ入った時
銃は血に落ち、2人の青年は金切り声をあげて一目散に逃げ出した
その足もすぐに

「“止めろ”」

声が聞こえたと同時に、金縛りにあったかの如く動かなくなる
唯一動く首だけを、2人は背後に振り向かせた
2人が最期に見たものは、剣を振るう自分の仲間だった
頭がぼちゃん、ぼちゃりと転がり、首のない身体は殆ど同時に倒れた
静寂が支配する夜に再び戻り、剣を構えた青年は、中年の男性に近づいた
衝撃が強かったのか、はたまた刺激が強すぎたのだろうか、気を失っている

「“起こせ”」

願うようにぼそりと呟くと、男性は、うぅ、と少し唸って目を開けた
が、自分を殴った男の1人が目の前にいたので、怯えてしまった

「怖がらなくていい、俺は味方だ」
「い、いやだ、家に返してくれ・・・妻も、娘も、待っているんだ・・・」

頭を抱え、すすり泣くように訴える
男性の様子を見て、その青年は暫く上を向いて思案すると、

「・・・“気絶させろ”」

にやりと笑って、願いを唱えた

















「ただいま」
「パパー!!」
「遅かったじゃないの、何かあった?」

中年の男性を、無邪気に飛びつく真っ白なワンピースを着た少女が出迎え、
その後に心配した様子でエプロン姿の女性が顔を出した

「すまない、少し野暮用でな」
「ねぇねぇパパぁ、今日幼稚園でパパとママの絵を描いたの!」
「おぉそうか、実はお前にプレゼントを用意したんだ」
「ホント!?なになに??」
「あら、今日は何かあったの?」
「ははは、まぁな」

2人が笑みを見せた直後、玄関は紅に満ちた

   ...続

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