とある国の、小さな村。
のどかな農村だったその村のあちこちから火の手が上がっていた。
のどかな農村だったその村のあちこちから火の手が上がっていた。
炎に包まれた村の中で数体のホムンクルスが村人を殺害している。
村を一望できる小高い丘の上で、ローブを被ったホムンクルスの契約者は彼らの働きぶりを見ながら満足げに頷いた。
村を一望できる小高い丘の上で、ローブを被ったホムンクルスの契約者は彼らの働きぶりを見ながら満足げに頷いた。
村の診療所にローブを被った数人の人間が集まっていた。
彼らの視線の先には、倒れ伏す父娘が居た。
父親は心臓を貫かれて即死、娘は脚の腱を切られて動きを封じられていた。
彼らの視線の先には、倒れ伏す父娘が居た。
父親は心臓を貫かれて即死、娘は脚の腱を切られて動きを封じられていた。
娘の手には、柄の部分に「Azoth」と刻まれている一振りの剣が握られていた。
「あの剣……間違いないな?」
ローブを被った、リーダーと思われる男が口を開く。
「――はい。柄に刻まれている文字にも、相違ありません」
千里眼の契約者が答える。
ローブを被った、リーダーと思われる男が口を開く。
「――はい。柄に刻まれている文字にも、相違ありません」
千里眼の契約者が答える。
その剣の名は「アゾット剣」。
医者であるが錬金術師として知られているパラケルススが持っていたと言われている剣だ。
「一晩の宿の礼に柄から粉を取り出し石炭に振りかけたところこれが金になった」
「病に伏した人に与えるとたちどころに健康になった」
等の逸話を持っている。
医者であるが錬金術師として知られているパラケルススが持っていたと言われている剣だ。
「一晩の宿の礼に柄から粉を取り出し石炭に振りかけたところこれが金になった」
「病に伏した人に与えるとたちどころに健康になった」
等の逸話を持っている。
ローブを被った人間達は錬金術関係の物品の熱狂的な収集家であり、どんな手段を用いても欲した物品を手に入れてきた。
今回この村を襲撃したのも、アゾット剣があるという情報を得て、件の剣を手に入れる為だ。
今回この村を襲撃したのも、アゾット剣があるという情報を得て、件の剣を手に入れる為だ。
一人のローブを被った人間が美しい装飾のなされたロングソードを鞘から抜いた。
剣の名は、デュランダル。
岩をも両断する鋭い切れ味を誇る剣が、容赦なく振るわれた。
剣の名は、デュランダル。
岩をも両断する鋭い切れ味を誇る剣が、容赦なく振るわれた。
元は美しい金色だった娘の髪は煤や埃で汚れ、海のように青い瞳の焦点は定まっていない。
腕や脚の出血と痛みで意識が朦朧とするが、その唇は何も紡がない。
娘は、生まれつき口が聞けなかった。
腕や脚の出血と痛みで意識が朦朧とするが、その唇は何も紡がない。
娘は、生まれつき口が聞けなかった。
ローブの一団に父を殺され、逃げられぬように両足の腱を切られ、腕ごとアゾット剣を奪われ、生まれ育った村を焼かれた。
外で断続的に聞こえていた怒号や悲鳴も、もう聞こえない。
外で断続的に聞こえていた怒号や悲鳴も、もう聞こえない。
娘は、父親からアゾット剣を譲り受けた。
誰かを笑顔にする為に、アゾット剣の力を使おうと思った。
父のように、誰かを助けられる人間になりたかった。
誰かを笑顔にする為に、アゾット剣の力を使おうと思った。
父のように、誰かを助けられる人間になりたかった。
その願いは叶う事はなく……父娘は崩れ落ちた屋根の下敷きになった。
デュランダルの契約者の手には、アゾット剣があった。
アゾット剣を掴んだままの切り落とされたばかりの華奢な白い腕を引き剥がし、地面に無造作に落とすと、アゾット剣を彼らのリーダーである男に渡す。
「これがアゾット剣か……あの父娘め、全く、手間をかけさせる」
アゾット剣を掴んだままの切り落とされたばかりの華奢な白い腕を引き剥がし、地面に無造作に落とすと、アゾット剣を彼らのリーダーである男に渡す。
「これがアゾット剣か……あの父娘め、全く、手間をかけさせる」
村の貯蔵庫の一角には、石炭が積まれていた。
アゾット剣の柄から粉を取り出し石炭に振りかけると、逸話の通りに粉のかかった石炭が金へと変わった。
歓声が上がった。
アゾット剣の柄から粉を取り出し石炭に振りかけると、逸話の通りに粉のかかった石炭が金へと変わった。
歓声が上がった。
村の外で待機していたホムンクルスの契約者と合流した後、彼らは戦利品を持ってアジトへと帰って行った。
続くかどうか分からない