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連載 - 悪意が嘲う・悪意が消えたその後に・純白の騎士-05

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 ………御免なさい



 繰り返される、謝罪の言葉
 うわごとで、何度も何度も、繰り返される

 その謝罪の言葉が、誰に向けたものなのか……ヘンリーには、わからなかった
 とにかく、あの場でディランの傷を治療はしたのだが……意識を失ってしまったディランは、まだ眠ったままだ
 どんな夢を見ているのか、うわ言で謝罪の言葉を繰り返す彼を、彼自身の部屋まで運んだ
 ダミアがディランを心配し、枕元にちょこん、と座っている

 痛々しいディランの様子に、ヘンリーは悩む
 ……何故、ニーナがディランを襲撃したのか?
 そして、ディランは、どうやらニーナの事をよく知っていたらしい
 いったい、どういうつながりなんだ?

(……そう言えば、ディランさんの事、詳しい事は知らないんだよな……)

 幼少期から…「教会」に引き取られた後から、シスター・ドリスやその知り合いには、よく世話になっているのだが
 その中でも、ディランにはよく世話になりながらも…彼の事はよく知らなかった
 その事実に、いまさら気づく

 あぁ、いや
 どちらにせよ、先にやるべきことがあるか

「…すまない、レディ。少し、ディランさんを見ていてもらえるだろうか」
「誰がレディよ、誰が…………まぁ、いいけど」

 乙女を相手に、膝枕を頼みたい衝動を理性と根性でもって押さえつけ、ヘンリーは繰にディランの様子を見てもらうよう、頼んだ
 キッチンへと引っ込み、携帯……ではなく、通信機を取り出す

『…ヘンリー、どうかしたのですか?』
「シスター・ドリス、急にすみません………ディランさんが、襲撃されました」

 通信機の向こうで、己の育ての親が、息をのんだのがわかる
 慌てた様子の声が聞こえてきた

『彼は、無事なのですか?』
「はい、保護して、治癒も終えています………ただ、意識が戻らないんです」
『そう、なのですか…』

 考え込んでいる様子のドリス
 …やがて、はっとしたように、問いかけが来る

『私以外の誰かに、その事実を話しましたか?』
「いえ、その場に居合わせた者以外では、シスター・ドリスに初めに伝えました………いや、ディランさんの部屋に運んだんで、ダミアも事態は把握してますけど」
『そうですか……ジブリルやディーデリヒ達には、まだ話していないのですね?』
「はい。その………ジブリルさんはまだしも、ディーデリヒさんとか団さんは、その……わりと、短気だから。伝えたら、ディランさんを襲撃した者のところに飛んでいきそうで…」
『……賢明な判断です。あなたが名前を挙げた二人は、時としてダミアよりも短気ですから…』

 猫より短気なのは色々と問題がありそうだが、事実なのだから仕方ない
 まだ、背後関係がわかっていない状況だ
 慎重に動いていきたい

「ただ、いつまでも伝えないわけにはいきませんし、あの人たちなら黙っていてもそのうち気づくでしょうから……」
『わかりました。彼らには、私から伝えておきます……できるだけ、直接的な行動に移らないよう言っておきます』
「……すみません、何から何まで」

 はぁ、と
 小さく、ヘンリーはため息をついた

「……襲撃者、なんですが。「教会」の一員なんです」
『「教会」の?』
「はい。ニーナ・サプスフォード。確か、エイブラハムの部下です」
『…………え?』

 ニーナの名前を、口にした時
 ドリスが、明らかに反応を示したことを、ヘンリーは聞き逃さなかった

「…シスター?ニーナが、どうかしましたか?」
『……ニーナ・サプスフォード。その名前に、間違いはないのですね?』
「?はい、そうですが…」

 それが、どうかしたのか
 疑問に思ったヘンリーに……ドリスは、やや、暗い声で、続けてくる

『その、名前は……ディランのかつての友人のお孫さんと、同じ名前です』



「………ごめんな、さい………」

 謝罪の言葉は繰り返される
 何度も、何度も、何度も、何度も、何度も

「ごめんなさい……………バーナード…………」

 かつての友人への謝罪の言葉を、口にして
 悪夢にうなされ続けながら、彼は静かに、涙を流した




to be … ?




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