………御免なさい
繰り返される、謝罪の言葉
うわごとで、何度も何度も、繰り返される
うわごとで、何度も何度も、繰り返される
その謝罪の言葉が、誰に向けたものなのか……ヘンリーには、わからなかった
とにかく、あの場でディランの傷を治療はしたのだが……意識を失ってしまったディランは、まだ眠ったままだ
どんな夢を見ているのか、うわ言で謝罪の言葉を繰り返す彼を、彼自身の部屋まで運んだ
ダミアがディランを心配し、枕元にちょこん、と座っている
とにかく、あの場でディランの傷を治療はしたのだが……意識を失ってしまったディランは、まだ眠ったままだ
どんな夢を見ているのか、うわ言で謝罪の言葉を繰り返す彼を、彼自身の部屋まで運んだ
ダミアがディランを心配し、枕元にちょこん、と座っている
痛々しいディランの様子に、ヘンリーは悩む
……何故、ニーナがディランを襲撃したのか?
そして、ディランは、どうやらニーナの事をよく知っていたらしい
いったい、どういうつながりなんだ?
……何故、ニーナがディランを襲撃したのか?
そして、ディランは、どうやらニーナの事をよく知っていたらしい
いったい、どういうつながりなんだ?
(……そう言えば、ディランさんの事、詳しい事は知らないんだよな……)
幼少期から…「教会」に引き取られた後から、シスター・ドリスやその知り合いには、よく世話になっているのだが
その中でも、ディランにはよく世話になりながらも…彼の事はよく知らなかった
その事実に、いまさら気づく
その中でも、ディランにはよく世話になりながらも…彼の事はよく知らなかった
その事実に、いまさら気づく
あぁ、いや
どちらにせよ、先にやるべきことがあるか
どちらにせよ、先にやるべきことがあるか
「…すまない、レディ。少し、ディランさんを見ていてもらえるだろうか」
「誰がレディよ、誰が…………まぁ、いいけど」
「誰がレディよ、誰が…………まぁ、いいけど」
乙女を相手に、膝枕を頼みたい衝動を理性と根性でもって押さえつけ、ヘンリーは繰にディランの様子を見てもらうよう、頼んだ
キッチンへと引っ込み、携帯……ではなく、通信機を取り出す
キッチンへと引っ込み、携帯……ではなく、通信機を取り出す
『…ヘンリー、どうかしたのですか?』
「シスター・ドリス、急にすみません………ディランさんが、襲撃されました」
「シスター・ドリス、急にすみません………ディランさんが、襲撃されました」
通信機の向こうで、己の育ての親が、息をのんだのがわかる
慌てた様子の声が聞こえてきた
慌てた様子の声が聞こえてきた
『彼は、無事なのですか?』
「はい、保護して、治癒も終えています………ただ、意識が戻らないんです」
『そう、なのですか…』
「はい、保護して、治癒も終えています………ただ、意識が戻らないんです」
『そう、なのですか…』
考え込んでいる様子のドリス
…やがて、はっとしたように、問いかけが来る
…やがて、はっとしたように、問いかけが来る
『私以外の誰かに、その事実を話しましたか?』
「いえ、その場に居合わせた者以外では、シスター・ドリスに初めに伝えました………いや、ディランさんの部屋に運んだんで、ダミアも事態は把握してますけど」
『そうですか……ジブリルやディーデリヒ達には、まだ話していないのですね?』
「はい。その………ジブリルさんはまだしも、ディーデリヒさんとか団さんは、その……わりと、短気だから。伝えたら、ディランさんを襲撃した者のところに飛んでいきそうで…」
『……賢明な判断です。あなたが名前を挙げた二人は、時としてダミアよりも短気ですから…』
「いえ、その場に居合わせた者以外では、シスター・ドリスに初めに伝えました………いや、ディランさんの部屋に運んだんで、ダミアも事態は把握してますけど」
『そうですか……ジブリルやディーデリヒ達には、まだ話していないのですね?』
「はい。その………ジブリルさんはまだしも、ディーデリヒさんとか団さんは、その……わりと、短気だから。伝えたら、ディランさんを襲撃した者のところに飛んでいきそうで…」
『……賢明な判断です。あなたが名前を挙げた二人は、時としてダミアよりも短気ですから…』
猫より短気なのは色々と問題がありそうだが、事実なのだから仕方ない
まだ、背後関係がわかっていない状況だ
慎重に動いていきたい
まだ、背後関係がわかっていない状況だ
慎重に動いていきたい
「ただ、いつまでも伝えないわけにはいきませんし、あの人たちなら黙っていてもそのうち気づくでしょうから……」
『わかりました。彼らには、私から伝えておきます……できるだけ、直接的な行動に移らないよう言っておきます』
「……すみません、何から何まで」
『わかりました。彼らには、私から伝えておきます……できるだけ、直接的な行動に移らないよう言っておきます』
「……すみません、何から何まで」
はぁ、と
小さく、ヘンリーはため息をついた
小さく、ヘンリーはため息をついた
「……襲撃者、なんですが。「教会」の一員なんです」
『「教会」の?』
「はい。ニーナ・サプスフォード。確か、エイブラハムの部下です」
『…………え?』
『「教会」の?』
「はい。ニーナ・サプスフォード。確か、エイブラハムの部下です」
『…………え?』
ニーナの名前を、口にした時
ドリスが、明らかに反応を示したことを、ヘンリーは聞き逃さなかった
ドリスが、明らかに反応を示したことを、ヘンリーは聞き逃さなかった
「…シスター?ニーナが、どうかしましたか?」
『……ニーナ・サプスフォード。その名前に、間違いはないのですね?』
「?はい、そうですが…」
『……ニーナ・サプスフォード。その名前に、間違いはないのですね?』
「?はい、そうですが…」
それが、どうかしたのか
疑問に思ったヘンリーに……ドリスは、やや、暗い声で、続けてくる
疑問に思ったヘンリーに……ドリスは、やや、暗い声で、続けてくる
『その、名前は……ディランのかつての友人のお孫さんと、同じ名前です』
「………ごめんな、さい………」
謝罪の言葉は繰り返される
何度も、何度も、何度も、何度も、何度も
何度も、何度も、何度も、何度も、何度も
「ごめんなさい……………バーナード…………」
かつての友人への謝罪の言葉を、口にして
悪夢にうなされ続けながら、彼は静かに、涙を流した
悪夢にうなされ続けながら、彼は静かに、涙を流した
to be … ?