バーナード・サプスフォード
かつて、「MI6」に所属していた人間である
…「MI6」と言っても、「裏のMI6」である
人ならざる者達が、そしてそれらの契約者達が所属するMI6
その組織において、バーナードは、数少ない「契約者ではなく、都市伝説でもない」所属者であった
契約者ではなく、都市伝説でもない……すなわち、ただの人間
どうも、契約に必要な器が小さすぎて、どのような存在とも契約が不可能だったらしい
たまに、いるのだ、そういう人間が
たまたま、バーナードはそういう人間であったらしい
その圧倒的に不利なはずのその条件で、しかし、彼は優秀な諜報員であった
ただの人間である不利を、知恵と機転で乗り越えてきた
………そんな男が、もう歳だからそろそろ引退すると、最後に選んだ仕事は、「教会」に関する仕事だった
かつて、「MI6」に所属していた人間である
…「MI6」と言っても、「裏のMI6」である
人ならざる者達が、そしてそれらの契約者達が所属するMI6
その組織において、バーナードは、数少ない「契約者ではなく、都市伝説でもない」所属者であった
契約者ではなく、都市伝説でもない……すなわち、ただの人間
どうも、契約に必要な器が小さすぎて、どのような存在とも契約が不可能だったらしい
たまに、いるのだ、そういう人間が
たまたま、バーナードはそういう人間であったらしい
その圧倒的に不利なはずのその条件で、しかし、彼は優秀な諜報員であった
ただの人間である不利を、知恵と機転で乗り越えてきた
………そんな男が、もう歳だからそろそろ引退すると、最後に選んだ仕事は、「教会」に関する仕事だった
「この仕事が最後さ。足を洗って、孫と静かに暮らすよ………なぁに、いい情報源があるんだ、期待していてくれ」
その言葉が、最後に合った彼の言葉だったと、記憶している
…パスカル・ハドソンは、バーナードと言う男と、さほど長い付き合いではなかった
そもそも、パスカルがMI6に所属した時期と、バーナードが殺害された時期は、さほど離れていなかったのだから
…パスカル・ハドソンは、バーナードと言う男と、さほど長い付き合いではなかった
そもそも、パスカルがMI6に所属した時期と、バーナードが殺害された時期は、さほど離れていなかったのだから
それでも、あの男が優秀な諜報員である事を、パスカルはよくわかっていた
だからこそ、信じられなかった
バーナードが殺害され……彼と共に暮らしていたはずの、彼の孫娘の行方が分からなくなかった
その話を聞いた時……すぐに信じる事など、できなかったのだ
バーナードが殺害され……彼と共に暮らしていたはずの、彼の孫娘の行方が分からなくなかった
その話を聞いた時……すぐに信じる事など、できなかったのだ
端末からのアクセスで得られた情報は、さほど多くない
…バーナードが生前調べていた情報に関しては、ほとんどが持ち去られてしまっていて、「教会」の何を調べていたのか、判断する事すらできなかった
残留思念などを読み取れる能力者が調べても、あまりに強すぎる人外の痕跡に邪魔されて、ノイズが強すぎて何も読み取れなかった
そのような状態で、「教会」を調べることなどできず
そして、「教会」にも情報を抑え込まれ、調査不可能
数少なくわかっていた情報は、バーナードが言っていた「いい情報源」とやらが、褐色の肌に黒い髪、黒い瞳の青年だった事くらい
その青年もまた、行方をつかむことができず、バーナードを殺したのが明らかに「教会」であるとわかりながら、「MI6」は動くことができなかった…………
…バーナードが生前調べていた情報に関しては、ほとんどが持ち去られてしまっていて、「教会」の何を調べていたのか、判断する事すらできなかった
残留思念などを読み取れる能力者が調べても、あまりに強すぎる人外の痕跡に邪魔されて、ノイズが強すぎて何も読み取れなかった
そのような状態で、「教会」を調べることなどできず
そして、「教会」にも情報を抑え込まれ、調査不可能
数少なくわかっていた情報は、バーナードが言っていた「いい情報源」とやらが、褐色の肌に黒い髪、黒い瞳の青年だった事くらい
その青年もまた、行方をつかむことができず、バーナードを殺したのが明らかに「教会」であるとわかりながら、「MI6」は動くことができなかった…………
……ちらり、パスカルは今だ眠り続けているディランに視線を向けた
…黒い髪、褐色の肌
譫言で謝罪を繰り返している、そのうわ言の中に「バーナード」の名前が、何度か出てきている事実
バーナードの言っていた情報源は……恐らく、ディランだったのだろう
…黒い髪、褐色の肌
譫言で謝罪を繰り返している、そのうわ言の中に「バーナード」の名前が、何度か出てきている事実
バーナードの言っていた情報源は……恐らく、ディランだったのだろう
「ヘンリー、あのディランと言う男だが……「教会」の関係者か?」
「まさか。あの人は淫魔だ。どちらかと言うと「教会」の討伐対象だな」
「まさか。あの人は淫魔だ。どちらかと言うと「教会」の討伐対象だな」
……まぁ、それもそうか
パスカルが納得しかけたところで「あ、でも」、とヘンリーは続ける
パスカルが納得しかけたところで「あ、でも」、とヘンリーは続ける
「ただ、あの人は淫魔として、大分古い人だから……「教会」生まれの可能性はある」
「淫魔が、「教会」生まれ?」
「そもそも、淫魔を生み出したのは教会だし」
「淫魔が、「教会」生まれ?」
「そもそも、淫魔を生み出したのは教会だし」
何故、淫魔は生まれたか?
…それは、「言い訳」の為
夢精の言い訳、修道院内で子をなしてしまった修道女が出た時の言い訳
自分達の欲を、姦淫を隠す為の隠れ蓑
その為に、淫魔は生み出された
初期の頃の淫魔達は、大半が「教会」の中で生まれた
その事実を、ヘンリーはシスター・ドリスから習った事があった
それを、パスカルに伝える
…それは、「言い訳」の為
夢精の言い訳、修道院内で子をなしてしまった修道女が出た時の言い訳
自分達の欲を、姦淫を隠す為の隠れ蓑
その為に、淫魔は生み出された
初期の頃の淫魔達は、大半が「教会」の中で生まれた
その事実を、ヘンリーはシスター・ドリスから習った事があった
それを、パスカルに伝える
「…それじゃあ、関係者だった可能性が、あるのか」
「言われてみれば、やけに「教会」内部に詳しかった気もする。てっきり、シスター・ドリスから話を聞いていたせいだと思っていたが…」
「言われてみれば、やけに「教会」内部に詳しかった気もする。てっきり、シスター・ドリスから話を聞いていたせいだと思っていたが…」
膝枕された状態のまま、器用に首をかしげたヘンリー
…襲われた理由は、そこか?
…襲われた理由は、そこか?
「あの人を襲ったのは、ニーナ・サプスフォードで間違いない、か?」
「俺はその場面を見てはいないが、あそこの乙女が言ってたから、間違いはないと思う。俺も、あそこから逃げていくニーナは見たし」
「俺はその場面を見てはいないが、あそこの乙女が言ってたから、間違いはないと思う。俺も、あそこから逃げていくニーナは見たし」
ニーナが、ディランを襲った
…ディランが、バーナードを殺したと
ニーナは、そう考えているのか?
…ディランが、バーナードを殺したと
ニーナは、そう考えているのか?
いや、それよりも
「…ニーナは、「教会」の、一員なのか?」
「あぁ、それは間違いない」
「あぁ、それは間違いない」
パスカルの言葉に、断言するヘンリー
間違いないと、はっきり、断言する
間違いないと、はっきり、断言する
「それも、エイブラハム・ヴィシャスの管轄下だったはずだ」
「…「教会」の強硬派筆頭の下か。よりによって」
「それでも、「教会」に来てすぐの頃はカインの世話になってたし。その後もカイザー司祭とかが面倒見ていたりしてたはずだから、そんなに歪んではいない…と、思うが」
「…「教会」の強硬派筆頭の下か。よりによって」
「それでも、「教会」に来てすぐの頃はカインの世話になってたし。その後もカイザー司祭とかが面倒見ていたりしてたはずだから、そんなに歪んではいない…と、思うが」
…ここは、やや自身なさげに言ってくる
実際、ニーナはディランを襲撃したのだ
ヘンリーは、ニーナがディランを「淫魔だから」と言う理由で襲撃したのだろうと、そう考えているようだ
実際、ニーナはディランを襲撃したのだ
ヘンリーは、ニーナがディランを「淫魔だから」と言う理由で襲撃したのだろうと、そう考えているようだ
「…ニーナが、どういうきっかけで「教会」に所属したのか、知ってるか?」
「いや、詳しくは。あんなに幼い子だし、俺が初めて見た時にはもう乙女じゃなかったから………「教会」では、親を亡くして引き取られてくるような子供が多いから、そういう事情だと思って、詳しく聞こうとも思わなかったし」
「そうか…」
「いや、詳しくは。あんなに幼い子だし、俺が初めて見た時にはもう乙女じゃなかったから………「教会」では、親を亡くして引き取られてくるような子供が多いから、そういう事情だと思って、詳しく聞こうとも思わなかったし」
「そうか…」
それは、そうか
そのような子供達は、重い、暗い事情を背負っている子供達が多いのだ
過去を穿り返すような真似はできないだろう
そのような子供達は、重い、暗い事情を背負っている子供達が多いのだ
過去を穿り返すような真似はできないだろう
(………あれ?)
待て
ちょっと……待て?
ちょっと……待て?
「…乙女じゃ、なかった?」
「あぁ」
「……間違いないのか?あの子、まだ12歳より年下だったはずだぞ?」
「あぁ」
「……間違いないのか?あの子、まだ12歳より年下だったはずだぞ?」
「教会」に来たのは…恐らく、バーナードが死亡した直後
あの頃だと、10歳以下のはず………
あの頃だと、10歳以下のはず………
「間違いないぞ。なぁ?」
「ひひん」
「ひひん」
いつの間にやら姿を現して、膝枕順番待ちスタンバシ体勢のユニコーンが頷いた
……ユニコーンがそう認識したのなら、間違いない、と言うことか
……ユニコーンがそう認識したのなら、間違いない、と言うことか
何が
何があったというのか
何があったというのか
バーナードの死後、ニーナの身に何が起きたというのか
…まだ……情報が、少なすぎる
…まだ……情報が、少なすぎる
ディランの部屋にある、写真たて
そこに飾られている写真に写っているニーナは、バーナードに抱き上げられて、幸せそうな表情を浮かべていた
……己の身に悲劇が訪れるなど、予感もしていない、無垢な笑顔で
そこに飾られている写真に写っているニーナは、バーナードに抱き上げられて、幸せそうな表情を浮かべていた
……己の身に悲劇が訪れるなど、予感もしていない、無垢な笑顔で
to be … ?