「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 悪意が嘲う・悪意が消えたその後に・百獣の王-01

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だれでも歓迎! 編集
 ぺち
 ぺちぺちぺち
 アパートの窓ガラスが、ぺちぺち叩かれる音がする
 続いて、ぎしゃーしゃげーと、鳴き声

 あぁ、猫達が帰ってきたのだな、と山田は顔を上げた
 正確には子ライオンな訳だが、まぁ、細かい事は気にしない
 窓に視線をやれば、ぺとん、と座った2匹が、ぺちぺち、窓をたたいている
 開けろ、と言うことなのだろう
 外は雪も降っているし、ずいぶんと寒い
 冬場は炬燵に入ってダラダラしている事の多いこの2匹が、こんな日に外に出るのは珍しい、と思ったものだ

 …とまれ、このままでは寒いだろう
 早く中に入れてやろうと、山田は窓ガラスを開けた

 ひゅう、と冷たい空気が室内に入り込み……2匹の子ライオンが、飛び込んでくる
 外から帰ってきた2匹が、勢いよく室内へと入ってくるのはいつもの事

 ………ただ

「ぎしゃー!!!」
「しゃぎゃーーー!!!」

 ----ごがすっ!!!

「おぶぉっ!?」

 …このように、顔面に向かって突進してくるかのように入ってくるのは、わりと初めてなんじゃないだろうか
 不意打ちのその体当たりをもろにくらい、その衝撃そのままに床に倒れ後頭部を強かに打ちながら、山田はそう考えた




『ーーーーイッテェエエエエエエ!?何スンダ、コノ小動物共っ!?」

 にょろり
 山田の胸ポケットに入っていたデビ田が顔をだし、抗議の声を上げた
 ぴょこぴょこと、尻尾で怒りを示しているが、まぁ、こんな小さな蛇の姿ではただのラブリー生物である

 …デビ田が子ライオン達に抗議するのも、無理はない
 元・悪魔の囁きであり、現・イマジナリーフレンドであるデビ田は、宿主である山田と感覚を共有しているのだ
 すなわち、山田が痛みを感じれば、デビ田も同じ痛みを感じる
 先ほどの顔面タックルと後頭部強打の痛みも、当然伝わっているのだ

 しゃげー
 げしゃー

 子ライオン達は、そんなデビ田の抗議など、さっぱり気にする事なく、後頭部を打って呻いている山田の胸元に2匹そろって立ち、ぺちぺち、ぺちぺち、猫パンチを繰り出している
 容赦なき、猫パンチの嵐
 子供とはいえ、ライオンはライオンである
 しかも、彼らはの正体は「ゴースト&ダークネス」……人食いの、都市伝説だ
 子供の姿でも、その力は並の猫より強い
 そんな2匹に、ぺちぺちと猫パンチを食らい続ける山田
 まぁ、所詮はちみの攻撃なので、致命傷になったりはしないのだが
 ………猫好きが見たら、その立場を変われ、と羨ましがる様な光景かもしれなかった

「っちょ……お前ら、どうしたんだよ」

 ぎしゃ!
 しゃぎゃ!

 山田の言葉に、何かを訴えかけてくる2匹
 …が、山田には、子ライオンの言葉などわからない
 正直、何を訴えたいのか、伝わってこない

 ただ、なんとなく、これだけはわかる
 ……これは、八つ当たりだ、と
 2匹の声が、切実に、不機嫌を訴えてきているからだ
 どうやら、散歩中に何かあったらしい

「ぎしゃーーー!」
「しゃげーーー!」

 ぺちぺちぺちぺちぺちぺちぺちぺちぺち!!
 止まらぬ、猫パンチの嵐
 顔面に向けられてくるそれは、肉きゅうの柔らかさと2匹の力強さを伝えてくる

 ヘタに避けようとしても、受け止めようとしても、2匹の機嫌がさらに悪くなる事は確実で
 仕方なく、山田は2匹の猫パンチの嵐を、甘んじて受け続ける事となった



 この日
 ゴーストとダークネスが、二度も「13使徒」の一員に遭遇していた事実に
 山田達は、気づかない





to be … ?





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