「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

単発 - 七つの大罪

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kemono

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だれでも歓迎! 編集
「おめでとう、これでお前も、自分の夢のスタートラインに立てたってことだな」
「はい! 全て先生のお陰です!ありがとうございました!」
「何を言ってるんだ、先生は何もしてないよ
  ここまで這い上がってこられたのは、どれもこれもお前自身の力
  先生は、こうしてお前と面談を繰り返しただけだぞ?」
「いえ、先生の後押しがあったからこそ、僕はここまで来られたんです!
  先生が、夢を見る事の楽しさや、努力する事の大切さを教えてくれたから・・・
  僕は、先生から学んだことは一生忘れません!」
「っははは、いやぁ、参ったな」

照れくさそうに、先生は微笑んで頭を掻いている
そんな姿を見ていると、僕も嬉しくなってしまう
僕は藤原ユウジ、高校3年生
とはいっても、これからは大学1年生になるんだけど
そう、僕はこの春、音楽大学に入学する
幼い頃からの夢だった、ミュージシャンになる為に
でも、僕はとても音痴で、音楽の成績はいつも底辺だった
周りから馬鹿にされ、イジメの対象にまでなった
小学4年生の時に既に諦め、高校に入る頃には疾うに忘れていたその夢を再燃させてくれたのが、
他でもない今僕の目の前に居る、夜墨 玄(ヤスミ ゲン)先生だった
墨夜先生は若くてとても人柄が良く、生徒からも信頼されている先生だ
中でも、進路指導をしている時の彼は人気がある
将来の夢や希望について真面目に聞いてくれるし、それについて色んなアドバイスもしてくれる
良い先生だけれど、その苗字と、教師なのに頻繁に寝坊して遅刻することから、
生徒達には『お休み先生』と呼ばれて親しまれている

「それに・・・」

と、さっきの言葉に続いて僕はポケットに手を入れ、中の物を取り出した
狐、ライオン、山羊の、3つのストラップ
どれも、先生が面談が終わる度に、お守り代わりだと言ってプレゼントしてくれたものだ

「先生から頂いたこのお守りが、僕を支えてくれていましたから」
「おぉ、まだ持っていたのか。本当に几帳面だな藤原は」

やや呆れながらも笑顔を絶やさない夜墨先生
けど本当は、もう1人支えてくれた人がいる
いつも赤いリボンで髪を纏めている、僕の幼馴染、立花マナさん
彼女だけは僕の夢を笑わずに、小学生の時から高校生になっても、ずっと応援してくれていた
そんな彼女に、僕はいつしか好意を抱いていた
だから決めたんだ
今日、この後マナさんに会って、そして――――

「―――では、僕はそろそろ失礼します。3年間、お世話になりました!」
「あぁ。これからはお前1人で夢に向かって走っていくことになるだろう
  だが、お前は1人じゃない・・・それを忘れちゃダメだぞ
  何かで躓いたり立ち止まりそうになったら、両親や友達に遠慮なく相談すれば良い
  勿論、先生だって構わない」
「はい、ありがとうございます!」

深く頭を下げて、先生に背を向けた

「っと、藤原、先生からの最後のプレゼントだ」

と言って、夜墨先生は僕にそのプレゼントを投げた
可愛らしい、熊のストラップ

「重ね重ね、ありがとうございます! 大切にさせて頂きます!」

僕はそれを握り締めて、ポケットに入れると、斜陽で橙色に染まった教室から出る為に引き戸に手をかけた

「失礼しましt――――――――」

力を入れた、瞬間だった
頭から爪先まで、一気に力が抜けた感じがして
僕はその場に、膝をついた

「――――――え?」

同時に、何故だか分からないけど、全てがどうでもよくなっていく気がした
ミュージシャンなんてなれなくても良いかも知れない
大学なんて別に行かなくても良いかも知れない
夢も、希望も、これまでの努力も、一切が無駄だったような気さえする

「おい、大丈夫か藤原?」

夜墨先生が身体を起こしてくれた
走っても無いのに息が苦しくなった僕は、深呼吸をしながら言葉を紡ぐ

「す・・・みま、せ・・・大、丈夫、でs」
「なぁんてなぁ!!」

突然、僕の身体は床に叩きつけられた
直後に、踏みつけられるような圧迫感――いや、本当に踏みつけられていた
僕の事を、3年間支え続けてくれていた筈の、夜墨先生に

「ガキの分際でいっちょ前にくだらねぇ夢見てんじゃねぇよバーカ!!」

2度、3度と踏みつけられ、蹴られる
これが夢なら、今すぐにでも覚めて欲しかった

「知ってるかァ? “熊”は「七つの大罪」の「怠惰」を司る・・・
  お前が今そんな状態になってんのは、俺がさっき渡したストラップの所為なんだよォ!!」
「え・・・え?」

意味が、分からない
「七つの大罪」だとか、ストラップを持つだけで何故こんなことになるのかとか、そんなことじゃなくて

「どう、して・・・先生が・・・」
「まァ1回全部聞けよ、そういう効果があるのは“熊”だけじゃない
  まずは最初に渡した“狐”・・・あれは「強欲」を司る
  お前の夢に対する欲を高める為に使った」
「――――――――っ?」
「そして“ライオン”は「傲慢」・・・そのお陰でお前が自分の音楽の才能を過剰評価するようになった
  最後に“山羊”・・・「色欲」で想い人を手に入れようと必死になりだした
  さァ、もうどういう意味か分かるよなァ!?」
「う・・・うそ、だ・・・」

僕の、夢も、希望も
全部―――――――――――――――――作り物?

「嘘だ、嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!!」

願っていたことが、全部嘘だった
信じていた人に、嘘を吐かれていた
じゃあ、なにがホントウなの?

「きひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!
  あァその顔だァ!! 何もかもに裏切られ、何もかもを信じられなくなったガキの顔!!
  その顔が見たくてこの仕事続けてんだよなァ!! 教師って最高だよなァ!!??」

なにもきこえない
なにもききたくない
それでも、次の言葉ははっきりと耳に入った

「さっきの娘にも見せてやりたかった・・・喰わずに置いといた方が良かったかァ?」
「・・・さっ、き・・・娘・・・」

僕は思い出してしまった
彼女――立花さんは、僕が先生と面談する前に、先生に呼ばれていた事を

「へェ、分かったのかァ?」

するりと、せんせいがてにとったもの
真っ赤な、真っ紅なリボンだった

「美味かったぞォ、立花マナ・・・血の味も、別の味もなァ?」




う                   そ                   だ




「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」

なにもかんがえたくない
なにもしたくない
もう生きたくない


                死

                  ニ

               タ

                  イ













「・・・あ゙ァ美味かった、次はどんな“夢見るバカ”を喰おうかなァ?」

   ...fin





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