「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

画竜点睛-02

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Retsuya

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「ん~、結構集まった感じが致しますわね」

R-No.0――ローゼさんが赤い髪を揺らしながら部屋の中を見渡している
部屋にいるのはオレとローゼさんを含めて、
緑色の髪の少女、金髪の少女、そして白髪の少女の、たった5人しかいなかったが、
それでもオレがこの部屋に初めて入った時に比べれば幾分賑やかな雰囲気だ
とは言え、室内はかなり静かなものだった・・・金髪の少女のアクセサリーがじゃらじゃらと音を立てているのを除けばだが
いや、それ以前に、

「ねぇアンタも勧誘されたワケ? マジ凄いかも、ってゆーかチョー男らしいってカンジー?」
「・・・・・・」

現在進行形で隣から話しかけられてて正直かなりうるさい

「えっと、ここにいる皆さんはワタクシを含めて、上位ナンバーと仰る幹部のようなもの、でしたわよね?
  何人揃うのだったかしら?」
「あぁ、それは―――」
「イクトミと名乗る都市伝説によれば、No.0からNo.10までの計11人らしいです
  今はそちらを中心に勧誘しているそうですが、この進行具合だと、「組織」成立はまだかかりそうですね」

オレが答えようとした瞬間に、先に緑色の髪の少女が説明してくれた
見た目で判断すればオレより年下だが、話口調から判断すると相当生きていそうだ

「あら、そうでしたの? えっと、貴方は・・・」
「申し遅れました。コードナンバーR-No.1、人間の名前は六条 蓮華と申します」
「あ、ワタクシはR-No.0、ローゼ・ラインハルトですの・・・あぁそうですわ
  この際ですし、自己紹介でもなさらない?」

まぁ、確かに何もすることはないし、得策と言えば得策か・・・
と思った直後に、白髪の少女が立ち上がり、すたすたとドアに向かって歩きだした
良く見れば外見に不相応な大きさの胸だが、もしかして背が小さいだけで子供じゃないのか?

「あら? どうかなさったの?えっと」
「R-No.4、レクイエム・リッケンバッカー。それ以外に貴様等と話す必要などない」

そう言い残し、彼女は勢い良くドアを開け、乱暴に閉めて退出した

「あらあら;」
「何よアイツ、マジムカつくってゆーかヤなカンジ!!」
「急な環境の変化に戸惑っているのでしょう・・・そっとしておいた方が宜しいかと」
「それが一番だな・・・っと、自己紹介はした方が良いのか? オレは」
「ストップ!No.1の次はNo.2だっつーの! アタシはR-No.2、ロール・レインウォーター、マジヨロシクぅ♪」
「・・・R-No.3、栄 日天だ、宜しく」

まだ、5人しかいないが
まだ、男が全然見当たらないが
オレの「組織」としての――結成はしていないが――人生が、今、幕を開けt

「さて、私もそろそろ」
「へ? 自己紹介なさらないの?」
「さっき名乗ったでしょう?
  それ以外に紹介する事なんて・・・あぁ、契約していた都市伝説は「種を飲み込むと体から植物が生えてくる」ですが」
「えぇ~、何というか、もっと女の子らしい話とかして盛り上がったりしませんこと?」
「いえ、それより他のナンバーの状況を確認したいので
  それに、その手の話だと、男性であるR-No.3が孤立しはしませんか?」

成程、この人がNo.1である理由がはっきり分かった
逆に何故ローゼさんがNo.0なのか理解できない

「ということですので、では」

R-No.1――蓮華さんは早々に部屋から出ていった

「あぁんお待ちになってぇ!」
「そんなに話がしたかったのか・・・さて、オレはどうするk」
「アンタ日天だったっけ? 探検行くから付き合えってマジで」
「ハァ!? 何でオレが」
「いーじゃんいーじゃん!レッツゴーキャッホー♪」

オレはR-No.2――ロールに腕を引っ張られ、部屋を後にした
ドアの中から微かに聞こえたすすり泣く様な声が、耳と心に深く突き刺さった気がした




    †    †    †    †    †    †    †




「お、おい、何処まで行くんだ?」
「別にどこでもいーじゃん、ってゆーかお腹空いたカンジ?」
「いや、オレは平気だが・・・」
「アタシは空いたから食べに行こーマジで♪」

あぁ、何て自由奔放なんだ
何でこんな奴をスカウトしたのか俺にはさっぱり分からない
それに、オレのいるR-No.は今のところ、勧誘している奴がロリコンなんじゃないかと疑いたくなるくらい少女の姿をした女性が多い
“姿をした”というのは、オレ達がそもそも“人間をやめた存在”だからだ
都市伝説と契約した瞬間や、都市伝説の力が暴走した瞬間、人間の契約の器の許容量を超え、人間は都市伝説に“飲まれ”てしまう
その時、運良く人間の姿で保てたのが、オレ達のような存在らしい
 ・・・という話を聞いたのだが、オレには良く分からなかった
どうやら詳しくは分かっていないらしく、そういう事もこの「組織」で研究していくようではあるが

「もしもーし、日天ー?」
「ん、あぁすまない、考え事をしていた」

と話している間に、オレ達は真新しい食堂らしき場所で食事を摂っていた
勧誘は進んでいるのか否か、ぽつりぽつりと客が見える

「飯食いながら考え事とかマジありえない、っつーか・・・食いすぎじゃね?」
「そうか?」

このチョコレートサンデーはまだ10杯目なんだが・・・
まだショートケーキ1ホールもあるし

「さっきお腹空いてないっつってたじゃんマジで」
「仕方ないだろ、急に小腹が空いたんだ」
「小腹って・・・甘いもんとか好きなワケ?」
「ん・・・そうだな、どちらかと言えば」
「てゆーかアンタチャイニーズじゃねーの? フツーチャイニーズってチョー辛いの食べてるカンジじゃね?」
「食べられない事はないが、オレはやはりこういう物を好んで食べているな」
「ふーん、変なの」

オレからすれば、さっきからアクセサリーをじゃらじゃらと鳴らしながら只管レモネードを飲んでるこいつの方が変だが
「組織」というものはこういうクセのある連中を集めて構成するつもりなのだろうか

「ってゆーか、日天は人間の頃の記憶ってあるワケ?」
「・・・どうした、急に」
「アタシさ・・・マジで記憶がないのよね」

急に神妙な顔つきになり、彼女は語り始めた

「パパやママの事とか、友達の事とか、そんなの全部忘れちゃって
  覚えてたのは自分の名前と、レモネードが好きって事だけ
  マジ笑っちゃうよね、自分の事なのに、何にも分かんないなんてさ」

さっきまで軽い雰囲気で積極的に話しかけてきた少女が、今はどうだ
すぐに消えてしまいそうな寂しい目で俯いて、消極的な話を切り出してきた
都市伝説と契約し飲まれると、記憶に何らかの影響があるらしい
人間だった頃の記憶の一部、もしくは全てが、何もなかったかのように脳から消え去ってしまう
実を言うと、オレもそうだ
自分がどんな生活を送っていたのか、全く記憶に残っていない
今はもう慣れたが、慣れるまでは苦痛だった
彼女の言う通り、自分の事なのに分からないというのは、何と言えば良いのだろう、考えるだけで頭が痛くなる
その苦しみを言っているが故になのか、オレは彼女に何も言ってあげられなかった
だが、彼女は強かった

「だからさ、アタシ「組織」に誘われて決めたんだ
  昔の記憶がないなら、ここで新しく作っちゃおって
  日天達といっぱい遊んだり喋ったら、チョー未来じゃそれは“アタシの思い出”になるじゃん?
  それってマジサイコーじゃね?」

今、オレは初めて理解した
「組織」が求めているのはきっと“これ”なんだ
過去に振り回されず、過去を追い求め過ぎず、真っ直ぐ未来(マエ)に向かって歩いていく力や、心
そんな強い意志を探しているんだと、オレは思った

「・・・あぁ、最高だな」

心の底から、オレは彼女に賛同した
ロールの見せたその笑顔は、とても明るく眩しい、元気な表情だった
 ・・・ま、待て、誤解するな、オレは決して彼女に惚れている訳ではなくt

「んじゃ、またまた探検にレッツゴーってカンジぃ♪」
「なっ、まだ行くのか!?」
「ここ結構広いじゃん? まだまだ行ってない所あるんじゃねマジで」

しかし鬱陶しい話し方だ
世界中の女がこんな口調になったらきっと世界は終わる

「というか、オレはまだショートケーキを食べてないぞ」
「つべこべ言ってないでさっさと来いっつーの―――――」

と、彼女がテーブルに触れた瞬間だった
ばちっ!という音と、「ひんっ!?」という情けない声が響いた
恐らく、いや絶対静電気だろう。そして、被害者は目の前の少女だ
だが様子がおかしい

「お、おい、大丈夫か?」

ロールはそのまま凍ってしまっかのように動かなくなった
静電気が痛かったとでも言うのだろうか?
女の気持ちはよく分からないが、まず彼女の表情を伺う事にした

「静電気が痛いのは一瞬だけだ、何の害もないから―――――ッ!?」

違う、痛がってたんじゃない、泣いてなんかいない
笑っていた

「キャッハァ♪ 今の静電気チョーサイコぉ♪ ビリリってきたぁ♪」
「・・・は?」
「んーでもイマイチ物足りないカンジぃ・・・あ、ねぇ日天?」
「え、な、何だ?」
「アタシを思いっきりぶん殴って♪」
「ハァ!? い、意味が分からん、どういうつもりだ!?」
「蹴っても良いからマジお願い! 痛いのとか沁みるのとかビリッてきたりバチッてくるのがチョー気持ち良いのよマジで!
  だから、ね? メチャクチャになるまで痛めつけて!!」
「っちょ、バカ、声がデカい・・・」

オレは目で助けを求めた
ダメだ、もう皆離れてしまっている

「ねぇ日天ー、痛い事してよー♪」
「誰か助けてくれえええええええええええええええええ!?」

先刻の発言の内幾つかを破棄したい
早くも先が思いやられそうだ

   ...続く

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