弟切草
とある家の庭一面に咲く、小さく、黄色い、可憐な花。
その花畑の横に、二人の青年が立っている。
その花畑の横に、二人の青年が立っている。
「腕を出せ。」
「はい、兄さん。」
「はい、兄さん。」
ふたりはどうやら兄弟らしい。
弟は兄に言われるがままに腕を差し出す。
兄は手に持っていた銀色の刃を弟の腕に当て、刃を引く。
弟は兄に言われるがままに腕を差し出す。
兄は手に持っていた銀色の刃を弟の腕に当て、刃を引く。
プシッ
弟の腕がみるみるうちに赤く染まる。
その赤は弟の腕を伝い、床に置かれたタンクへと流れ落ちる。
タンクを満たす水にぽたりぽたりと赤が混じり、すぐさま溶け失せる。
それをしばらく続けた後、兄は弟の腕を紐で縛り、傷口に何かの葉をあてがう。
その赤は弟の腕を伝い、床に置かれたタンクへと流れ落ちる。
タンクを満たす水にぽたりぽたりと赤が混じり、すぐさま溶け失せる。
それをしばらく続けた後、兄は弟の腕を紐で縛り、傷口に何かの葉をあてがう。
「押さえてろ。」
「はい、兄さん。」
「はい、兄さん。」
弟は兄に言われるがままに傷口を押さえる。
兄はタンクを背負うとそこから伸びるホースを花畑に向け、バルブを捻る。
パラパラと水が葉を打つ心地よい音があたりに響く。
兄はタンクを背負うとそこから伸びるホースを花畑に向け、バルブを捻る。
パラパラと水が葉を打つ心地よい音があたりに響く。
「いっぱい育つといいね、兄さん。」
赤い養分が混じった水を喜ぶかのように、弟切草はその黄色い花を風に揺らす。
【終】