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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - ギザ十と幽霊少女とご先祖様と組織の狗-29

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ギザ十と幽霊少女とご先祖様と組織の狗 29


動かなくなった「黒服」に背を向け、B-No.002と呼ばれていた嘗て俺の大切だった人、彼女と共に離れた場所で倒れている少女の元へと駆け寄った。
どうやら俺が倒れている短い間に、黒服に操られた彼女から強キック後、追い打ちの踏みつけを喰らい昏倒してしまったらしい。
そんな哀れな少女を横抱きにかかえて、未だフヨフヨと主を守るように少女の近くに浮かんでいる忠犬、もとい忠魚スカイフィッシュの背中へと優しく乗せる。
それを見ていた、彼女がぼそりと小声で「止めを刺しておくべきでした…」と呟いてた気がするがきっと気のせいだろう、そうに違いない。
さて、「鮫島事件」発動の間、「組織の狗」として感情の起伏を極限まで落とされていた彼女であるが。
彼女の実の兄、「暗部」の最高責任者であったB-No.001が死亡する際、元に戻っていたようだった。
なんでも、彼の都市伝説である「エペタム」の刃鳴りには他人の精神に作用する能力があり、其れを応用し、彼女を感情の無い人形の様にして操っていたらしい。
そんな事を、俺が彼女から聞いている時に、その娘は現れた。

「イッちゃん……やっぱり死んじゃったんだ……」
呆然と、まるで生気の抜けたような表情で、いつの間にか現れ「彼」の亡骸の側に近づいていくB-No.005。
その姿からは、先ほど出会ったときのような無邪気さは欠片も存在せず、ただ涙を流さず泣き続ける幽鬼のように見えた。
「フーちゃんは……その人達の所に行くんだね」
何かを確信しているように彼女へと言葉を向ける黒服幼女に、彼女は言葉を詰まらせる。
「だったら、ボクはね、イッちゃんとずっと一緒にいようと思うんだ」
「……貴方はB-No.001、いえ、兄の事を……」
「うん、大好きだった、でもイッちゃんは、今までずっとフーちゃんの事を見てたよね、ずるいって……ずっと思ってたんだ、
 だからこれからはボクの番、イッちゃんの側からいなくなるフーちゃんの代わりにボクがずっと一緒にいるんだ良いでしょ?」
「B-No.005……」
「本当はね、本当はねー、ボクはフーちゃんも十円玉のお兄ちゃんも他のみんなも全部全部、壊しちゃいたいんだよ?
 でもね今のボクの力じゃもうとてもそんな事は出来ないし、ボクが死んじゃったら、きっとイッちゃんの身体はきっと「組織」に色々弄くられた後、
 消されちゃうと思う、だから我慢して捕まる前に、ボクはイッちゃんと一緒に逃げるの」
そう言いながら、さっき会った時よりも幾分数が少なくなった、虫たちに「彼」の身体を運ばせようとしている幼女に俺は問いかけた。
「逃げられると思うのか、既に「夢の国」の侵攻も終わり、この施設の四つの入口は「組織」と「首塚」の手によって封鎖されている、それに「ソイツ」を俺たちが見逃すと思っているのか?」
そう言いながら、左手の籠釣瓶の切っ先を幼女へと向ける。
「ん、その点は大丈夫だよ、だって、ボクには手伝ってくれる心強い味方がいるからね」
「どういう……」
「フーちゃんなら分かるよね……さっきね、ミッちゃんがやっと起きたよ」
「まさかっ、B-No.003が!?」

「うん、ずっと、ずーっと、ボク、あの子に話しかけてたんだ、イッちゃんを助けて、イッちゃんを守ってあげてって!」
その彼女の言葉に、周りの空間が呼応するかのように歪みだす。
「ミッちゃんは、フーちゃんと違って、イッちゃんの為にボクと一緒に行ってくれるって言ってくれたよ、だからね……これでバイバイだよ」
歪み、軋み、ガラスが砕けるかのような、甲高い音と共に、空間が割れる。
その空間の裂け目から現れた存在は、大きく顎を開くと響き渡る重低音の産声を上げた。
――ドラゴン。
突如、目の前に、漆黒の鱗を持つ20m程の大きさの「竜」が現れた。
驚愕に身を凍らせる俺たちの姿を一別すると、小さく啜り泣くような鳴声を上げ「彼」の骸に擦り寄る。
そんな、ドラゴンの背に、黒服の幼女は、「彼」の骸を抱えながら、えっちらおっちら上っていく。
そんな彼らを、既に制止する気力すら無くしてしまった俺たちに何が出来ようか。
俺たちが唖然とした表情で見送る中、目の前の竜が二、三度翼を羽ばたくと、大きく深呼吸を吸うような仕草をする。
まさか――
戦慄する、俺達の前で、漆黒のドラゴンが大きく「ブレス」を吐き出す、その口から吐き出された紅蓮の業火は、
まるで、俺たちを避けるように辺りに広がると赤い閃光と共に爆裂し、施設内に存在する機器や「人型」を一片も残さず焼き屠った。
「証拠隠滅だよー、ついでに十円玉のお兄ちゃん達も燃やしちゃおうかと思ったけど、止めてあげる……お兄ちゃんと最後に話すイッちゃんの顔、とっても嬉しそうだったから…」
そんなところで生存フラグが立っていたとは何という僥倖か、危なくウェルダンになりかけた自分の運命に冷や汗をかく俺に少し笑顔浮かべるB-No.005
少しは溜飲が下がったと言ったところだろうか、憮然とする俺をよそに、幼女は頭上を指さし、大きく叫んだ。
「さあ、これで後は逃げるだけ、やっちゃえミッちゃん!」
その言葉と共に、巨大な黒竜が鎌首をもたげ、天を見上げ大きく顎を開く、その顎先に赤い雷光が収縮していく。
ああ、なるほど……

「メガフレアですね、わかります…」
そんな俺の呟きは、次の瞬間に訪れた爆光と轟音によってかき消される。
頭上に広がる天井を破壊し、地下施設を覆う超合金の壁を結界ごと抉り、閃光が爆炎が業雷が真っ直ぐに地下から地上へと抜け赤く染まりゆく空へと貫いていく。
その破壊によって生み出された地上へと続く道を、虫の少女と人食刀の主の骸を乗せた黒竜が疾風を纏いながら翼を羽ばたき駆け上っていくのが見えた。
「逃した……か……」
何故か、悔しさは感じない、きっと彼らとはもう二度と会う事はないだろう。
そんな、今後接点の無くなった彼らを気に掛ける事よりも、俺たちにはまずやらなければならない事がある。
「さて、俺たちも逃げるか」
「……そうですね」
俺の言葉に、当然とばかり頷く彼女とスカイフィッシュに乗せられた少女を引き連れ、俺は全力で走り出す。
なぜなら地下施設の中心部、その直上には学校町を北から南へと横断する大きな川が存在するのである。
遠くから聞こえる轟音に戦慄を覚えながら、H2Oの大群に呑まれてなる者かと、俺たちは一目散に逃げ出すのだった。

その日、「暗部」の秘密地下施設は完全無欠に水没したのであった。


どっとはらい?



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