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連載 - 電子レンジで猫をチン!-54

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【電磁人の韻律詩54~俺が君を守るから~】

「おいおい、そんなところで何してるんだ恋路ちゃん。」
「あ……。」
「久し振りに家に帰ってきたら家が廃墟と化してるしさ。
 これで何回目?
 もう数えるの面倒になってきたんだけど。」
「義姉さん……。」
「久し振り、地獄から帰ってきたよ。」

話は少し前に遡る。
恋路が病院で眼を覚ました後、彼女に一人の見舞客が訪れた。
彼女の名前は明日晶、明日真の姉である。

「事情はレモンちゃんから大体聞いた。
 大分苦労してたみたいじゃないか。」
「……なんていうか、心折られちゃいましたよ。」
「もう戦うのは嫌かい?」
「嫌っていうか……、正しいのか解りません。
 何をやっていても自信が持てない、そもそも自分が何かして良いのかさえ解らないんです。」
「成る程ねえ……。」

晶は少し考え込むような素振りをする。
そして、何か頷いた後、恋路に向かって一言告げる。




「それなら真の所で一緒に戦ってきたら?」
「へ?」
「いや、姉の私が言うのも変だけどさ、あいつは馬鹿でむかつくけどやってることは概ね正しいよ。
 あいつと同じことやっていれば後ろめたいと思うことは絶対に無い。」
「……ああ。」
「恋路ちゃんもそう思っていたから真と一緒に居られたんじゃないか?」

そういえば、そうだった。
彼と一緒に居る時、恋路は確かに何一つ恥じることなく立っていられた。
誇らしかった。
それは過去の彼女には無かった感情だった。

「私、行ってみます。」
「良し。」
「まだ怖いけど、間違うかも知れないけど……」
「その時は馬鹿弟がなんとかしてくれるさ。」

恋路の手は震えている。
それを強く握って、彼女は立ち上がる。

「ノーバディーズパーフェクト、支え合えば人間は幾らでも強くなれる。」

まあ私は完璧だから支えてくれる相手が居なくて困るがね、と晶は言って病室を出た。
恋路はそれについて行くようにして走り出した。





「ああそうだ恋路ちゃん、今日はSPをつけてやるぜ。お姫様気分で真に会いにいけ。」
「え?」
「アメリカで偶然行き倒れていたのを拾ってな。
 おい夜行、この子をランドセルランドで護衛してやれ。」
「晶さん、其処俺の寝床ッス。」
「ああ!鵺野さんじゃないですか!」
「お、恋路ちゃん。何?これからデート?」
「な訳あるか!お前は恋路を馬鹿弟の所まで送ってこい!
 良いな?」
「は~い。じゃあ恋路ちゃん、俺と晶さんのバイクが病院の前に停めてあるから乗ってくれ。」
「解りました。晶さんは?」
「私も行くよ。偶には弟と会っておかないとね。」

病院を出るとすぐに晶と夜行のバイクが停めてあった。
ホンダ・シャドウファントム。
スペックシートで言えばベースモデルとの数値差を感じはしないが、
走り始めるとまるでエンジンが違うかのようなトルク感が有って、
地面を蹴るような強烈な加速を感じる。音量規制下にあっても響いてくる鮮烈なエンジン音はバイクファン垂涎の一品だ。
ハンドリングもやんちゃなものが求められており、走りに満足感を求める人々には溜まらないこと請け合いの品だ。尖った個性が売りの名作と言えるだろう。
ちなみに明日真が大好きな某特撮作品のヒーローもこれを元にしたバイクを使っている。

「じゃあ飛ばしていくよ恋路ちゃん!」
「はい!」
「震えてるぞ?大丈夫か?」
「解りません!」
「良い返事だ!」

二人の乗ったバイクは夜を裂いて明日に向けて走り出した。



そして話の時間軸は現在に至る。
明日達の目の前には一人の口裂け女が立ちはだかっていた。

「雪絵ちゃんを何処にやった!」
「もう直さんの所に送り届けましたよ。
 水月さんは足止め喰らってるみたいですねえ……。」
「此処を通して貰うぞ!」
「それは駄目です、だって貴方たちは此処で……。」

明日は戦闘の気配を感じて狂骨の契約書と一体化している髑髏の仮面を構える。
その時唐突に壁の一部が吹き飛んで爆音が廊下に鳴り響いた。
一陣の風が吹き抜けたかと思うとみぃちゃんは一撃で遠く彼方へ殴り飛ばされてしまった。

「え?」
「ん?」

明日真も恋路も「お前らはここで死ぬのだからなー」と言って負けた敵を見たことはあっても
同じ台詞を言った直後にお空のお星様になってしまった敵を見たことは無いからだ。
いや、言わせてすらくれなかった。
だって彼女は……

「よっす、弟。」
「姉さん……。」
「義姉さんなんでここに!?
 たしか私たちを先に行かせるために貴方は残ったじゃないですか!」
「なんかイケメンが来て手伝ってくれた。多分後で来るよ。」

イザークさんとジョルディさんのことだろうと明日真は一人で納得した。






「ほら、さっさと行きな。とらわれのお姫様を助け出すのは正義の味方さ。」
「義姉さん、私にもお姫様言ってたじゃないですか。」
「女の子は皆お姫様、もしくは正義の味方も男女平等の時代。良い時代だね。
 わたしはちょっと能力使いすぎたから疲れた。」
「大丈夫か?」
「都合良くイケメンに助けて貰うから良いよ。」
「あんたって奴は……。」

明日真は走り出す。恋路もそれについて城の奥へと進む。
そんな二人を見て、晶は壁を蹴っていた。割と本気で蹴りまくっていた。
怨念とか執念とか嫉妬と呼ばれる物がその蹴りには多分に込められていた。

「なぁ恋路。」
「どうしたアスマ。」
「本当に大丈夫か?なんかよく知らないけど精神的にダメージって……。」
「大丈夫だよ、アスマの側に居れば。それよりもアスマの方が心配さ。
 なんてったってアスマは弱いからなー。」
「俺は大丈夫だよ、恋路や雪絵、誰かを守る為なら強くなれるから。
 誰かを守りたいって気持ちがここで」

明日真は自分の胸を指さす。

「ここで燃えている限りは何度でも戦うさ。」
「流石だよ。」
「今日は俺がお前を守るぜ。」
「ありがとう。」

一際大きく壁を蹴る音が聞こえた。






大きな音を立てて扉が開く。
その奥に待っているのは死神と一人の少女。
助けに行くのは二人の正義の味方。

「雪絵ちゃん大丈夫か!」
「フランちゃん助けに来たよ!」

壮年の男性がゆっくりと振り返る。
凍てつくようなその美貌は年を取ってもなんら変化しない。

「……ほう、その様子だと彼女を突破してきたらしいな。驚いたよ。
 確かに契約の回路も途切れているし……。
 明日君、君には驚かされてばかりだな。
 なんでこんな奇跡みたいなことを次々起こしてくれるんだい?」
「それは決まってる。」

明日真は恋路を守るように一歩前に踏み出して拝戸直を指さし、はっきりと宣言する。

「正義は勝つからだ。」

明日はポケットから壊れかけた髑髏の仮面と一体化した狂骨の契約書を取り出す。
拝戸も白衣の中から傷一つ無い髑髏の仮面と一体化した死神の契約書を取り出す。

「倫理を踏みにじった先に真実の美があるのだ、と言っても無駄なのだろうね。」
「無駄じゃないさ、俺がお前に踏みにじられる最後の一人になってやる。」

二人は同時に仮面を装着した。
【電磁人の韻律詩54~俺が君を守るから~fin】



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