「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

単発 - 落下型修道女

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朝、目を覚ましたらベランダに干した覚えのない布団がひっかかっていて、よく見たら教会のシスターさんだった、なんてのはよくある話ではない。
少なくとも、俺はそんな例は一つしかしらない。
ところで、ここはマンションの五階である。近場に、このベランダに飛び乗れるような建物はない。
とすれば、上の階から落ちた人の可能性もあるが、このマンションの住人はほとんどが中学生から高校生である。
学校町と呼ばれるほどに学校の多いこの町に、県外からやってきた生徒達の寮を兼ねているからだ。
ならば、泥棒の可能性だが、修道女姿の泥棒などいるのだろうか。
まあ、いろいろと可能性はあるのだが、俺にはこれが風変わりな泥棒やベランダで寝るのが好きな変人でない事は分かっている。
これは間違いなく、都市伝説だ。
はたして、何の都市伝説なのだろうと眺めているとその修道女と目があった。目があった?おっと、いつの間にか起きていたらしい。
「あら、おはようございます」
「あぁ、はい、おはようございます」
しばらく見つめ合っていると挨拶されてしまった。礼儀の正しい奴である。
「ええと、都市伝説、ですよね」
とりあえず、修道女姿の痴女でない事を確認しておこう。
「はい。『マリアンヌ』と申します」
全く聞いた事のない都市伝説だった。
「ところで貴方は、私を追ってきた契約者さん?」
「朝起きたらベランダにシスターさんがいてびっくりしてる契約者さんです」
えぇ、本当に。心臓止まるかと思ったわ。
「それもそうですね。『教会』がこんな極東まで人を遣すわけがないですものね。あ、でもこの町には『組織』とか言う欝陶しいのがいましたね」
何でも良いが、結局このマリアンヌさんは何故俺の家のベランダにいたのだ。
「あ、眠かったのでベランダお借りしました」
……そうですか。いや、意味不明だけど。

「ええと、紅茶でも飲みます?」
「おや、良いですね。いただきます」
とりあえず、敵対する必要もないので誘ってみた。
そして、紅茶の葉を取り出していると、急に部屋が暗くなった。電気が切れたとかではなく、ベランダに現れた巨大な黒い犬が原因である。
爽やかな朝日を遮るとは、どういう了見だ。日照権を知らんのか。
「えっと、ワンさん。何かy」
都市伝説っぽい犬に近寄り窓を開け、そこまで言った時、その犬が口を開き、火を吐いた。
「っづあ!?」
そして、
「ぎゃ!?」
その犬が突進するように部屋に飛び込み、俺は部屋の端まですっ飛ばされた。
「やぁっと見つけた」
黒い犬の後から男が一人入ってきてそう言った。一瞬犬が喋ったのかとワクワクしたじゃねえか。ちくしょう。
「あらあら、無関係な人に怪我なんかさせて」
「うん?ああ、尊い犠牲だった」
男は俺をちらりと見て、そう言った。不法侵入の分際でなんて奴だ。……てか、犬が吐いた火で部屋が凄まじい事になってんぞ、おい!
焦げてないのはマリアンヌさんだけってレベルじゃねぇか!
「人の世を守る『組織』として、お前みたいな正体不明の都市伝説を放置するわけにはいかねぇんでな。一人か二人の犠牲は仕方ない」
「正体不明?私はマリアンヌと名乗ったはずですが?」
「そんな名前の都市伝説見つからねぇんだよ!いけ、ブラックドッグ!!」
男がそう言うと、再び犬が火を吐いた。
あー、こりゃ敷金は絶望的だっあっつ、あち、やめぃ!

「んー、どうせ燃やすなら、これくらいやったらどうです?」
マリアンヌさんがそう言った途端、けたたましいベルの音が鳴りだした。そして、
「火事だーー!!!」
何処からか聞こえたその叫び声と、犬の火とは関係なしに発火した部屋から、マンション中が燃えだしたのだと知った。
「な、何を……。っ、ブラックドッグ!!」
男の叫びに反応し、犬がマリアンヌさんに大きく口を開けて飛び掛かる。そして、
「…………は?」
「くぅん?」
空中で静止した。
そして、そのまま、ゴキッと嫌な音をたて、映画「エクソシスト」の子供のように、犬の首が一回転した。
「っぁ!?やめ、っ!?」
犬を見てる間に、男の方も空中に浮かび、静止していた。首は無事のようだったが、男は火の中にいた。
「世の中にはいろいろな契約者がいます。もしかしたら、この戦いを観察している契約者や観察する契約者がいるかもしれません。
 とくに『組織』が私の情報を集める為に、見ているかも。と、言うわけで、貴方を惨たらしく殺して戦意を削いでみましょう。
 『ボーリィ牧師館』の恐怖しっかりと味わあせてあげますからね」
その後の男は酷いものだった。火であぶられ、指を一本一本折られ、爪をはがれ、部屋の中をスーパーボールのように跳ね回った。そして、消防車が来た頃、
「飽きましたね……」
マリアンヌさんのその一言と共に、窓からゴミのように捨てられた。

「『ボーリィ牧師館』て、イギリス最凶レベルの心霊スポットじゃないですか」
「………………!?」
ごたごたが終わったらしいのでマリアンヌさんに話しかけると、ずいぶんと驚かれた。
「…………あ、生きてたんですね。びっくりしました」
そう言われて、自分の体を見ると、全身火傷に、足と首がおかしな方向に曲がっていた。犬に火を吐かれ、突進された時の怪我だ。痛い。
「あ、どうも。『切れない電球』の契約者です」
能力は不老不死。死なないだけで、普通に痛いし、回復能力が上がるわけでもないので、正直、役に立たない。
「死なないんですか?」
「死にませんねえ」
「それは良いですね。私と契約しませんか?」
「容量足りなてないっす。飲み込まれるんで無理っす」
「では、私の契約者のふりをして生活してくれません?
 私、契約者が欲しいんです。一緒に戦い、一緒に生活する。笑いあい、悲しみあい、喧嘩なんかもして、時には恋愛してみたり。素晴らしいじゃないですか契約者!
 しかし、私は『マリアンヌ』と名乗ってごまかしてみても、正体は『ボーリィ牧師館』。容量の問題で契約しても片端から飲み込んでしまって。
 契約者以外だと、うっかり呪いやポルターガイストで殺してしまいますし。その点、貴方は死にません!」
ボーリィ牧師館といえば、確か20以上の幽霊がいた屋敷だ。焼失した今でも幽霊の目撃情報のある心霊スポット。
そんなのと契約したらさぞや強くなる事だろう。その代わり、多くの契約者に狙われそうだが。そして、俺は契約してもないのに狙われるのか。
それは、不登校で引きこもっているよりは楽しそうだ。そんな事を、火事の中、俺を虐めていたクラスメートが助けを求める声を聞きながら考えた。
あ、でも
「一緒に暮らす家が絶賛炎上中なんですが」
「………………あら?」
意外と天然さんなんだろうか。まあ、契約者以外をうかっかりで殺しちゃう人だしな。
そんなこんなで、三日に一回は死にかける俺の新たな生活が始まったのだった。






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