夜の公園を二人の男が走る。
片方は神父のような恰好をした人の良さそうな中年の男。
もう一人は、対照的にダラけてた服装の、目つきの悪いずる賢そうな若い男。
突然、二人の足が止まる。
目の前には、大きな池。昼間なら小船を漕いだりできるが、さすがに夜にそんな事をしている人はいないようだ。
「やぁっと追いついたぜぇ」
二人の後ろから、若い男が現れる。その傍らには、白い鰐。
都市伝説「下水道の白いワニ」の契約者である。
神父風の男が振り返り、口を開く。
「何なんですか、あなたは。急に襲い掛かって来て。危ないでしょう」
「うるせぇ!お前らが母ちゃんから取った二百万!返して貰うぞ!」
「取ったって……アレは貰ったんだぞ?」
目つきの悪い男が言う。
「そうです。アレは寄付ですよ?」
神父風の男が同意する。
「何が寄付だ詐欺師ども!お前らが契約者なのは分かってんだ!
何と契約してるか知らねえが!その能力を奇跡とか言って宗教やってるらしいじゃねえか!このペテン師ども!」
男は二人に怒鳴る。
その言葉に、二人は黙ったまま何も言わない。それを見て、男は言い訳もできないらしいと判断した。
「金を返すなら見逃してやる。返さないなら、ワニの餌だ!!」
男の言葉とともに、鰐の口が大きく開かれる。
片方は神父のような恰好をした人の良さそうな中年の男。
もう一人は、対照的にダラけてた服装の、目つきの悪いずる賢そうな若い男。
突然、二人の足が止まる。
目の前には、大きな池。昼間なら小船を漕いだりできるが、さすがに夜にそんな事をしている人はいないようだ。
「やぁっと追いついたぜぇ」
二人の後ろから、若い男が現れる。その傍らには、白い鰐。
都市伝説「下水道の白いワニ」の契約者である。
神父風の男が振り返り、口を開く。
「何なんですか、あなたは。急に襲い掛かって来て。危ないでしょう」
「うるせぇ!お前らが母ちゃんから取った二百万!返して貰うぞ!」
「取ったって……アレは貰ったんだぞ?」
目つきの悪い男が言う。
「そうです。アレは寄付ですよ?」
神父風の男が同意する。
「何が寄付だ詐欺師ども!お前らが契約者なのは分かってんだ!
何と契約してるか知らねえが!その能力を奇跡とか言って宗教やってるらしいじゃねえか!このペテン師ども!」
男は二人に怒鳴る。
その言葉に、二人は黙ったまま何も言わない。それを見て、男は言い訳もできないらしいと判断した。
「金を返すなら見逃してやる。返さないなら、ワニの餌だ!!」
男の言葉とともに、鰐の口が大きく開かれる。
「あなたは、何か思い違いをしているようですね」
神父風の男が静かに口を開く。
「確かに、私達は契約者です。しかし、私達はやっぱりあなたのお母様を騙してなどいない」
「この野郎、そんなにワニの餌になりてぇか……」
「まあ見なさい」
神父風の男は、地面に落ちている石を拾った。はずだったが、それが男の胸の高さまで来た時、その手にはパンが握られていた。
「……は?」
「分けてあげますね」
神父風の男はそう言うと、石だったはずのパンをちぎって男に投げた。
何かの罠かと、男は受けとらず、パンは地面に落ちる。
「何を……」
「もう一つあげます」
神父風の男はまたパンをちぎる。
ちぎっては男に投げる。何度も繰り返し、いつしか、男の足元には大きなちぎられたパンの山ができていた。
しかし、神父風の男の手にはいまだにパンが一つ。
「ま、さか……」
「ご理解いただけたようですね。
私は石をパンに変える事ができます。この池の水をワインに変える事ができます。
水の上を歩く事も、死人を生き返らせる事もできます。」
そして、神父風の男は言った。
「私が契約しているのは、『キリスト』です」
神父風の男が静かに口を開く。
「確かに、私達は契約者です。しかし、私達はやっぱりあなたのお母様を騙してなどいない」
「この野郎、そんなにワニの餌になりてぇか……」
「まあ見なさい」
神父風の男は、地面に落ちている石を拾った。はずだったが、それが男の胸の高さまで来た時、その手にはパンが握られていた。
「……は?」
「分けてあげますね」
神父風の男はそう言うと、石だったはずのパンをちぎって男に投げた。
何かの罠かと、男は受けとらず、パンは地面に落ちる。
「何を……」
「もう一つあげます」
神父風の男はまたパンをちぎる。
ちぎっては男に投げる。何度も繰り返し、いつしか、男の足元には大きなちぎられたパンの山ができていた。
しかし、神父風の男の手にはいまだにパンが一つ。
「ま、さか……」
「ご理解いただけたようですね。
私は石をパンに変える事ができます。この池の水をワインに変える事ができます。
水の上を歩く事も、死人を生き返らせる事もできます。」
そして、神父風の男は言った。
「私が契約しているのは、『キリスト』です」
「そ、そんな馬鹿な……」
「まだ信じられませんか?水をワインに変えて見せましょうか?」
神父風の男はにこやかに言う。
「だから言ったろう。あれは寄付だって」
ずっと黙っていた、目つきの悪い男が口を開く。
「確かにこいつは契約者だけどな、キリストの契約者だ。人を救う力を持つ。何も問題は無いはずだ。
それでもまだ文句があるっつうなら、そのワニで、戦ってみるか?神の子と」
男は迷っていた。「キリスト」の契約者、そんなモノに勝てるのか。人を救う能力を持つモノを殺して良いのか。
「お前は、何の契約者なんだ……?」
男は、目つきの悪い男に尋ねた。この男も契約者だったはずだ。この男が人に害をなすなら、こちらだけでも。
そう考えた。
「俺か?俺はこれさ……」
そう言うと目つきの悪い男は、公園の池の方を向き、手をあげる。
その瞬間、池が割れた。
「これが俺の都市伝説、『モーゼ』だ」
男が呆然と立ち尽くすのを尻目に二人は割れた池を歩いて去っていった。
「まだ信じられませんか?水をワインに変えて見せましょうか?」
神父風の男はにこやかに言う。
「だから言ったろう。あれは寄付だって」
ずっと黙っていた、目つきの悪い男が口を開く。
「確かにこいつは契約者だけどな、キリストの契約者だ。人を救う力を持つ。何も問題は無いはずだ。
それでもまだ文句があるっつうなら、そのワニで、戦ってみるか?神の子と」
男は迷っていた。「キリスト」の契約者、そんなモノに勝てるのか。人を救う能力を持つモノを殺して良いのか。
「お前は、何の契約者なんだ……?」
男は、目つきの悪い男に尋ねた。この男も契約者だったはずだ。この男が人に害をなすなら、こちらだけでも。
そう考えた。
「俺か?俺はこれさ……」
そう言うと目つきの悪い男は、公園の池の方を向き、手をあげる。
その瞬間、池が割れた。
「これが俺の都市伝説、『モーゼ』だ」
男が呆然と立ち尽くすのを尻目に二人は割れた池を歩いて去っていった。
「なーんかさあ、この辺り都市伝説と契約者多くね?」
「そうですね。早めに別の町に移った方が良いかもしれませんね」
夜の公園の池、小船から二人の男がおりる。
「コップや洗面器以外の水を割って『見せる』なんて久しぶりだぜ」
「私はいつもやって『見せて』いる事をしただけですけどね」
二人は公園の外に停めていた高級な車に乗り、話し合う。
「いくら稼いだよ」
「この辺りではまだ、一千万と少しですね。まだ他の町の半分です」
「んー、どーすっかなぁ。ここ金持ち多いけど、契約者も多いし。俺らの都市伝説がばれる事は無いとは思うが……」
「ばれるだなんて、何言ってるんです。私たちの都市伝説は『キリスト』と『モーゼ』でしょう?」
神父風の男が人の良さそうな顔を崩し、ニヤリと笑いながら言う。
「おおっと、そうだったな」
それに合わせるように目つきの悪い男も笑うのだった。
「そうですね。早めに別の町に移った方が良いかもしれませんね」
夜の公園の池、小船から二人の男がおりる。
「コップや洗面器以外の水を割って『見せる』なんて久しぶりだぜ」
「私はいつもやって『見せて』いる事をしただけですけどね」
二人は公園の外に停めていた高級な車に乗り、話し合う。
「いくら稼いだよ」
「この辺りではまだ、一千万と少しですね。まだ他の町の半分です」
「んー、どーすっかなぁ。ここ金持ち多いけど、契約者も多いし。俺らの都市伝説がばれる事は無いとは思うが……」
「ばれるだなんて、何言ってるんです。私たちの都市伝説は『キリスト』と『モーゼ』でしょう?」
神父風の男が人の良さそうな顔を崩し、ニヤリと笑いながら言う。
「おおっと、そうだったな」
それに合わせるように目つきの悪い男も笑うのだった。
この二人の都市伝説が「青森のキリストの墓」と「石川県のモーゼの墓」であり、
その能力はそれぞれの人物の行った事を「見せる」事だと。その幻影を見せる能力だと、
ただの聖人の真似事をしているだけだと、気づけたモノは誰もいない。
その能力はそれぞれの人物の行った事を「見せる」事だと。その幻影を見せる能力だと、
ただの聖人の真似事をしているだけだと、気づけたモノは誰もいない。
終