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単発 - うねる黒紐、きらめく白刃

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kemono

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うねる黒紐、きらめく白刃


 黒い紐が一匹のジャガー人間を絡め取る。
 その黒い紐はジャガー人間を容赦なく締め上げ、動きを完全に封じている。
 そのジャガー人間に青年が駆け寄り、手に持った小刀を突き立てた。
 周りでは同じようにジャガー人間たちが黒い紐に絡め取られている。
 中には牙や爪で抵抗する者もいるが、その黒い紐は全く切れる気配がない。

「無駄です。グレイプニルは決して切れません。」

 そう告げる黒服の契約都市伝説は「グレイプニル」。
 北欧神話に語られる、決して切れることがないという紐である。
 殺傷能力は無に等しいが、拘束という一点において無類の力を持つ。
 黒服が拘束したジャガー人間をその手の小刀で切り裂きつつ、青年は黒服をちらりと見やる。

「黒服さん、こいつらの弱点ってキウイですよね。「組織」から支援物資とかないんですか?」
「バックアップはありませんし、あったとしても使うことはありません。」
「いや使いましょうよ。予算きついのかもしれませんけど、ケチって死んだら世話ないですって。」
「そうではありません。キウイは弱点であると同時に『ジャガー人間はキウイで逃げだす』という噂も立っています。」
「なるほど。簡単に倒せる上に逃げ出してくれるとあれば、ますます楽になりますね。」
「あなたは馬鹿ですか。逃げた奴らが一般人を襲うかもしれないのですよ。」
「冗談ですよ。言ってみただけです。」
「冗談を言ってる暇があったら手を動かしてください。冗談じゃなく死にますよ。」

 青年の左右から同時に襲い掛かるジャガー人間をグレイプニルが絡め取り、白の刃が一閃、二閃。
 青年の得物は「マキリ」。猟師の間に伝えられる小刀の一種である。
 「マキリ」の音は「魔斬り」に通じる。すなわち、怪異に対して抜群の効力を発揮する。
 マキリに斬られたジャガー人間は毒が回ったかのように苦しみ悶え、光の粒になって消えていった。

「しかし、こいつら一体何匹いるんですかね?」
「どこかにこいつらを生みしている者がいるはずです。それを倒さない限りは無限に増えるでしょう。」
「だったらこいつら倒しても意味無いじゃないですか。時間稼ぎでしかないじゃないですか。」
「大いなる時間稼ぎです。私たちが奴らを引き受けている隙に、0-Noや他の黒服、契約者たちがこの元凶を倒すべく動いています。」
「で、いつまでその大いなる時間稼ぎとやらをすればいいんです?」
「彼らがこの元凶に刃を突き立てるまでです。」

 最後の一匹にマキリを突き立て、青年はひとつため息をついて周りを見渡す。
 直後、道路の向こうから、塀の影から、屋根の上から、ジャガー人間たちが次々と姿を現した。

「休んでもいいですか?」
「死にたいのならどうぞ。」
「帰ってもいいですか?」
「帰られるものならどうぞ。」
「はぁ……サポートお願いします。」
「仕留め損なわないようお願いします。」

 黒服のグレイプニルがうねり、ジャガー人間を絡め取る。
 そして青年のマキリがきらめき、そのジャガー人間を切り裂いた。

 戦いが終わる気配はない。
 少なくともこの場は、まだ。


【終】





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