「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 俺とプラモと都市伝説-02

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Retsuya

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だれでも歓迎! 編集
※この物語は、平穏とライガーたちを愛する一人の契約者の日常的な非日常を描いたものです。過度な期待はしないでください。
※後、作者は基本エロが苦手です。全裸待機なさっている方は、今すぐ衣類を身に付けてください。

では、【未発売キットを製作すると発売決定する都市伝説】第2話をお送りいたします。


数日前、俺こと有間出井が毎朝の習慣であるジョギングをしていた時のことだ。
だいぶ走ったしそろそろ戻ろうかな、と思って走る速度を緩めかけた瞬間……

「ほっほっほっほっ、ほっほっほっほっ……」タッタッタッ

「……ん?」

後ろから、和服のお婆さんに追い抜かれたんだ。
こんな朝早くに婆さんがジョギングしてるって時点で十分変なんだけど、
かなり年みたいだったのに元気だなーとしか思わなかったんだ、その時は。

事はその次の日の朝。
俺がジョギングで同じコースを走っていた時のことだ。
まだスピードを保っていた俺の横を、小柄な影がさっと通り過ぎた。

「ほっほっほっほっ……」タッタッタッ

あの婆さんだった。しかも今度は抜き去る直前、俺に向かって―――

「ほっほっほっほっ、ほっほっほっほっ……」タッタッタッ……クルッ

「えと、何か?」

「……ぷふっww」

「……は!?ちょ、今明らかに笑ってましたよね!?婆さ……」

「ほっほっほっほっ、ほっほっほっほっ……ぷふふふふww」タッタッタッ

婆さんはそのまま、笑いをこらえながら走り去っていった。

「何だったんだよあの婆さん……もう帰ろう」

こんなことが二、三日続き、一昨日のこと。
その日の前夜は、能力で販売したプラモデルが思ったようなものじゃなかったため仕方なく「販売中止」していた。
能力でいくらでも販売ができるからといって、俺の財布から金がいくらでも出てくるわけじゃないし。
そのため若干いらついてたのは否めない……けどな。

「ぷふふふふふふふ…………べー♪」

「………………………………待てや」

「ほっ?」

さすがにこれは………………もう切れてもいいよな、うん。

「ほっ?じゃねえ!年寄りだと思って我慢してれば調子乗りやがって……足遅い人馬鹿にしてそんなに面白いか!あ!?」

「ほーーーーーーーーーーーぅ!?」タタッ!

「待てと言っとろーがこの婆あぁぁぁ!」ダッ!

さすがにびっくりしたのか、ビクッとなった後ダッシュで逃げる婆さん。
それを、ジェノブレイカーも真っ青の形相をしながら全速力で追いかける俺。
別に捕まえてどうこうしようというわけじゃない。ただ、人をからかったことを謝って欲しかっただけだ。
とうとう婆さんと並ぶまでに追いつき、横目で様子を伺ったとき……服の袖を婆さんがゴソゴソと探っているのに気づいた。

「一体何やって……うわっ!」

「ほっ!」ジャジャーン!

袖から婆さんが取り出したもの、それは―――

「ホッ、ピング……?てかそれ、どう見ても袖から出てくる大きさじゃ……!?」

「ほーーーーーーーーーーーっ!」ダンッ

―――ビョーン、という擬音はこういう時に使うのだろう。
一瞬で空高く飛び上がった婆さんを見ながら、俺はそんなことを考えていた。

その後、俺は友人(女)宅にて例の婆さんの話をした。信じてくれるとは思ってなかったし、笑い話のつもりで。
だから彼女に「ああ、ホッピングババアだねそのお婆さん」とさらっと返されたときはびっくりしたね。
もっとも、向こうも作り話と思って聞いていたのか、俺が詳しい事について詰め寄ると驚いた様子で
「嘘、本当に遭ったの」「あの、顔近」「怪我はない」「情報漏え…いや、まだごまかせ」と混乱気味だったが。
落ち着くのを待って話を聞くと、彼女は俺にとあるサイトを見せてくれた。
いわゆる「全国の都市伝説を集める」といった内容で、その中の「ババアシリーズ」という一覧の中の記述がこれだ。

『ホッピングババア:着物を着てホッピングに乗った婆さんが、走っている人や車を飛び越すという都市伝説』

「都市伝説……なんだよ、な」

「そうなんだけど……あの、もし心配だったらその、私も明日」

「……いや、これは俺の問題だ。明日決着を付けようと思う」

「一緒に……ってえぇ!?」

正直、友人の足ではあの婆さんに追いつくことさえ敵うまい。気持ちと情報だけありがたく受け取っておこう。
「お守り」と称したガンタンクを受け取りつつ、情報提供の礼を言って俺は友人宅を後にした。

そしてその日の夕方から夜にかけて、俺は体力の消耗を覚悟である物を作り、例の能力を使った。
『先着一名様限定・ホッピングババアのそれと同性能のプラモ1/1・ただし本物は当たり扱いで学校町の○○店にてのみ販売』
(ついでに光学迷彩スーツや、衝撃吸収用のヘルメットなどの防具もセットで。あ、あと壊れにくくしないとまたレ・ミィの悲劇が……。)


そして今日の朝。俺はあの婆さんと決着をつけるため、ここに来ていた。

「ほっほっほっほっ、ほっほっほっ……ほっ?」

背後の笑い声が途切れ、足音も止まる。どうやら、俺の格好がいつもと違う事に気づいたらしい。
俺は背負ってきた『ホッピングのプラモデル』を片手に持ち、婆さんのいるであろう方向へ振り返ってニヤッと笑う。
それをじっと見ていた婆さん、いや都市伝説【ホッピングババア】……その顔にも、ゆっくりと笑みが広がりつつあった。
どちらともなく横一列に並び、ホッピングに片足をかける俺と婆さん。
昨日一日練習したとはいえ、ホッピングで飛ぶのが本職である婆さんにどこまで太刀打ちできるかはわからない。
だが、それでも―――

「意地があんだよ、男にはあああああああああああああああああ!!!」

「ほーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」

現在時刻、朝の6:30。
後に、誰にも語られぬであろう決戦が今、火蓋を切った。


《同日、あのプラモ店》

『先着一名様限定・ホッピングババアのそれと同性能のプラモ1/1』(売り切れ)
「……え?これって、まさか……」

そして、この出来事が彼女との関係を大きく変えてしまう事になるなんて
その時の俺は思いもしなかったんだ。

ケース①:ホッピングババア(野良?)終わり

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