「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

単発 - 神喰らいの少女

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ο-No.2がその指令を受け取ったのは1月某日。
恐らく生まれて初めてであろう「組織」の外で出来た友達と、バイキングへ出かけた帰りの事だった。

「《夜刀浦市ニテ這イ寄ル混沌ノ化身ヲ複数目撃……今後ノタメニ一体捕獲、モシクハ喰ライテ成分ヲ報告セヨ》……這い寄る混沌って何?」

まあ、食べてもいい物ならばきっと新型の都市伝説か何かだろう。左手の再生はまだだけど、さっと食べて帰れば問題ないか。

―――後に。ο-No.2ことつーちゃんは、この時の楽観的な考えを後悔する事になる。


「がぁっ……ぐぅぅぅぅぅぅ……負ける、もん、か!ぜっ、たい……」

『『ギギギギ……おのれ、小娘ぇ……!』』

「絶対に…………消化して、やる…………!」

夜刀浦市ホラースポットの一つ・《虎臍反吐論の洞窟》。
現在、この洞窟の中で文字道理『喰うか喰われるか』の激闘が行われていた。

『無駄だと言うのがまだ分からんか、小娘!』
『氷のごとき暗黒の塊であるこの【ル・ラグ】を喰らうなど不可能だというのに……』

「だ、まれ……お前は、私が、食べるん、だ……」

『這い寄る混沌が化身の一人たる我を喰らおうとするとは……』
『ククク、クハハハハハハハ!何たる悪食!何たる暴食ぅ!』

ο-No.2の全身は、【スター・ゼリー】の消化能力をフル回転させ、体内の【ソレ】を取り込もうとするのだが、先程から一向に消化が進む気配すらない。
姿形は『髑髏のような頭が二つ』付いていること以外は、ただの気持ち悪いコウモリだ。動きは素早かったものの、片手で捉え切れる程度でしかなかった。
にも拘らず。この【ル・ラグ】とか言うコウモリは、全力消化に耐え……あろうことか、内側から彼女の精神を侵そうとしているのだ。

「(や、やばい……そろそろ、バイキング分の体力が切れそう……!)」

『(ちっ……なまじ『喰う』事しか頭にないせいか、精神汚染が思うように進まん……!)』
『ならば、これはどうかな!』

「えっ……?な、熱、熱いぃぃぃ!!」

突如として、ο-No.2の体内で音も無く羽ばたき始めた【ル・ラグ】。
何事かと考える暇も無く、彼女は燃えるような高熱を感じ絶叫した。全身からうっすらと水蒸気が上がっている。
これは―――まさか。

『クハハハハ……やはりその身体、熱や乾燥に弱いようだな!』
『どうだ、我が翼から放たれし【不浄の黒き火の粉】の味は!』

「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

軽口に答える余裕もなく、ただただ叫び続けるο-No.2。スライム系の都市伝説共通の弱点を完全に突かれたのだ。
さらに、絶え間ない不浄の火の粉はそれ自体が【ル・ラグ】の一部……すなわち、あの【這い寄る混沌】の一部でもある。
周りの水分によって火種は消えても、その中に内包された邪悪なる混沌は少しずつ、しかし確実に彼女の身体と心を蝕んでいった。
絶え間ない苦痛と熱に耐えていたο-No.2だったが……やがて熱気で頭が朦朧としたのか、フッと全身の力を抜いてしまった。

「ぁっぃ…ぁっぃょぅ…(……あ、れ?何で私、頑張ってたんだっけ……)」

『ふぅ、ようやく限界を迎えたか……だが人の身でありながら』
『この我を、本気で喰らわんとするとはな』

無防備となったο-No.2の精神と肉体を、混沌が這い寄り侵食していく。
自分の全てが作り替えられるような恐怖に……彼女はただただ怯える事しか出来なかった。

「ぁ……ぁぁぁ……」

『さあ小娘、我と一つとなるがいい……残念だな、もし仮にお前が―――』


ただし、それは。


『―――例えば【ショゴス】のような、同じ邪神の一族であったのなら。この化身ごときではあるいは、違う結末であったのやもしれんな』


その単語を聞くまではの話だった。



「…………………………は」

      ・・・・
脳裏に浮かぶはあの女性。かつて自分の心を喰らい、この身を食べ残した【ショゴス】の契約者。
いつか必ず、あの人の全てを食べ尽くす……あの時固くそう誓ったハズの、我が人生のメインディッシュ。
           ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それを私は――――――我が身可愛さに、諦めようとしていたのか?


「…………あは…………ははは」

『……精神が耐え切れずに壊れたか……哀れな。』
『所詮こやつも其処らの有象無象と変わらんというわけか』


【スター・ゼリー】では敵わない。だが【ショゴス】ならわからない。
            ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それはつまり――――――今の私ではあの人に届かないと言う意味か?


「…………るな」


腹立たしい。何よりも誰よりも、先程までの情けない自分自身が。
目の前に用意されたご馳走に手を付ける事無く、あろうことかその食材に―――全ての始まりの思いまで、奪われそうになったのか。


「…………ざけ、るな」


自分の身体など知った事か。あの人を超えるためだけに、人である事などとっくに捨てた。
自分の精神など知った事か。あの人を喰らい尽くしたい、そのたった一つの思いがあればいい。
自分の限界など知った事か。あの人を『愛する』為ならば――――――


「ふざ、ける、なぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


――――――限界なんて、バラバラにして胃袋に放りこんでしまえ!



『馬鹿な、まだ言葉を発する気力が…………グッ!?』
『こ、これは!』

呻き声を上げるとほぼ同じく、【ル・ラグ】の身体にも変化が訪れていた。
まるでお湯に漬けられた氷のように、身体の表面が剥がれては崩れ溶けていく。
これは―――まさか。

『馬鹿な……そんな馬鹿な!我が、この我が!』
『いくら戦闘面で他の化身に劣るとは言え【這い寄る混沌】の一部たる我が……!?』

余りの出来事に狼狽し、今まで以上に暴れ回る【ル・ラグ】。だが、いかに否定したくともそれは揺るぎない事実。
               ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
有り得ない事に、彼女は今―――この邪神の化身たるコウモリを、消化しつつあった。

「私は超える!あの人を超える!這い寄る混沌か何か知らないが、お前程度なんて前菜以下だぁぁぁぁ!」

『『馬鹿な…………バカナァァァァ!』』

【ル・ラグ】の全身が完全に崩壊し、周囲に混じり消えていく。最後に残った双頭も、また……。

『『オボエテイロ……ワレガホロボウトモ、イズレダイニダイサンノワレガガガガガガガガ…………』』

捨て台詞を残し、半透明の闇の中へと姿を消した。 



「……はい……化身の一つと思われるコウモリを、ぐぅっ!失礼しまし……消化、に……成功……至急、迎えを」ピッ

ο-No.0への連絡を済ませたο-No.2は、ようやく意識を手放した。
その顔は、疲れきっているように見えて…………どこか、やり遂げたような表情をしていたそうだ。
(終わり)

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