「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

王隠堂すみれの実験

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匿名ユーザー

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目の前の液体を手ですくい、飲んでみる。
まずい。鉄っぽい味がする。喉に絡んで気持ち悪い。
殺人鬼の中にはコレを飲んでいた人間もいたらしいが、よくもまあこんな物を飲めたものだ。
さて、目の前に横たわるこの死体。どうしようか。

学校帰りに近道に通った路地裏で見つけた女性。
ん?下半身が切り裂かれてるな。
「強姦の証拠隠滅か、趣味で持ち帰ったのか……」
「それはそういうモノなんだよ」
背後から声をかけられた。
振り返るとコート姿の外国人。手にナイフ。返り血。
「なんだ、切り裂きジャックか。」
「なんだ、とは失礼だねぇ。と、言うより君は怖く無いのかい?」
「何が?」
「何が、って……私はその女性を殺した犯人で、都市伝説だよ?」
「あぁ、そんな事ですか。そういう血筋なんで」
「……?」

「な、何してんだお前ら!?」

「んぅ?」「おや?」

声の方を向くと、ふむ、中学生ぐらい、僕と同じぐらいの男の子。それと手を繋いでいる小学生ぐらいの女の子、あれは花子さんだな、たぶん。
「そ、そこの男、都市伝説だな!お前らがその人を殺したのか!?」
少年が死体の女性を指差しながら叫ぶ。
んー。んー?
「あれ?お前ら、って事は僕も犯人扱い?なんで?」
「……先程から気になっていたのだが、何故君の口のまわりは血まみれなんだい?」
ジャックが話しかけてくる。
「さっき血を飲んだから。」
「……何故」
「どんな味か試してみたくて」
「理解に苦しむ」
切り裂きジャックにそんな事言われるとは思わなかった。純粋な探究心なんだから、こっちの方が断然健全だと思うんだが。
でも確かに、手も血まみれだし、学ランにも血ついてるし。ジャックと並んだら仲間と思われるか。
「お前らが殺したのかって聞いてんだよ!!」
んー、さっきから「あなたさっきから五月蝿いですね。」
おや、ジャックと意見が一致した。
不意にジャックが走りだす。
「え?うわっ!?」
少年を蹴り飛ばすジャック。都市伝説の力で蹴られた少年は数メートル地面を転がり、うめく。
その間にジャックは都市伝説の方、花子さんを一瞬で地面に捩伏せ、
その首に、朱く煌めくナイフを振り下ろ
「ストップ、ジャック!!」

花子さんの首にナイフが刺さる寸前でジャックの手が止まる。
「何ですか?君は私の契約者ではないんですから、命令する権利はありませんよ。」
「ちょっと試したい事があって。その子を殺せなかったら僕を殺して良いから。」
「…………数分だけ待ちましょう。」
「ありがと。さて少年」
ジャックの蹴りの痛みがやっとひいたのか、起き上がりだした男の子に声をかける。
「花子さんを殺した後、君は死ぬ。」
「な!」
男の子が驚いたような声をだす。
「でも、チャンスをあげよう。」
「チ、チャンス?」
男の子から目を逸らさず鞄から手探りでアレを取り出す。
「ここに拳銃がある。」
黒光りするソレを男の子に向ける。
「僕が五秒数える。そして撃つ。その五秒の間に君に与えられた選択肢は二つ。
 逃げるか、撃たれるか。」
男の子が怪訝な顔をする。ふむ、まだ理解できていないらしい。できの悪い子だ。
「つまり、そこの君が契約している花子さんを見捨てて逃げるか。僕に一発撃たれる覚悟でこの銃を取りにくるかって事だよ。
 僕から銃を奪えば、そこの花子さんを押さえ付けている都市伝説を撃てばいい。都市伝説だって撃たれたら無事じゃすまないだろう。隙をついて花子さんと逃げればいい。
 僕は君の心臓を狙うから、君は死ぬかもしれないけどね。」

逃げれば、確実に花子さんは死に、自分は助かる。
逃げなければ、高確率で自分は死に、花子さんが絶対に助かる保証はない。が、もしかすると、二人とも助かる可能性もある。
「さて、君はどうするかな?」
男の子が震えながら、花子さんの方を見る。
「おに……ちゃ、たすけ……」
男の子の視線に気づき花子さんが助けを求める。
花子さん、あんなに涙目になって…………
まるで本当に生きているみたいじゃないか。
「ああ、そうだ少年。」
僕の呼びかけに男の子がこちらに顔をむける。
「君は漫画でしか見た事ないだろうけど、本物の銃で撃たれたら、さっきの蹴りの数倍は痛いよ?」
僕の言葉に、ジャックの蹴りを思いだしたのか、男の子の顔が青くなる。
「さて少年、心は決まったかな?」
そして、五秒を数えた。

「私は君と契約しようと思うのだが。君、名前は?」
切り裂きジャックが口を開く。
「契約?また突然だね。下の彼女はほっといて良いの?浮気はダメだよ?」
ジャックの下には花子さん。
少年は、逃げた。
「予想より早く逃げたな。まさか二秒目数えるより早いとは……」
手にした黒光りするモノを見つめる。
パンッ
と、気まぐれに花子さんの顔の近くで発砲。手に伝わる軽い感触。響く安っぽい音。放たれたプラスチックの玉。

「一般人が本物の拳銃なんか持ってるはず無いのにねぇ。」
目に涙を溜め、しゃくり上げる花子さんに話しかける。
「ごめ、なさ……たす、ヒック……たすけ……て、ヒック、エグ」
あ、人の話聞いてない。
「助けを求めているぞ?マスター」
どうやらジャックの中では、契約は決定事項らしい。マスターて。
「……助けて欲しいの?」
花子さんに問う。
「ヒック……うん、グスッ」
「んふふ、じゃあジャック、『好きにして良いよ』」
「では、好きなように殺そう」
おやー、助けても良かったのにー、ジャックが殺したいなら仕方ないなー
契約する都市伝説の意見は大切にしないといけないしなー、うんー、仕方ない仕方ないー。
さて、そろそろ帰るか。
「マスター、まだ君の名前を聞いていない」
「んぁ、そだっけ?王隠堂すみれ。よろしく」
「よろしく、マスター。…………すみれ?」
ジャックが花子さんを解体しながら首をかしげる。
「あぁ、この学ランは趣味だよ」
僕は正真正銘、女である。

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